山田太郎②
高熱にうなされて遅れましたと言い訳をさせていただきます。
39度近くまで上がるともう駄目だったよ……画面を見るだけで倒れそうでした。
「大変、申し訳ありませんでした!」
目が覚めた途端、土下座された。
「え? ……えっ? なにこの状況」
てかなんで俺は寝かされて……あ、思い出した。
土下座している少女の頭突きを受けて気絶したんだっけ。
「ほら、フェリもちゃんと謝りなさい!」
「えーっと、ごめんなさい?」
「違うでしょ?」
「……誠に、申し訳ございませんでした」
美少女二人に土下座されると、こう、なんというか……逆にこっちが申し訳なくなってくる。
それを見かねてか、主人のような振る舞いをしているから主人なんだろうと思う、地味じゃないけど目立たない、表現に困る男の人が話に入ってきた。
「こうして謝っているのだ。謝罪と謝礼を受け入れてはくれまいか?」
「あ、はい」
「そうか。よかったな。従者という戦力が増えて。……戦術級だが」
反射的に返答しちゃったけどこの男、最後になんて言った?
「じゃあそういうことで」
スパーン!
白銀の獣耳にハリセンの猛攻が炸裂する。
「フェリ。毎度毎度、何度同じ事を言わせるのですか」
「うぅ……痛いの」
「新しいご主人様へのご挨拶は?」
「不束者ですが、よろしくおねがいします」
「よろしい」
ぺこり、と再び頭を下げられても、話がさっぱり見えてこない。
「どういうことですか?」
「なに、こちらの躾が行き届いていなかったが故の事故であったからな。見たところ、冒険者にでもなるつもりであったのだろう? このフェリを無償で貸してやる。それで許せ、という話だ」
「よろしくねー?」
スパァァァン!
「い、痛いってば……!」
「自業自得です。叩かれたくなければまずそのチャラい言葉遣いをやめなさい」
「軽いフレンドリーな口調と言って欲し」
スパーン。
「大変お見苦しいところを見せてしまいまして、申し訳ございません」
「あぅ~……」
のたうち回る白銀の狼少女。
話が進まん。
「ミーニャちゃん……俺と一緒にいた黒猫の女の子は?」
「奴隷からの開放を希望していたのだろう? もう済んだぞ」
「手数料とかは……」
「いらん。元々あの娘は攫われて奴隷になったと聞く。不当な理由で奴隷身分に落ちた者から金銭を巻き上げる外道のようなことはせん」
良い人だ。特徴という特徴がなくて身に付けている装飾品しか印象に残らない人だけど。
だが、それよりも肝心な話があったような気が。
「いまさっき、話の流れでさらっと流したけどそこの子が俺のところに来るって話がありませんでした?」
「それがどうした? 不満か?」
「いやいやいや! 貰えるものは貰っておきたいけど、きみはそれでいいの?」
「そもそも奴隷如きに所有者、主人を選ぶ権限も権利も、その余地すらないのに私如きになにを問うというのですかこのニューボケ主人は」
スッパァァァアアアアアアアアァン!!
「ぎにゃぁぁぁ!?」
「恥ずかしながら、このフェリと申します娘は傲慢不遜な態度とそれに見合うだけの実力を有しておりまして、私などでは十分な教育を与えられないのです」
「であれば、実務による経験を積ませるしかあるまい?」
「いやその理屈はおかしい」
すぱーん。
「ご主人様が申されることは絶対です。お黙りなさい」
「……はい」
フェリと呼ばれた子がなにやら訴えようとしたが、取り付く間もなく一蹴された。
「顔見知りであるとどうしても甘くなりがちでな。だからといってあまりに信用に値しない相手に渡すことも避けたい。そこに――」
「俺が現れた、と?」
「そうだ」
「俺なんかのどこが信用に値するんですか?」
「知らん」
「えぇー……」
「フェリが良いと言ったのだ。それで十分だ」
横目でフェリちゃんを見ると、苦笑いで返された。
なぜに?
「まさか私もこうあっさりと手放されるとは思ってもいなかったもので」
「手放すつもりは毛頭ないが。いつまでもここに置いていても腐らせるだけであろう? そうなってしまっては集まる客も蝿か蛆ばかりになってしまう」
「私は夏場の死体ですか。まぁ、そろそろお外に長期で出たいなー、とは思っていましたけど」
「というわけだ」
「はぁ……」
ご都合主義とはまた違った事情に巻き込まれた予感がする。
そんなことを考えていると部屋の扉が開き、
「タロー様!」
ミーニャちゃんが飛び込んできた。
そのまま俺が寝ているベットにダイブ。
ぐえ。
ミーニャちゃんは軽いからまだ良いけど、VITを強化していない状態の俺だったら悶絶してると思う。
「お怪我はありませんか!?」
「いま正に軽傷を負ったと思う」
「そんな! いったい誰がそのようなことを!」
「本気で言ってるんだよね、これ……」
フェリがなにか言いたげに俺を見る。
わざとじゃないから別に良いよ。
でも、早く退いて欲しい。
そう言いたくても肺の中の酸素を吐き出しきってて、ミーニャちゃんが腹の上に乗ってる以上呼吸もままならないこの状況。
誰か、助けて。
「娘。そろそろ退いてやったらどうだ」
「あっ、そうでした! すみませんタロー様」
「いや、良いよ……」
「キュートなお尻の感触が楽しめたから満更でもなさそうだね」
「んなこと言ってねぇよ!?」
「口では言ってなくても心の中で思ってたでしょ」
「えぇっ!? あ、でもタロー様なら……」
あ、フェリちゃんの方に向いてたからミーニャちゃんの最後の方の言葉が聞こえなかった。
てかフェリって呼び捨てにしてもいい気がする。
ちゃん付けするのはどうにも癪だ。
「呼び捨てで構いませんよ」
「まだなにも言ってないんだけど!?」
「女の勘です」
恐っ! 女の勘めっちゃ恐っ!
ミーニャちゃんが訝しげにこっちを見てくるし。
「タロー様、その子は?」
「あー、ちょっと預かることになった」
「仲良くしてやってくれ」
「あ、はい。タロー様が良いのでしたら私は構いませんが」
なんだかなぁ。
こうもあっさり受け入れちゃって良いものなのか。
釈然としないままフェリを見ると、
「これからよろしくお願いしますね、ご主人様っ!」
元気いっぱいの微笑みを向けられた。
……まぁ、悪くはない流れだな。
未来のヒロイン候補? ありゃ違うわ。
俺の方からお断りさせていただくよ。
フェリはただの……そう、ただの旅仲間かな。
ぽーんっ、というどこかで聞いたことがあるようなないような、言葉にし辛い音が脳内に響いてきた。
これを聞くのは初めて技能を取得可能になった時以来だな。
[パーティーメンバーに奴隷フェリが加入しました]
[技能取得可能欄を更新しています]
[更新にエラーが発生しています]
[対象の危険度判定を更新しています]
[対象からの技能取得は全てレベルⅠからの取得のみとなります]
うん?
相変わらずなんだかよくわからない説明だな。
あの自称転生神に会ったら訊いてみたいんだけど、生憎どうやったら会えるのか、話をすることすら見当もついていない。
[取得魔法技能欄の更新が終了しました。
*魔法は取得条件を満たしていません。
**魔法は取得条件を満たしていません。
時魔法が取得可能になりました。
空間魔法が取得可能になりまし(以下略)
*術は取得条件を満たしてい(以下略)
樹魔法は取得条件を満たしry
無魔法が取得可能になりまry
精霊魔法は取得条件を満ry
**魔法は取得条件をry
精神魔法が取得可能になりry
魔術が取得可能になry
邪術が取得可能にry
呪術が取得可能ry
闇術が取得可能ty
召喚術が取得可能ry
仙術が取得可能ry
占術が取得可能ry
黒魔法が取得可能ry
氷魔法が取得可能ry
雷魔法が取得可能ry
地魔法が取得可能ry
木魔法が取得可能ry
重力魔法が取得可能ry
闇魔法が取得可能ry
音魔法が取得可能ry
冥魔法が取得可能ry
火術が取得可能ry
水術が取得可能ry
風術が取得可能ry
土術が取得可能ry
幻術が取得可能ry
精霊魔術は取得条件をry
死霊術が取得可能ry
白魔法が取得可能ry
緑魔法が取得可能ry
裏魔法が取得可能ry
召喚魔法が取得可能ry
間接魔法が取得可能ry
金魔法が取得可能ry
光魔法が取得可能ry
霊術が取得可能ry
気術が取得可能ry
妖術が取得可能ry
付加魔法が取得可能ry
毒魔法が取得可能ry
聖魔法が取得可能ry
治癒魔法が取得可能ry
付与魔法が取得可能ry
天魔法が取得可能ry
光術が取得可能ry
回復魔法が取得可能ry
錬金術が取得可能ry
施術が取得可能ry
忍術が取得可能ry
紋章術が取得可能ry
晶術が取得可能ry
生活魔法が取得可能になりました。
……。
――取得下位技能欄の更新が終了しました。
詠唱短縮が取得可能になりました。
魔道具作成が取得可能になりry
身体強化が取得可能にry
杖術が取得可能ry
体術が取得可能ry
刀術が取得可能ry
槍術が取得可能ry
投擲が取得可能ry
直感が取得可能ry
闘気術が取得可能ry
威圧が取得可能ry
毒耐性が取得可能ry
火耐性が取得可能ry
氷耐性が取得可能ry
魔力操作が取得可能ry
従魔契約が取得可能ry
拳術が取得可能ry
家事が取得可能ry
調理が取得可能ry
指導が取得可能ry
調教が取得可能ry
算術が取得可能ry
速読が取得可能ry
遠見が取得可能になりました。
新着システムメッセージは以上です。
――メッセージを終了します]
……ファッ!?
技能のほとんどはベルフェリのものです。
現時点で取得が可能なのは一般的、もしくはマイナーな魔法技能か下位技能だけで、特殊や上位は条件を満たさないと出現しません。
正直やりすぎたかな、と思っていますが。後悔はしていない。
術とか極一部しか出す気ないですし。あと魔法技能の並び順がベルフェリのレベルに合わせた順番だから直すのめんどくさいっす。




