第5話 デーメーテルの罠
アレキサンダーは、初代マドモアゼルのトリコ。
デーメーテルを愛している。
初代マドモアゼルのデーメーテル。
最初に、ヴィクトリアス学院の男子生徒全員をトリコにした美少女。
ヴィクトリアス学院。理事長室。
マドルは、扉を開いた。
デーメーテルの手に、アレキサンダーは、口づけをしていた。
その瞳は、デーメーテルを愛している。
マドルの片想いの相手。アレキサンダー。
「新しいマドモアゼルさんですわね。ふふふ」
デーメーテルは、優雅な仕草でマドルの前に歩み寄る。
「…」
「わたくしの名前は、デーメーテル。初代マドモアゼルですわ」
華麗にお辞儀をする。
第5話 デーメーテルの罠
「わたくしの後を継ぐに、ふさわしい子なのかしら?」
「マドルは、デーメーテルに継ぐマドモアゼル。しかし、初代の美しさには、かなわない」
アレキサンダーは、再び、デーメーテルの手に口づけをした。
「…!」
マドルは、心の中で叫ぶ。
愛するアレキサンダー。
もう、愛する人がいたの?
私のことなんか、見てくれていなかったの?
「新しいマドモアゼル。あなたは、男子生徒全員をトリコにしたんですの?愛されているんですの?」
デーメーテルは、マドルの姿を観察する。
美しさが、たらない。
可憐さが、たらない。
そして。
くすくす。
デーメーテルは、笑う。
「あなた、アレキサンダーに恋をしてますわね?」
「…!」
つらぬくような瞳で、見つめられる。
「でも、現役のマドモアゼルは、男子生徒全員に愛されなくては駄目ですわ。アレキサンダーは無関係ですわ」
「…」
「マドモアゼルには、試練があるんですわ」
デーメーテルは、微笑む。
教室。
「会いたかった。マドル…」
「俺だけの、マドル…」
理事長室から戻ったマドルを男子生徒たちが出迎えた。
マドルは、アレキサンダーに愛する女の子がいた事実で、落ち込んでいた。
でも、片想いの気持ちは、終わりにできない。
相手に迷惑だったとしてもである。
そして、“試練”について迷っていた。
「キミの笑顔が見たい…」
「どうしたんだい?マドル…」
男子生徒たちは、落ち込むマドルに、その理由を聞く。
アレキサンダーへの恋心の話は、できない。
嫉妬に狂わせてしまうから。
だから、試練の話をする。
「試練…」
「ベアニソスの試練かい…?」
無言で、うなづくマドル。
マドモアゼルには、試練がある。
デーメーテルは言った。
それは、“ベアニソスの試練”。
ヴィクトリアス学院の地下深くで眠るケモノ。
眠るケモノのベアニソスに、愛される試練。
「マドルが、ベアニソスに愛される…?」
「マドル…」
男子生徒たちが、すり寄る。
「マドルは、俺のものだ…」
「おお、マドル…」
「…離れて!」
マドルは、すり寄る男子生徒たちから離れる。
ヴィクトリアス学院。
地下深くに眠るケモノ。
この学院は、謎の迷路だ。




