第14話 王都到着
翌日、昨日の王都から国王陛下の言葉を伝えに来た、近衛騎士団のアードル・ミッシュンとの待ち合わせ場所である城門前に向かっていた。
懐から懐中時計を取り出し時間を確認すると午前六時になるところだった。城門に着くとアードルさんはすでに準備を整えて、待っていた。
「すいません、お待たせしました。」
「いえ、自分も少し前に来たばかりですから」
アードルさんの装備は外套を羽織っているが比較的軽装の鎧とロングソード、馬の後ろに荷物をのせていた。
今回、選んだ装備は馬上以外の戦闘も考えて、九九式短小銃と森の中での戦闘を考慮して、ソードオフショットガン、サイドアームにコルト・M1911、F1手榴弾とした。それとアードルさんと同じように腰にサーベルを差している。
馬の後ろには一週間分の食料と野営道具一式を載せてある。
「では、王都に向かいましょう。」
「はい。」
そう言って、生まれ故郷の辺境の小さな町、スローンを後にした。
最終的な目的地は王都である、へルシッキ、そこまでは、直線距離で約千四百キロ、実際は約千五百キロ離れている。
馬を各宿場で変えて走り続けて六日、遅くても徒歩で十五日かかる。
馬を休みながら使えば一週間ほどで着くが馬を持っているのは、騎士や貴族だけ。
そのため、農民は、商人の馬車に金を払い乗せてもらうか、冒険者なら目的の場所の護衛依頼をこなしつつ向かうという方法しかない。
もっとも王都にある飛龍騎士団であれば、飛龍を使い一日でここまで来ることができるらしい。だが、この飛龍は希少だが一頭で100人規模の兵団一つを壊滅できる。このエンリル王国は飛龍を50頭保有しており、この飛龍師団が最高戦力となっている。
さて、初めに向かう目的地はここから100キロ離れている村に向かう。今から向かうため夕暮れ前には着けるらしい。
二人でその村に向かう道を並びらがら進んでいく、この道は商人や冒険者なども使うため整備されている。
村に着くまでは、野原や小さい森を抜けるが盗賊や夜盗などの心配はない、定期的に冒険者ギルドに探索や討伐を依頼しているため、モンスターや狼などの動物もほとんどいない比較的安全なルートとなっている。
のどかな風景が続き、昼食などをはさみながら予定通り夕方には目的の村に着いた。
村の宿屋で一泊し翌日の早朝、再び出発した。
その後も問題なく順調に旅は続き出発からちょうど一週間、エンリル王国、首都である王都ヘルシッキにたどり着いた。
王都は背後に巨大な湖が広がっており、この湖のおかげで珍しい生鮮食品である魚が多く出回っている。
守りに関しては、王都全体に城壁が二重に建てられており、これが第一防衛線となっている。
たとえ敵がこれを突破しても第二防衛線である城壁はさらに高くなっており、その間は複雑なつくりの壁が建てられており、攻城兵器を持ち込もうとしても住居や商店が邪魔で大通りにしか設置できないため、突破には相当な被害を覚悟しなければならない。
さらに第二防衛線には水路が張り巡らされており城壁に容易にとりつくことすら困難な城壁となっている。最終防衛線である王城は城自体が湖の中に建っており正門に架かっている橋を上げると侵入することは、ほぼ不可能となる。
この城塞都市がこの国の王都ヘルシッキある。
「どうですか?マンシュ様、我が国の王都であるヘルシッキは、とても美しいとは思いませんか?」
「はい、とてもきれいだと思います。特にあの湖に浮かぶ王城は、水に浮かんでいるようでとても美しいと思います。」
しばらく王都を見た後、正門にむかって進みだした。
正門には、商人の馬車や依頼を終えたと思われる冒険者や王都まで作物や工芸品を売りに来たと思われる商人が長い列を作り出していた。
自分たちもこの列に並ぶのかと思えば列の横を素通りし先頭近くにいる衛兵にアードルさんがないか取り出して渡すとそれを受けっとた衛兵が急いで城門の内側に走っていき、すぐに戻って来た。渡された物をアードルさんに返すと持ち場に戻って行った。
アードルさんに付いていくように言い列の横を素通りし、王都の中に入ることができた。
「アードルさん、あの時近くにいた衛兵に何を渡したのですか?」
「あれは、近衛兵が王の使者として派遣された際に持つ腕輪で、城門の検査なしで入ることができるようになっているんです。仕組みは詳しくは知りませんが王族の家系だけが持つスキルの力で城門の詰め所に設置されているマジックアイテムにかざすと真ん中にある宝石に王家の紋章が浮かび上がる仕組みになっています。偽造しようとしても紋章が出なければ偽物とすぐに見分けることができます。例え奪われても仮の持ち主が登録されているので、すぐに分かります。」
「なるほど、つまりはその腕輪は王家からの使者であり、王家の血筋のものでなければ作れない物で偽造や入れ替わりなどを防ぐことができるのですね。」
「マンシュ様の言う通りですね。実際数十年前に帝国の密偵が使者を殺し、入れ替わり侵入しようとしたことがあったらしいですが、腕輪に紋章が浮かび上がらずに偽物と判明した、ということがあったらしいです。そのことが原因で使者は王の従者ではなく、近衛兵が務めるようになった原因の一つです。」
帝国、正式名はバルバロッサ神聖帝国、強大な軍事力で小国を滅ぼし勢力を広げ続けている軍事国家である。
国の内部はエルフや獣人などの亜人を奴隷として扱う卑劣な国家である。
理由としては、帝国の国教であるルミノド聖教の教えを強く受けているためだる。
この宗教は、人間上位主義をそれ以外の亜人などをまるで動物のような存在と示している宗教である。そのため帝国では、人身売買や亜人狩りなどが法律で許されている。そのためなのかこのエンリル王国に逃げてくる元奴隷も多い。
帝国は数百年に渡り度々隣国に侵攻し、国を滅ぼしながら勢力を拡大し続けている。
このエンリル王国は独立から何百年も帝国と戦っているが一番最近の戦闘は100年ほど前が最後で、侵攻にあったものの要塞でなんとか守り切り、侵攻を阻止し国を守った経験がある。
この国が攻めにくい理由は帝国との国境線が高い山脈に面しており、侵攻するためには山脈の間にある要塞を攻略するしかない。
数か月続いた帝国との戦いは両軍に多数の死傷者を出しながらも一歩も王国内に踏み込ませなかったエンリル王国の勝利と言える。
この戦いはコッラー要塞の戦い、または奇跡のコッラーと言われている。
この話は人々の間で今でも語り継がれている。
「それでは、王城に向かいましょう。今から向かえば十二時までには着けると思います。」
「わかりました。思った以上に長く話ってしまってすいません。」
「いえ、ここまで長く話せる人も珍しいので思った以上に私の方も話してしまいましたしね。」
そう言いながら王城に続く大通りを二人並びながら進んでいった。
王城までの道のりは思った以上に長くどれぐらいあるのか聞いたところ入った城門からおよそ十キロぐらい離れているらしい。城門から町の中に入ったのが十時ぐらいだったのが王城の跳ね橋の前に着いた頃は十二時近かった。
このとき、思いもしなかった。この王城で衝撃の再開をしようとわ。




