悪魔のレベル
早起きしたフロイトは、闘技場の周りを走ることにした。
もちろんただ走るのではない。雷の生活魔法で自分の身体を動かして走るのだ。
「....難しい。」
筋肉ひとつひとつに威力・タイミングを見極め、雷の生活魔法を何十発も撃ち込みながら走る動作をさせるのだから、難しいのは当然であった。
段々とぎこちなさは抜けてきたが、まだ普通に走った方が速い。
走るのをテキトーに切り上げて、今度は生活魔法のレベル上げをしていった。
ここずっと魔力が全く上がらないので、スキルレベルを上げちゃってもいいだろうという具合だ。
生活魔法のスキルレベルは、炎・水・雷・土・風のそれぞれをある程度使うことで上がる。
風だけは一度も使ってこなかったので、ずっとレベル1のままだった。
「ふぅー、やっと上がったか。」
30分くらい無駄に使い続けスキルレベルがようやくMAXになった。
あたりは泥水で汚れてしまったが、これで生活魔法の消費魔力は0だ。
これから無限に生活魔法が撃てる。
まだイシズさんとの稽古には時間があったので、今度は雷の生活魔法で身体に色々撃って反応を試してみた。
足の先からから頭のてっぺんまで、電流を撃ち込んでいっていく。
「ん?なんか違和感を感じるな。」
脳の下部に撃ち込んだ時に、違和感を感じた。
魔力切れのようなものを感じるのだ。
頭に撃ち込みすぎて、おかしくなっちゃったのか?
「まだ魔力はたっぷりあるはず....。もしかして?」
ビンゴだった。
脳の下部にあるに魔力核に雷の生活魔法を撃つと、魔力が一切使えなくなった。
「これは発見してしまった....!」
幸い、スキルレベルMAXの生活魔法は魔力0でも使えるため影響はない。
ただ、他の魔法は一切使えない。
消費魔力1%のヒールですら撃てないのだ。
もう魔力は俺の敵ではない。
こうして新発見を得て、イシズさんとの稽古に向かった。
☆
「フロイトくんはなんで闘技場に来たんだ?」
二人で昼食をとっているとイシズさんが質問してきた。
「強くなるためとお金稼ぐためですよ。」
「それなら冒険者でも良いんじゃないか?ギルドに入れなくても、その腕があれば充分稼げるだろう?」
「あー、それは。レベル上げたくないんですよ。」
「レベルを上げたくない?お金を貯めて転職でもするのか?」
この世界では、お金を払えば転職が出来る。
その際、スキルも受け継ぐので転職は強くなる一歩とも言われている。
俺がレベルを上げたくない理由は僧侶だからだ。
レベルを上げてもステータスは変わらないが、あるものが上がる。
それは、五感だ。
剣士は視覚、戦士は聴覚、賢者は嗅覚、魔法使いは触覚、僧侶は味覚。
きっと味覚が一番使い物にならない。
ただのグルメになるだけだ。
しかし、他のどれか1つを選ぶのも悩ましい。
だから....
「転職したいのは合ってるけど、お金貯めて転職加護試験に受けるんですよ。」
「は?転職加護試験を受けるのか?試験を受けるためにかなりの金が必要じゃないのか?転職するだけなら金も半分で充分だぞ。あれは金儲けするための試験だろう?」
確かに一般的にいえば、あれは金持ちになるための試験だ。
一般転職するだけなら必要ない。
「イシズさん知らないんですか?転職加護魔法はスキルレベルが上がれば兼職出来るようになるんですよ。つまりは勇者になれるんです。そして勇者になるにはかなりの金が要るんです。」
勇者になるためには、一般転職よりも遥かに金が要る。
だから、転職神父になって金を稼ぐのだ。
「なに!?そうだったのか!!貴族に上位職業が多い理由は、金で上位職業が買えると!」
「そうですよ。まあ転職加護魔法は神からの魔法ですから値段が決まってて、5職持ちは値段に対して強さが釣り合わないですけどね。」
俺が昔、神父だったとき10数年勉強してようやく転職加護試験に受かった。
何度も落ちてお金を失ったが、受かればそんなの目じゃないほど金が稼げる。
転職費用は、
一般転職で1000万G
2職で4億G
3職で27億G
4職で256億G
5職で3125億G
ちなみに試験は2000万G
転職は神に転職値の半額を捧げるが、それでも断然儲かる。
この世で最も金を稼げる安定職。それが転職神父だ。
さすがに剣闘士だけでは3000億Gも稼げないので、転職神父になって荒稼ぎする計画だ。
そして何故俺が頑なにレベルを上げないのか。
それはレベル引き継ぎシステムのせい。
例えば、僧侶Lv 90で戦士に転職すると、
僧侶Lv 90 (味覚Lv 90 )→戦士Lv 90 (味覚Lv 90 , 聴覚Lv 1)
レベルが高ければ高いほど経験値は必要になるので、転職してからの五感は上がりにくい。
だから俺はレベル1のままにしている。
え?なんで俺がこんなに詳しいかって?
昔よく集めていた聖書に書いてあったからだ。
「なるほど勇者で3125億Gか。どおりで金持ちに勇者が多いわけか。しかしその年で詳しいなフロイトくん。」
「まあ、これでも転職加護試験の勉強してるからね。」
そんなこんなで、イシズさんと話をしていると剣闘試合の時間になった。
「じゃあイシズさん、行ってきます。」
「うん、私も頑張るさ!」
そうしてイシズさんと別れた。
☆
今日は14時16時半18時の3試合。
イシズさんも1試合あるらしい。
今日の3試合はどれも一瞬で勝利した。
相手が賢者と魔法使いだったからだ。
目眩ましして、回復魔法で一発。
ファイトマネーは300Gから620Gに一気に上がった。
一瞬で勝ってしまうと観客はつまらないので、どんどん強い相手と戦わせるための仕組みだ。
イシズさんの方も無事に勝ったそうだ。
そうして、またイシズさんと一緒に食事をし、少し稽古をして床についた。
名前:フロイト
種族:ヒューマン
職業:僧侶
レベル:1
体力 :816/816
魔力 :96325054/99999999
攻撃力:113
防御力:84
回避 :120
スキル
【生活魔法:レベル5】(MAX)
【回復魔法:レベル10】(MAX)
【光属性魔法:レベル1】
ちなみに、雷の生活魔法で身体を内部から破壊することは出来ません。
なぜなら、皮膚を通るように小さく細かくして電流を撃ち込みます、そして一度放った魔法は威力を変えることが出来ないからです。
ちなみにステータスは筋トレや訓練などで上がります。
転職してもスキルやステータスは引き継がれます。




