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銀河連邦学術士官ユーリ・フォイルの、剣と魔法のフィールドワーク  作者: ハヤケン


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第9話 村に逗留させて頂ける事になりました

「カガクギジュツ……?」

「遠い外国の魔法かも知れません。海の水を飲める水に変えてしまう魔法なんて、初めて見ましたし……」


 そうアルカが考察する。


「ああ、そうだな。そもそもユーリは空を飛んでいて落ちてきたのだものな。凄く遠い所から来たのか?」

「はい、そうですね。銀河連邦と言う所から――」

「ギンガ連邦? やはり知らない国だな……世界は広いなぁ、こんな見た事もない使い魔や魔法が使われている国があるなんて」


 レティーナはアークの方を興味深そうに見つめている。

 アークの事は魔法使いが使う使い魔だと解釈しているようだ。


「ははは……そうですね」


 レティーナが言う世界とは、このMS-1の惑星内の事だろう。

 まだ惑星全体を正確に記した地図や、地理的な知識は出回っていないのだ。

 それが夜空に見える星々にもっと沢山の世界が広がっていると知れば、どう思うのだろう。


「それで、ユーリはこれからどうするんだ? 元いた場所に帰るのか?」

「いえ、すぐには戻れませんから、どうしようかと――」

「おお……! なら、是非暫く村に滞在してくれないか!? 先程も見た通り、水不足で困っていた所なんだ。雨水を溜めて凌いでいたんだが、最近日照りが続いていてな」

「はい! 僕達でお役に立てるのであれば、是非お願いします」


 マナ文明の集落に逗留しての現地調査など、願っても無い絶好の機会である。

 ユーリと同じマナ文明の研究者達が、一生かかっても巡り会えないであろう奇跡だ。

 断る理由が何一つとして無い。ワクワクしかしない。


「ありがとう! 本当に助かるよ!」


 レティーナがユーリの手をぎゅっと握る。


「いえいえ、こちらこそ貴重な機会を頂けて嬉しいです! ですが、森の中には川や湖みたいな水源は無いんですか?」

「いや、分からないんだ。森の奥に入ろうとすると、あそこに棲み着いた竜人(ドラゴニュート)達に襲われてしまうからな。どうも彼等は、私達を森の奥に近づけたくないらしい」

「ああ、なるほど。まだ島の全体像が把握できていないと言う事なんですね」


 レティーナ達もまだ、このガルドラス島に来て生活の基盤を整えようとしている最中なのだ。


「うん。実は、先程は森に入って水源を探しに行こうとしていた所だったんだ。状況は深刻だったからな。それで川や湖では無くユーリをみつけたわけだ」

「なるほど。それはいい所に居合わせたかも知れません。レティーナさんにも竜人(ドラゴニュート)の皆さんにも、傷ついて欲しくはありませんから」

「ユーリはとても優しい子だな。確かに、彼等とも傷つけ合わずに済むなら、それが一番だな」

「出来ればレティーナさん達のお話を聞かせて頂いて、暮らし向きを見させて頂いて、同じように竜人(ドラゴニュート)の皆さんのお話も聞かせて頂きたいですし、暮らし向きを見させて頂きたいですからね! どちらかがいなくなってしまえば、貴重な機会が失われてしまいます! 僕はこちらの星の事を何でも知りたいんです!」

「ん……? あ、ああ? そうか……?」


 ちょっとレティーナが首を傾げた時――


「姫様! 姫様……! いらっしゃいますか?」


 家の扉がノックされ、外からレティーナを呼ぶ声がする。


「どうした? 何かあったのか?」


 レティーナが外に出て問いかける。


「いえ、何があったって訳じゃないんですが。もし宜しければもう少し……」


 そう言う村人達の手には、水瓶が握られている。


「ああ。まだお水が足りませんでしたか。では、追加でお配り致しましょう」


 ユーリは嫌な顔一つせず、笑顔でどんと胸を叩く。


「……頼めるか、ユーリ。本当にありがとう」


 レティーナはユーリに深く頭を下げる。


「いえいえ。翻訳も出来るようになりましたし、是非皆さんのお話を伺ってみたいですから!」


 皆が集まってくれるなら、話を聞く絶好のチャンスである。


「ユーリは本当に優しいなあ。おまけにこんなに可愛いくて……天使みたいだぞ」


 レティーナがユーリを見て目を細めている。


「ははは。それは良く捉え過ぎですよ、レティーナさん」

「ふふっ。では申し訳無いが甘えさせてくれ、私は夕食を作って待っている事にするよ。楽しみにしていてくれ」

「わぁ! マナ文明の現地の食事……! とても興味があります! 是非よろしくお願いしますレティーナさん!」

「うん、任せてくれユーリ。こう見えても料理は得意なんだ」

「はい! では行ってきますね」

「わたしもお手伝いさせて下さい! お願いします!」


 そう申し出るのはアルカである。


「ええ、是非よろしくお願いします。それでは行きましょう!」


 ユーリは笑顔で頷いて、アルカや村人達と一緒に海水の出る井戸に向かう。

 そこには既に長蛇の列が出来ていて、先程より多いかも知れないくらいだった。


「わあ、こんなに……! よし、頑張ろうアーク!」

「了解です。ユーリ」

「わ、わたしも頑張ってお手伝いします……!」


 ユーリ達は再びアークが淡水化した水を配る配給作業に臨み――

ここまで読んで下さりありがとうございます!


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