可能性
二人の雪の妖精が、つばぜり合いをしている。
一人はキオネアだ。
もう一人の妖精は見覚えがないけれど、黒野のジャケットコートを着ていた。
「おお、すごいですね。さすがはキオネア兄さまです。私の攻撃をすべて弾き落とすなんて」
「そうしなければ、お前は子どもたちを斬っただろう? なあ、アイオーン!」
「なぜ、子どもたちを守る必要があるのですか?」
「シオリと約束したからだ!」
さっきの暴風は、二人の剣戟によって引き起こされたものらしい。
人間の目ではとらえきれないほどの応酬のさなかにあって、キオネアはサナたちを守ってくれたようだ。
サナは、まずとっさに倒れている雪の妖精を隠した。とはいっても顔周りの、どかしてしまった木の枝や葉っぱを、さりげなく被せ直したのだ。
なぜこんなことをしたのかというと、直感としか答えようがない。
それからサナはやっと、状況を理解するために頭を動かし始めた。
キオネアは子どもたちの味方であり、対する謎の妖精は敵だ。黒野を殺してジャケットコートを奪ったのではなく、あれが黒野の正体なのだろうとサナは推測する。
雰囲気こそ似ていないけど、身長やスタイル、立ち姿はそっくりだった。
目を隠していたのは、雪の妖精の特徴であるガラス玉のような青い瞳を見られたくなかったから。キオネアが刺されたときに雪の妖精のことを知っていたのは、自分も雪の妖精だったから。
サナは最初、黒野のことをキオネアのお目付け役だと考えた。でも目の前の光景を見るに、彼がキオネアと敵対していることは明らかだ。人間に化けていた、つまり素性を隠していたことから鑑みるに、今回の怪物討伐にかこつけて、キオネアの暗殺でももくろんだのかも。
キオネア兄さまと言っていたから、兄弟?
そしてキオネアは彼のことを、アイオーンと呼んでいた。
黒野――アイオーンか。
王位継承の争いがあるなんて聞いていなかったけど、そうか。なるほど。
キオネアが怪物を倒そうと思ったのはそれが理由かも。たぶん劣勢なんだ。
怪物の討伐は、王位継承で他の候補者から一歩リードするために必要なカードだったんだ。
なんだよ。やっぱりキオネアがここに来たのは、子どもたちを助けるためなんかじゃなくて、完全に自分のためじゃないか。サナは少しがっかりした。
いや、でも――と考え直す。
確かに最初は自分のためだったかもしれない。
でもさっきキオネアは、「シオリと約束したからだ」と言っていた。
どこかで、子どもたちを助ける理由が変わった?
――詩織さんのおかげ?
なんて、サナが考えていると、再びキオネアとアイオーンが動き出した。
すさまじい速度で斬り合いを始める。
それにしても、黒野が最初に子どもたちを逃がしたのは、王子暗殺の瞬間を見られたくなかったから?
いや、だったらそのときにまとめて子どもたちも殺してしまえばいい。あそこで子どもたちを逃がし、今は子どもたちを殺そうとしている合理的な説明が思い浮かばない。ということは、合理的ではないのかもしれない。
わからないことは、頭の片隅に置いておく。
サナの足元に倒れている妖精の正体も、相変わらずわからない。
今キオネアと斬り合っているあいつが黒野なわけだから、もう登場人物に余りがいない。外から入ってきた妖精とか?
だとするなら、可能性はいくらでも考えられる。
今は、わかることだけを繋ぎ合わせて、生きる道を探すしかない。
優はサナのことを頭がいいと言ってくれるけど、サナは自分が賢いとは思わない。
可能性を考えることが得意なだけだ。
しかも今回のように、どれだけ考えても当てにならないことの方が多い。
たとえば、キオネアは弱っているか、すでに死んでいると考えていた。だからその遺体を人質に取ろうとした。
でもキオネアは生きていた。生きて、子どもたちを守ろうとしてくれた。しかもその相手は怪物じゃなくて黒野だった。黒野はお目付け役なんかじゃなくて、キオネアの敵だった。子どもたちの敵だった。
サナが考えた作戦を実行に移す理由も必要もなくなり、事態は思いがけない方にどんどん移り変わっていく。
サナにできることは、そのときそのときで最善の可能性を模索することだけ。
隼人が身を低くしながらこっちにやってきた。
優と合わせて三人で固まり、状況を見つめる。
さらに誰かの足音が聞こえてきた。このタイミングで怪物がやってきたのかと思ったけど、違った。
サナと同じくらいもたもたした走り方で、詩織がやってきたのだ。
「み、みんな~! 無事だったんだね~!」
詩織が手を振りながら近づいてきた。
優が両手を広げて出迎える。
「詩織ちゃんも! よく生きてた! 偉いよ!」
「え、偉い? えへへ」
なぜ照れる。
そして二人は抱き合って、涙まで浮かべていた。
まともに言葉を交わしたわけでもないのに、どうして久しぶりに会った親友みたいなやりとりができるの? 詩織さんはこっち側の人だと思っていたのに、なんか明るくなった。
――と、いつものサナだったら思うところだけど、今は少しだけ優の距離感がわかる。
詩織とはまったく会っていなかったけど、同じ戦場を生き抜いてきた仲間のような感覚だった。
そういえばキオネアは、詩織との約束から子どもたちを守ったと言っていた。
みんな散り散りになった後で、優とサナ、隼人がそれぞれに考えて、いろいろな行動を起こしたように、詩織もせいいっぱい頑張っていたのかな。
生きるために、行動していたのかな。
サナは優の後ろに隠れたまま、詩織に向かって手を振った。
詩織は笑って、手を振り返してくれた。
ちなみに詩織は、サナの足元近くで倒れている雪の妖精に気がつかなかった。塵を被せたことはやっぱり効果があったみたい。
隼人もこちらに近づいてきて、なぜか、
「よう、悪かったな」
と詩織に謝っていた。
詩織は意味がわからなかったらしく、首をかしげていた。
「わからなくていいんだ。俺の自己満足だから」
隼人は居心地が悪そうにもぞもぞした後、何かが吹っ切れたのか、ははっと笑った。いつものへらへらしたような笑みじゃなくて、少し影があっていいなとサナは思った。
鮎川詩織、春原隼人、野崎優、野崎サナ。
四人は顔を見合わせて、力強くうなずいた。
誰一人欠けることなく、子どもたちがそろった。
キオネアと黒野も含めて、六人の子どもたちがもう一度そろったのだ。
でもその再会を、素直に喜びあうことはできない。
目の前で、キオネアと黒野――アイオーンが殺し合っている。
キオネアの攻撃を、アイオーンはいともたやすく弾いている。サナが見たところ、二人の実力には開きがある。
「キオネア兄さまは、怪物に斬られた。その怪物を私は討伐した。実力差は歴然としています。それでも向かってくるあなたは尊い」
アイオーンがバカにしたように言った。
怪物はすでに討伐されたの?
じゃあ、隼人が助けに入ってくれたあの後で、アイオーンが倒したのか。
キオネアは無言のまま、斬撃で答えた。
アイオーンには余裕があるような感じだけど、それでもキオネアに対して攻め切れていない。決定的な一撃を、キオネアはちゃんとかわしている。実力差は確かにあるけれど、防御や回避に徹すればキオネアはそう簡単にやられない。
でもこのままじゃ、いつかは力で押されて負けてしまう。
それをキオネアもわかっていたのだろう、
「僕が身につけていたネックレスを探してくれ! あのネックレスは、外で待機している僕の仲間をここに呼びよせることができる!」
と叫んだ。外というのは、人間界じゃなくて雪の妖精の国かな。
アイオーンがバカにしたように笑う。
「子どもたちがバラければ、全員を守るのは難しくなりますよ?」
やっぱりあのネックレスは、外と通じている道具――サナがたとえるところの、アリアドネの糸だったんだ。つまりアイオーンがもっとも警戒する必要のある道具だ。
だから子どもたちに探させないために、
「散り散りになって探すようなら、一人ずつ斬っていく」
脅すようなことを言っている。
でも残念でした。
「ネックレスならある! どうすればいい?」
隼人がポケットからネックレスを取り出して、右手で掲げた。
こっちはすでに、ネックレスを見つけている。隼人のファインプレーだ。
「中央についているアスタリスクの宝石を割るんだ!」
キオネアが言う。
アイオーンの動きは素早かった。
隼人が手を動かすよりも速く、子どもたちの輪の中に移動してきて、氷の剣を振った。そこには警告がなかった。容赦がなかった。殺意だけはあった。
隼人が斬られた。
サナの目にはそう映った。
氷の剣が砕けて、細かな欠片が飛び散る。
まるで血しぶきのようだと錯覚したけれど、当の血しぶきは飛んでいない。
キオネアが、アイオーンの剣を防いだのだ。そして砕けたのはアイオーンの剣だった。まるで瞬間移動したかのような攻防であり、息をのむ暇も、悲鳴を上げる隙もない。
隼人は無事だったけど、掲げていたネックレスは、衝撃で少し離れたところに吹き飛ばされてしまった。
すぐ取りに行こうとした優に対して、
「動くな」
とアイオーンが冷たく言う。残った氷の剣を両手で持っている。
優はキオネアに視線を向けた。
「守ってくれるんでしょ?」
「……今度は防げるかわからない」
「わからないなら、信じるよ」
「いや、動いちゃダメだ!」
アイオーンが、優に向かって剣を振るう。キオネアがすんでのところで防いだ。空間を埋め尽くすほどの青い閃光を、そのすべてを、キオネアが防ぎ続ける。
もはや斬り合いという言葉が生温いほどの、攻撃の応酬だった。
キオネアの間合いがそのまま生存可能な空間となっている。
優もサナも詩織も隼人も、まったく動けなかった。
キオネアの間合いから一歩でも外に出たら、体が何分割されるかわからなかった。
ネックレスは見えている。あれを割れば、キオネアの仲間を呼ぶことができる。アイオーンの野望を打ち砕くことができる。
希望がすぐそこにあるのに、
手の届く範囲にはなかった。
それは、存在しないのと同じだった。
「……ごめん、俺のせいで」
隼人は絶望に打ちひしがれた表情をしていた。一週間、何も食べなかったみたいにげっそりとやつれている。人の表情が、ここまで急に変わるところを初めて見た。
「あんたのせいじゃない。あの攻撃は、人間にはかわせないよ。むしろ掲げた右手を斬り落とされなくて良かった」
優が元気づけるように言い、その近くにいる詩織も、うんうんと、うなずいていた。
「で、でも……!」
それでも隼人は、自分の責任だと思っているらしい。左手で握っている氷の剣を、強く握りしめたのがわかった。これは危ない兆候だ。
優も気がついたらしい、
「飛び出さないでよ。私とサナを助けてくれたときとは、状況が違う。ここで飛び出せば、確実に殺される」
「わかっているよ!」
隼人が八つ当たり気味に怒鳴ったけれど、優はその怒りを甘んじて受け入れていた。誰も、何も言わなかった。言えなかった。キオネアとアイオーンの、剣と剣のぶつかる音だけがむなしく響いた。
どうすればいい。キオネアは防戦一方で、このままじゃ押し切られて負けてしまう。子どもたちは、キオネアの間合いの外には出られない。ネックレスを取りには行けない。
どうすればいい。
考えろ。
考えろ考えろ考えろ!
隼人はネックレスを見つけてくれた。サナと優を怪物から助けてくれた。優はずっとサナのことを守ってくれた。自分だって不安なはずなのに、お姉ちゃんだからという理由で、ずっとずっとサナの心配をしてくれた。詩織とキオネアがどういう話をしたかは知らない。でもきっと、キオネアがここまで必死に子どもたちを守ってくれるのは、詩織のおかげだ。
サナだけが、何もしていない。
可能性の話ばっかりして、頭でっかちで、でも大事なことは何一つ予測できなくて。
サナだけがみんなの足を引っ張っている。
――まだできることを考えろ。可能性を考えることが得意だというのなら、ここから逆転できる可能性を見つけ出せ。わたしは野崎サナ。本当に死んでしまうその瞬間まで、生きる希望を探し続ける。
絶対に諦めない。
お姉ちゃんを――春原隼人を、鮎川詩織を、キオネアを、みんなを守る。
覚悟が思考の回転数を上げた。
そしてサナは思い出した。まだ自分には使えるカードがある。サナの足元で、木の枝や雪に覆われ、倒れ伏している雪の妖精がいる。
この妖精は、キオネアの間合いの内側にいる。
アイオーンは気がついている?
わからない。でも言及しないということは、気がついていない可能性が高い。
「キオネアさん!」
と、サナが叫ぶ。彼の集中力を乱したくなかったけど、仕方がない。
キオネアが一瞬だけ、サナに視線を向けた。
なんだ。言え――という合図だとサナは認識した。
「怪物を倒した後、どうやってここから出るの?」
「この土地にかけられている封印が解けて、自由に出入りできるようになる! なぜなら封印の魔力は、怪物自身の命で賄っているからだ」
攻撃の合間を縫って、キオネアが答えてくれた。
自給自足、とはちょっと意味が違うか。
とにかく怪物は、自分の命で、自分を閉じこめるよう封印された。
その封印を考えた妖精は、絶対に性格が悪い。
そういえばさっきアイオーンは、怪物を討伐したと言っていた。
じゃあなんで、封印が解けていないの?
考えられる可能性はいくつもある。
その中で、倒れている雪の妖精と結びつくようなストーリーを考える。
おそらくアイオーンは、怪物に致命傷だけ与えて、放っておいたんだ。
なぜなら封印が解けてしまえば、キオネアを暗殺するチャンスがなくなるから。
キオネアを暗殺したのち怪物を殺す、という順番にしなかったのはなぜ?
怪物がキオネアを殺してくれると思ったから。でもそれはうまくいかなかった。
サナは次の可能性を考える。
怪物の強さが、アイオーンにも未知数だったから、というのはどう?
キオネアと戦っている最中に、怪物に邪魔されたら、三つ巴の戦いになる。混戦は、予想外のことが起こりやすい。実力差で勝敗が決まらなくなる。つまりアイオーンが負ける可能性が出てきてしまう。
だからアイオーンはまず怪物を抑えることにした。
このときキオネアは体を修復させている真っ最中だったから、キオネアが乱入してくる心配をする必要はなかった。この状態のキオネアを襲わなかったのも、やっぱりさっき言った通り、怪物の乱入を恐れたから。
それか罠の可能性を疑ったのかもしれない。
とにかく、どう動くかわからない怪物の抑制が、最優先事項だったんだ。
そしてアイオーンは、怪物に致命傷を与えてから、その場に捨て置くことにした。
続いてアイオーンが気にかけるべきは、ネックレスの存在だ。
あの道具は、一時的に、外の世界と繋がることができる。
体の修復を終えたキオネアがネックレスを見に着けていないのを確認してから、アイオーンはキオネアの前に姿を現した。たぶん、このときに王子暗殺の覚悟を決めたのだと思う。そうだとするなら、子どもたちを皆殺しにする必要が出てきたのもこの瞬間かも。
つまり最初は子どもたちを殺すつもりがなかったかもしれない。
――なんて、これは良い方に考えすぎているかな。
捨て置かれた怪物は死の間際で、元の姿に戻った。それがサナの足元で倒れ伏している雪の妖精の正体だ。
この推測が当たっているかどうかは関係ない。
サナはアイオーンのことをまったく知らないけれど、王族であるならプライドは高いはず。もしあいつが自らに試練を課すようなことをするタイプなら、行動に矛盾が生じることはあり得る。そういったノイズまでは推測できない。
とりあえず今は、サナの解釈で矛盾が生じなければそれでいい。
キオネアは怪物のことを何と言っていた?
魔法兵器の失敗作、だったかな?
これじゃあ情報が足りない。もう一度質問するしかない。
「怪物は、元は雪の妖精なの? 人体実験か何かで失敗して、あの姿になったの?」
「そうだ!」
――元の妖精は、紫色の髪色をしている?
そう聞きたかったけど、ここまで口にしたら、アイオーンに気づかれてしまう。ネックレスの二の舞は避けたい。
サナの頭の中には、一つの答えができていた。
近くにいる隼人はまだ、氷の剣を握っている。サナの足元には、おそらく怪物の正体であろう雪の妖精が倒れている。この妖精のコアを貫けば――殺せば、封印は解ける。
外で待機しているというキオネアの仲間が突入してくれるはず。
ここにはすべてが揃っている。
「隼人さん。剣を貸して」
サナが言う。
隼人が困惑した顔でこっちを見てくる。
「な、なんで」
「いいから貸して」
サナの圧に押されたのか、隼人が氷の剣を手渡した。ずっしりとしていて、重かった。信じられないほど冷たかった。
優が不安そうな表情でこっちを見ている。でもサナのやることに反対はしないでいてくれる。
詩織は何がなんだかわからない、というように首をかしげている。
確証はない。
推論に推論を重ねた状態で、見ず知らずの、雪の妖精を殺さなければならない。
サナの考えが間違っていたときに、責任は取れない。
たとえばサナの考えていることがある程度当たっているとしよう。アイオーンは怪物にトドメを刺さず、放置した。でもその怪物は、ここではないどこか別の場所でゆっくりと死に近づいている。サナの目の前で倒れている雪の妖精は、怪物の正体なんかではなく、キオネアを助けるために無断で外から入ってきた雪の妖精であり、単純に、怪物かアイオーンに叩きのめされただけ――。
そういった可能性だって考えられる。
つまりサナは、自分にとって都合のいい可能性に飛びついただけとも言える。
それでもなお、自分の考えが当たっている可能性は高いと、サナ自身は思う。
目の前で倒れている雪の妖精は、怪物の正体だと思う。
でもやっぱり確証がない。
道徳心は封印したはずだった。
みんなを守るために、なんでもするはずだった。
とはいえ、これはあまりにも……。
サナは氷の剣を持ち、その刃が下を向くように構える。
このまま刃を下ろせば、雪の妖精は死ぬ。
アイオーンがこちらに視線を向けた。一瞬だったけど、わかった。なぜなら、サナの全身を嫌な冷気が駆けめぐったからだ。背筋が震え、歯の根が合わない。もう少しで剣を落としてしまいそうになり、慌ててつかみなおした。
あいつに意識されただけで、これだ。
まだアイオーンは、本気でサナのことを潰しに来ていない。何をしようとしているのか、わからないからだ。
早くこの剣を、刃を、突き立てなくちゃ……。
気持ちばかりが焦る。
すると、倒れていた雪の妖精が目を覚ました。まぶたが開いたことで、顔の辺りに被さっている木の枝や葉っぱがズレたようだ。そして、その奥にある青い瞳と目が合った。
サナはぎょっとしたけれど、刃を引くことはしない。雪の妖精は自分の真上にある剣を見て、それを構えているサナを見て、さらに顔をゆっくりと動かして周囲に視線を巡らせた。
アイオーンとキオネアのすさまじい斬り合いをじっと眺めてから、ようやく口を開いた。
「おそらく君の判断は正しい。俺を殺してくれ」
第一声がそれだった。




