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転生妻と戦争の危機2

よろしければ、お読み下さい。

 会議室には、レオナール、フレデリク、エルネスト、アニエス、そして宰相代理のモルガン・ルヴィエがいる。ファミリーネームから推測できる通り、ブリジットの父親である。四十代、中肉中背、銀髪のよくいるタイプの外見だ。ブリュノが捕まったので、急遽宰相の仕事をする事になったのだ。

 引退したはずなのに大役を任される事になってモルガンは不満そうだが、自分も息子のシリルに領地経営を押し付けているので何も言えない。


「今日集まってもらったのは、クヴィエト帝国と我がレーヴ王国との関係についてだ」

深刻な顔で、レオナールが口を開いた。話を聞くと、現在レーヴ王国は領地経営が困難な地域が多く、隣国であるクヴィエト帝国に経済的な援助をお願いしたらしい。昨年の穀物の不作が影響しているのだろう。レオナール達も有効な経済政策を打ち出していて、今の所民の犠牲はほとんど無いが、政策にも限界がある。

クヴィエト帝国は経済援助を了承してくれたが、代わりにある条件を出してきた。


「その条件というのが……アニエスをエルネス殿下と離縁させて、あちらの皇太子とアニエスを結婚させる事なんだ……」

「……はい?」

アニエスは、額に手を当てて言うモルガンに思わず聞き返していた。フレデリクが説明の続きを引き受ける。

「現在クヴィエト帝国では、自然発生した魔物が頻繁に出没してるみたいなんだ。それで、魔術を使えるアニエスを自国に囲い込みたいらしい」

「ああ、私の出自や実績が向こうの国にも知られているという事ですね……」

 アニエスは、チラリと隣にいるエルネストを見た。今にも人を殺しそうなオーラを放っている。

「……あの、私が数日帝国に行って魔物退治を手伝うだけ……では駄目なのでしょうか?」

アニエスの質問に、レオナールが首を振った。

「それだと、根本的な解決にならない。向こうも兵力に余裕があるわけではないからな。将来に渡って効率的に魔物を退治する為に、アニエスが必要なんだろう」

「……国の事を考えなければいけない立場の僕がこういう事を言うのもなんですが……アニエスを渡すのは、絶対に嫌です」

エルネストがぼそりと言った。

「わかっている。他に交渉の余地はないか、探っているところだ。今回は、とりあえず今の状況を伝えておこうと思って呼んだだけだ」

レオナールが、溜め息を吐いてそう言った。


 その夜、自室で一人きりになったアニエスは、ベッドに横になって考え込んだ。まさか、自分の能力が外交に大きな影響を与えるとは。……自分は、エルネストの事が大好きだ。クヴィエト帝国に嫁ぎたくはない。何か、他の方法で交渉が成立すれば良いのだが。

 部屋のドアがノックされた。

「アニエス、入っていい?」

エルネストの声が聞こえる。アニエスが立ち上がってドアを開けると、エルネストはいきなりアニエスを抱き締めた。

「でん……エル様、急にどうしたっすか?とりあえず、中に入って下さい」

部屋に入ってドアを閉めると、エルネストはまたアニエスを抱き締めた。

「……不安になったんだ。君が僕の事を愛してくれているのは知っているし、クヴィエト帝国の事も何とかする。それでも、君が僕の元からいなくなる未来を想像してしまうんだ」


 エルネストは、右手でアニエスの顔に触れながら続けて言った。

「この目も、唇も、肌も、全部僕のものだ……絶対に、他の男の元に行かせない」

エルネストは、アニエスの唇に自分の唇を押し付けた。

「はい、私の身も心も、全部エル様のものっす……」

それを聞くと、エルネストはアニエスをベッドに押し倒した。


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