第7話 均等こそが正義! 五官王の「地獄の等価交換」
「……いいか、不純なる者よ。わしの秤は、絶対的な『均等』を求める。嘘も、エラーも、偏りも、すべてはこの皿の上で水平にならねばならぬ!」
五官王が巨大な笏を振ると、空中にデジタルなホログラムの数式が浮かび上がった。
「まずは、その横に浮いている騒がしい青い火の玉だ。お前、重さはリンゴ何個分だ?」
「は? 私? ……そうね、見た目は火の玉だけど、乙女のプライドは大型トラック3台分くらいあるわよ」
ミオが勝ち誇ったように胸を張る(胸はないが)。
「黙れ。わしの計算では、お前のような口うるさいだけの幽霊は、『腐ったリンゴ0.5個分』だ。さあ、左皿に乗れ!」
「誰が腐ったリンゴよ!! この化石ジジイ、センスが死滅してるわね!!」
ミオが怒り狂って左皿に飛び乗る。当然、皿はピクリとも動かない。
「……計算通りだ。価値がないほど軽い。さて、魁斗。お前はこのミオ(腐ったリンゴ0.5個)と釣り合うために、右皿で『0.5個分の誠実さ』を見せてみろ」
「ハードル低すぎだろ! 誠実さなんて、俺のノイズの端っこにちょっと混ぜれば」
「甘いわよ魁斗! あんたの誠実さなんて、『食べ残したカツ丼の衣』くらいの重さしかないんだから、釣り合うわけないじゃない!!」
「ミオ、お前、俺を励ましてるのか貶してるのかどっちだ!?」
「ええい、茶番は終わりだ! 均等こそが宇宙の真理!!」
五官王が次に左皿に置いたのは、「十万人のバカが一生かけて集めた、中身のない自信」だった。
「ちょ、何だその皿から溢れ出してる『根拠のないドヤ顔』の山は! 精神攻撃が凄まじいんだけど!!」
「魁斗、見て! 十万人のバカたちが一斉に『俺、明日から本気出す』って言ってるわよ! その軽すぎる言葉の重圧に耐えて!!」
「……っ……!!」
右皿に乗った魁斗は、十万人のバカが放つ「一発ギャグ(極寒)」と「ドヤ顔」の嵐に晒される。天秤は、バカたちの「軽さ」に引っ張られ、魁斗側へドスンと傾きかけた。
「魁斗! 右腕のノイズで『バカの論理』を上書きするのよ! あんたには、あの冥師匠に毎日毎日『この歩く産業廃棄物!』って罵倒されて培った、鋼のメンタルがあるでしょ!!」
「……そうだ。……師匠の毒舌に比べれば……このバカどものギャグなんて……ぬるま湯だぜ……!!」
魁斗は右腕のノイズを放ち、右皿に「自分がいかにゴミ拾いとして無能か」という自虐の重みを乗せた。
「自虐」と「十万人のバカ」……。地獄の底辺同士の意地の張り合いが、天秤を奇跡的な水平へと導く!
「……ぬぅ。ならば最終計測だ。リンゴ100万個分の重さを持つ、この『地獄の鉄槌』と釣り合ってみせよ!!」
五官王が巨大なハンマーを左皿に振り下ろそうとした瞬間、魁斗が叫んだ。
「うるせえジジイ! リンゴリンゴって、お前は農協の回し者か!? リンゴで俺たちの価値を計るんじゃねえ!!」
魁斗の右腕から、黒いノイズが「巨大な中指」の形となって噴出した。
「俺たちの重さは、リンゴ何個分かなんて単位じゃ表せねえんだよ。……強いて言うなら、『冥師匠に蹴られた回数』と同じ重さだ!!」
バキィィィィィン!!!
「地獄の鉄槌」を、魁斗の「被虐待の記憶」が正面から粉砕した。天秤は支柱からへし折れ、五官王は砕けたリンゴの破片を頭から被って呆然と立ち尽くす。
「……判定、不能。……測定器が……物理的に更地になった……」
「よし、ミオ! 逃げるぞ! このジジイ、次は梨で計ってきそうだしな!!」
「最悪ね! 果物アレルギーになる前に、叫喚地獄へレッツゴーよ!!」
二人は、砕け散った秤と、リンゴまみれでフリーズした五官王を置き去りにして、さらにカオスな叫びが渦巻く第四関門 焦熱地獄へと走り去った。




