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銀河連邦学術士官ユーリ・フォイルの、剣と魔法のフィールドワーク  作者: ハヤケン


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7/10

第7話 サバイバル機能にはこんなものもあります

「アーク。オーダー、浄水化装置を」

「了解」


 ユーリの指令を受けたアークは、井戸の縁の部分にちょこんと着地する。

 そしてボディの頭頂部から半透明のタンクのようなパーツがせり出し、後方部分からは長いチューブ状のパーツが伸び出し、井戸の中へと降りていった。

 低い駆動音のような音がして、アークのボディの表面に、処理中を示す赤い光のサインが点滅する。


「ユーリ? ▼★◎△▼△▼?」


 そのアークの動きを見たレティーナが、ユーリの名を呼んで質問してくる。

 相変わらず、ユーリの名以外の言葉は分からない。


「僕に任せて下さい!」


 ユーリは殊更おおきなモーションで、胸をどんと叩いて任せろ、という意思を伝える。

 アークにはフライトボード以外にも、必要に応じてマスターの助けになる機能が搭載されている。

 これもその一つ。

 事故や災害など緊急時に、飲み水を確保するサバイバル機能の一つだ。

 汚染物質を除去して安全にしたり、海水の塩分を除去する事も出来る。

 レティーナと共にアークの様子を見守っていると、せり出した半透明のタンクの部分に、段々と水が溜まっていく。

 アークのボディ内で浄化された処理水だ。


「一定量の蓄積完了。外部送水可能です」


 アークのボディーの処理中ランプが、グリーンライトへと変わる。


「ありがとう、アーク」


 タンク部分にはレバー式の蛇口が取り付いており、それを引くと水が出てくる。

 ユーリは出てきた水を手で受け、一口口にする。

 塩味はしない。真水の飲料水だ。


「うん。美味しい水だよ、アーク!」

「正常動作を確認。正常動作を確認」

「レティーナさんもどうぞ!」


 ユーリはレティーナの手を取り、アークのタンクの水を手で受けてもらう。

 レティーナはそれに恐る恐る口をつける。

 また塩辛いのではないかと、警戒しているようだが――


「!?」


 当然それは、ユーリも口にした普通の美味しい水だ。


「△▼△▼★▼★▼! △▼△▼★▼★▼!」


 レティーナは顔を輝かせ、大きな声を上げる。

 それを聞いた村人達が、わっとユーリとアークの元に集まってくる。


「さあ、皆さんもどうぞ! 飲んでみて下さい!」


 ユーリは次々と村人達に処理済みの飲料水を飲ませていく。

 すると皆顔を輝かせ、暗かった雰囲気が俄に活気づいていく。


「▼★△▼△▼★▼?」


 水瓶を持ってきた村人がおり、瓶を指差して尋ねてくる。

 何が言いたいのかは当然分かる。水に困っていたのだろう。


「はい、勿論ですよ!」


 ユーリはそれに水を満たし、返してあげた。


「さあ他の皆さんも、お水が必要な 方はどんどん持ってきて下さい!」

「説明資料映像を添付」


 アークのボディから、立体ホログラフィの映像が出力される。

 水瓶を持った村人達が列を作って並び、ユーリがそれに水を注いで手渡してあげる姿だ。

 ユーリはそれを見ながら大きく頷き、村人達ににっこりと笑顔を向ける。


「「「▼★△▼△▼★▼!」」」


 村人達は一斉にそう声を上げる。

 そして横から、誰かにぎゅっと抱き締められる。

 レティーナだった。ふんわりといい香りがしたような気がした。


「▼★△▼△▼★▼!」


 満面の笑みの端には少し涙が滲んでいたりして、本当に嬉しそうだった。


「ユーリ。彼らの言語体系の一次解析が完了。α版ですが『MS-1人語翻訳プログラム』を生成します。すぐにダウンロードしますか?」

「おぉ……!? さすがアークは仕事が速いね! 早速お願い!」

「了解。ちなみに、今彼らやレティーナさんが口にしていた言葉は……」

「いや、それはさすがに分かるよ?」


 言葉が分からなくても、伝わる表情や気持ちというものがある。

 そしてそれを生で感じられる事が、フィールドワークの醍醐味というものだろう。


「ありがとう、でしょ?」

「いいえ、ちがいます」

「え!? 違うの!?」


 ユーリはびっくりしてしまう。だとしたら何を言っているのだろう?


「……いえ、ユーリの言う通りで合っています」


 アークは時々こういう茶目っ気を発揮してくる事もある。

 だから単純なサポート、機械的なものとはユーリには思えず、大切な相棒であり家族のようなものだ。


「もう、びっくりしたなあ」


 ともかく、困っているマナ文明の人達を手助けできたようで、非常に喜ばしいことだ。

ここまで読んで下さりありがとうございます!


『面白かったor面白そう』

『応援してやろう』

『ユーリくん!』


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