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開幕 『Re:サイカイの決意』
風が吹いていた。
花の匂いを抱え、生い茂る緑を賑やかに鳴らす、春の風。
そんな風が『男』の顔をくすぐりながら、心地よく真っすぐと駆け抜けていく。
「……」
そんな穏やかな風に、彼が感じたのはどうしようもないくらいの懐かしさ。
ひどく遠い昔。その胸に許されざる大罪を抱え、それでも生きると誓ったあの日。
今日と同じ風に出会ったのを彼は今でも鮮明に覚えている。
「……」
だから、これは彼にとって『始まり』ではなく『やり直し』だった。
ここから始まるのではない、ここから始めるのでもない。
その始まりの決意は既に敗北し、朽ち果て、溶け落ちていた。
だから今一度、あの日の決意をやり直すのだ。
「……」
言葉はなく、沈黙のまま男は一歩を踏み出す。
――この世界でもう一度、君との出会いを始めるために。




