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銀河連邦学術士官ユーリ・フォイルの、剣と魔法のフィールドワーク  作者: ハヤケン


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第25話 レーザーブラスターは光の魔法じゃありません

「アルカは私より酒に強いからな」

「ははは、凄いですね」

「まあ、私達のいたリューシュの名産は葡萄酒だったからな。その造り手として早くから味が分かるようにならねばと言うのもある」

「なるほどそういう文化なんですね」

「ああ。いずれこのガルドラス島でも葡萄畑を作りたい所だな」

「それは楽しみです! 是非見てみたいですね!」

「うん。種は持ってきているから、落ち着いたらやろう。それはそうとアルカ、ユーリが勇者だというのは?」


 それも気になる所だ。

 先程葡萄酒を吹き出してしまったのはいきなりのお酒に驚いたからだけではなく、アルカの発言の内容も原因だ。


「いやいや、僕は勇者なんかじゃないですよ」


 このMS-1にも勇者や魔王という概念があるようだが、それはマナ文明の個体差のボラティリティが生み出した上振れの極地のような存在だ。

 要はマナ粒子が極圧縮されたような力の強い存在である。

 マナ粒子にまるで馴染みのない銀河連邦人とは似ても似つかない存在だ。

 だからこそ観察対象や研究対象として、これ程興味深いものは無い。

 もし今MS-1に勇者がいるのなら、是非とも会ってみたいものだ。

 なのにユーリが勇者だなどと言われてしまうのは逆に夢がない。


「だけど、ユーリくんが使ってたそれは光の魔法でしょ?」


 と、アルカはユーリの腰のホルダーに収納されているレーザーブラスターを指差す。


「光の魔法は勇者様にしか使えないんだよ?」

「おお、確かに光の魔法かも知れない!」


 レティーナもそうか、と手を打っている。


「ユーリが勇者様だなんて素晴らしいじゃないか! こんなに可愛くて優しくて……夢があるな!」

「いやいやいや、夢なんて無いですよ」


 勇者とはマナ粒子のボラティリティが生み出す人の形をした究極生物だ。

 それが実はレーザーブラスターを携えた銀河連邦人、つまりエイリアンだというのはSFとしては面白いかも知れない。

 が、結局の所マナ文明の生んだ至高の人間はいないという事になってしまう。

 銀河連邦人が銀河連邦の兵器でマナ文明を制圧しただけだ。


「謙遜しなくてもいいぞ、ユーリは奥ゆかしいな」

「違うんですって、レティーナさん!」


 ユーリは少々不満顔をする。

 銀河連邦の兵器でマナ文明を制圧して、それは旧時代に銃と航海技術を持つ人間が新大陸に渡って現地住民を制圧したのと何が違うのか? それこそ夢がない。

 そもそも『銀河環境保全法』に違反しているだろう。


「これは人に依存した魔法ではなく、弓矢や弩に近い道具です。誰でも使えるものですから、僕が光の魔法を使えるわけではないんですよ」

「うーん? つまり私達にも使えると?」

「まあ、そういう事になりますね。照準や何かの道具を使いこなす技術というものは必要 にはなって来ますが」

「本当!? わ、わたし使ってみたい! 使ってもいい!?」


 と、アルカがやけに積極的だ。


「う、うーん……? まあ、少しだけだよ?」


 マナ文明の現地の人に銀河連邦人の装備を使わせるなど誉められた行為ではないが、誤解を解くためには仕方が無い。


「ほら、アルカ。ここから光線が出るから銃口を向けて狙いをつけて――ええとじゃあ、ああの大きな石を狙おうか? ここを押すと発射ね。両手で持って狙いをつけて……」

「うん! こ、こう?」


 ユーリからかレーザーブラスターを受け取ったアルカが、銃口を道端の小岩に向けて構えを取る。

 あまり腰の入っていない頼りない構えだが、レーザーブラスターには発射の反動は特にないので大丈夫だろう。

 薬莢式の銃なら反動でこけてしまうかも知れないような構えだ。


「よし、じゃあ発射」

「はい!」


 ビシュゥゥンッ!


 レーザーブラスターの光線が発射され、小岩を直撃。

 それが砕けて破片が飛び散った。

 当たり前の事が当たり前に起きた、というのがユーリの感想だが――


「わぁ! す、凄い! 本当にわたしにも光の魔法が使えるんだ……!」


 アルカはかなり驚いているようだった。


「本当だな! ではユーリの言うようにユーリだけが特別ではないと……こんなものが沢山あるという事か? ギンガ連邦という所は」

「はい、そうなりますね」

「凄いものだなあ。だが、ユーリのようなギンガ連邦の人間が勇者の言い伝えの元になっている可能性もあるな。こちらに迷い込んだら誤解をされてしまうだろう?」

「それは否定しませんが、実態はこんなものですよ?」

「どちらでもいいのさ。どちらにしても私達はユーリに助けられたし、ユーリは特別な存在だよ」


 レティーナは笑顔でユーリの頭を撫で回している。

 まるで親戚の子を猫可愛がりするような様子だ。

 少々顔も赤く、酔いが回って来ているのかも知れない。


「ははは。レティーナさん少し酔ってますね?」

「いやあ済まない、ついつい。ユーリが可愛すぎるし綺麗な髪の色だからなあ」

「でもいいなあ。こういう道具があって、アークさんもいたらわたしも魔法が使えなくても皆の役に立てるのかな……?」


 アルカはレーザーブラスターを名残惜しそうに見つめている。

 宮廷魔術師の孫としてその役割を継いで皆の役に立ちたいと自分でも思っているアルカにとっては、こういうものがあればと考えざるを得ないのだろう。


「ごめんね。流石にあげる事は出来ないんだけど……」

「あ、ううんごめんね! 返すね、ありがとう」


 アルカはレーザーブラスターを返してくれるのだが、名残惜しそうでもある。

ここまで読んで下さりありがとうございます!


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『ユーリくん!』


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