第6話 ベアニソスの試練
ヴィクトリアス学院。地下への階段前。
「じゃんけん…」
男子生徒たちが、じゃんけんをしていた。
マドルに課せられた、“ベアニソスの試練”。
それに、同行できるのは、男子生徒一名のみ。
その一名を、じゃんけんで決めている。
「よーし。勝ったぜ!」
風紀委員長ハモニスが、じゃんけんに勝ち抜いた。
「じゃんけん強いね。ハモニス」
「じゃんけん強いですね」
ファッソとラシードが、拍手を送る。
「マドル。キミのことが心配だ…」
「どこにいても、キミのことを愛している…」
男子生徒たちに見送られて、マドルとハモニスは、地下への階段を降りていく。
第6話 ベアニソスの試練
地下深くへの階段。
地下5階。
「何があっても、マドルはオレが守るぜ」
「ありがとう。ハモニス」
マドルとハモニスは、携帯のライトを頼りに、地下を探った。
地下に、ベアニソスがいる。
ヴィクトリアス学院のマドモアゼルに課せられる試練。
“ベアニソスに愛される試練”。
新たなマドモアゼルであるマドルは、この試練を乗り越えなくてはならない。
できなければ、学院を追い出される。
入学理由は、理事長アレキサンダーへの片想い。
アレキサンダーには、他に好きな女の子がいる。
でも、片想いを続けたい。
この学院に、近くに、いたい。
「ボクの眠りをさまたげるのは、誰だい?」
声がした。
男の子の声だ。
携帯ライトを声のする方に向けると、水色のぬいぐるみが置いてあった。
いや、動いている。
可愛いぬいぐるみに見える。
「きっと、ベアニソスだぜ。気をつけろ」
「…可愛い」
警戒するハモニスだが、マドルは、思わず本音をもらしてしまう。
とことこ。とことこ。
ぬいぐるみは、マドルの足元に歩み寄る。
マドルは、その頭をなでてあげた。
「心優しい、女の子だね。ボクは、ベアスだよ」
ぬいぐるみベアスは、うれしそうにうなづいた。
「心優しいマドモアゼルよ」
再び、声がした。
声の先には、大きな棺が置いてある。
その棺が、ゆっくりと開く。
「ワタシの名前は、ベアニソス」
黒いスーツ。黒いマント。
怪しい男の人。
「ベアニソス…?…んん」
マドルの口が、突然開かなくなる。
「どうしたんだよ!マドル」
ハモニスは、マドルの異変にあわてた。
ベアニソスを名乗る男は、ゆっくり近づいてきて、マドルを抱きしめる。
「ワタシは、ベアニソス」
「…!」
「決めてもらおう」
あらがえないマドルの耳元に、ベアニソスはささやきかける。
たった一人の男に愛されるか。
多くの男たちに愛されるか。
マドルに決めろという。
「ん…。何なの?」
やっと喋れるようになったマドル。
しかし、ベアニソスにしっかりと抱きしめられている。
思わず、顔が赤くなる。
こんなに強く男の人に抱きしめられるなんて。
「決めよ。新たなマドモアゼル」
「私は、一人の男の人に愛されるために、この学院に入学したのよ」
マドルは、答えた。
片想いの相手アレキサンダー。
愛されたいのは、ただ一人。
「そうか」
それを聞いたベアニソスは、ニヤリと笑う。




