第7話 唯一の男
ヴィクトリアス学院。教室。
「新しい教師のベアニソスだ」
地下深くで眠っていた男の人が、マドルのクラスの担任となった。
授業の休み時間。
「新たなマドモアゼル。キミの唯一の男はワタシだ」
教師ベアニソスが、マドルの手に口づけをした。
マドルは、驚く。
「マドルに唯一の男だと…」
「マドルは俺のものだ…」
男子生徒たちは、ベアニソスに嫌悪感をあらわにする。
女子生徒は、一人だけ。
この学院において、マドルは、男子生徒全員に愛されている。
男子生徒全員は、マドルのトリコだ。
教師は、その中には入っていない。
マドモアゼルを教師に奪われたくない男子生徒たちが、教室に次々と抗議にやってくる。
第7話 唯一の男
「マドルは、俺たち、生徒全員のものだ…」
「そうだ。そうだ…」
「新たなマドモアゼルは、たった一人に愛されることを望んでいる」
ベアニソスは、生徒たちを制止する。
ヴィクトリアス学院の地下深く。
ベアニソスの試練に挑んだマドル。
マドルは、答えた。
唯一の男に愛されるか。
多くの男に愛されるか。
どちらを望むか。
「新たなマドモアゼルは、唯一の男に愛されたいと望んだ。ワタシは、マドモアゼル・マドルの唯一の男となる」
「何だと…」
男子生徒の一人が、ベアニソスのシャツを乱暴につかむ。
「無理矢理に言わせたんだろ。マドルは、俺のものだ…」
「俺のマドルだ…」
教室内は、マドルをめぐった争いを激化させようとしている。
「近く、ヴィクトリアス学院でダンスパーティーがある。その時、決着をつけようじゃないか…」
「…ダンスパーティー?」
何も知らないマドル。
「ヴィクトリアス学院では、理事長の誕生日にダンスパーティーを開くんだぜ」
「結構、大きなホテル会場を貸しきるんだよ」
「今回は、マドルさんがいるから楽しみです」
ハモニス、ファッソ、ラシードが答える。
ヴィクトリアス学院の行事の一つ。
理事長の誕生日に開かれるダンスパーティー。
生徒全員が参加する一大パーティー。
「…そんなものがあるのね」
マドルは、感心する。
理事長といえば、アレキサンダーだ。
愛するアレキサンダー。
片想いをしている。
迷惑でも、心の中で想い続けたい。
近くにいたい。
理事長アレキサンダーの誕生日にダンスパーティー。
マドルの心に、アレキサンダーとダンスをしたい気持ちがあふれてくる。
どれほど、うれしいだろう。
夢心地になるマドル。
「マドモアゼル・マドル。ぜひ、ワタシとダンスを」
「マドル。俺とダンスを…」
「ダンスをエスコートさせてくれ…」
ダンスパーティーでは、男子生徒たちとベアニソスが、マドルを取り合うと宣言する。
ダンスなど未経験のマドルだが、男たちは、上手にエスコートすることを誓う。




