集会所
隊列は整然と行進し、ハランスの町へと近づいていく。
先頭のドーデン王が騎馬で門に近づくと、門番の兵士が手を挙げた。
「ドーデン王とお見かけするが?」
「左様、同盟のよしみで旅の途中立ち寄った。これらの兵士に今夜の宿を与えてもらいたい」
そう言うと王は整列している兵たちを指し示した。
門番はうなずいた。
「よろしい、存分に休息なされるがよい!」
王の隊列が町に入り、隊長がさっそく町の宿へ宿割りに走っていく。馬車が停まって、パックたちも降りると、タルカスとファングの姿を認めて町の人間がわっとばかりに集まってきた。
「ファングじゃねえか! 帰ってきたのか」
声をかけられ、ファングはうなずいた。
彼女の口からジャギーの死を知らされた町の人間は、一様に気の毒そうな顔つきになった。
タルカスは町の傭兵たちに取り囲まれ、わいわいと騒がしい。
取り囲んだ仲間の顔を見て、タルカスは眉をひそめた。
「数が少なくなったみたいだが……」
タルカスの言葉に、傭兵たちは肩をすくめた。
「あれからまた魔物の襲撃が会ってなあ……ちかごろ魔物の攻撃が激しさをましたようだ。仲間も何人かやられたよ」
言われてパックとタルカスは町の防備の要である木柵を見上げた。なるほど、攻撃を受けたあとが歴然として、ところどころ破れた箇所や、それを補修した跡が見受けられた。町の家々の壁にも焼け焦げや、瓦の吹き飛んだ痕跡がある。
ドーデン王はハランスの町の代表と集会所で会合を行っていた。
その席でドーデン王が魔王を倒すために立ち上がったことを聞き、代表たちは不安そうな顔になった。
「魔王を倒す、と仰られるのか?」
王はうなずいた。
「左様……魔物の襲撃は魔王が存在する限りやむことはない。あることで魔王の所在が知れた今、倒す好機と考えた次第でござる」
町の代表たちは顔を見合わせた。
「しかし倒せなかった場合、攻撃を受けたことで魔王の怒りが向けられたら……」
王は目を瞠った。
「なにを言うのだ! そもそも魔物の存在がわれわれ人間にどのような苦しみを与えているのか知らぬわけではあるまい? このようなことは断ち切らねばならぬのが判らんとでも?」
代表たちは言い返せず、黙ってしまった。
王はため息をついた。




