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『幸運度-999』助けを乞う指先〜自分の幸せ、全力で消費します〜  作者: しろ兎
国家ヘノ裏切リ者、開ケテハイケマセン…。 幸運ヲ大切ニ。 誰ノセイナノカ?
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5 // You must not seek revenge

観測者

[カンパーイ!――生き戻り]

KITE3(ジョウ)

「キミに会えて本当によかった。――アカネ」


――パリンッ


窓から贈り物が捧げられた。


隊長

「伏せろぉぉ!!!」


隣の部屋から爆音。


(え?)


ジョウ

「また、逢おう」


ジョウに抱き寄せられ口づけをされた。


バッ…


音などもう――聞こえなかった。

建物ごと何もかもが吹き飛んだ。


大きな黒煙が上がる。


――熱い。

 痛い――。

――寒い。


スゥ

【KITE1・KITE2・3・4・5心肺停止確認。】

KITE6(アカネ)重症。――残り60秒。】


【カウントしますか?】


(何の……)


スゥ

心停止までの残り時間(・・・・・・・・・・)です。】


(ジョウに護られたのか…)


何も視えない瞳から涙が流れ――こと切れた。



――What are the rules of this world?



――ガラガラガラッ キッ!

輸送車が停止する。


隊長

「おい」


アカネは隊長に揺さぶられ目を覚ました。


アカネ

「……」


隊長

「無理もない」

「ベッドで休めここは冷える」


アカネ

「そうですね……」


荷台から飛び降りた。


隊長

「我が基地へようこそ新人」


アカネは辺りを見渡す。

周囲は何も隔てるものがなく無防備の民家のような場所だった。


隊長の後を付いて行く。

突然、扉が開く。


KITE4

「お疲れ様、KITE1」

「KITE3入って」


KITE5

「本当に新人さんだ!」


KITE2

「新規さまいらっしゃーい!」


隊員に歓迎された。――が嬉しくなかった。


隊長

「少しは休め」


隊長に部屋の方へと背を押された。


隊長

「お前も」


KITE3(ジョウ)と一緒に部屋へ入れられた。


ジョウ

「……すみません」


アカネ

「なぜ謝るの?」


ジョウ

「何度も助けていただいて」


KITE3は俯く。


「助けてあげられず…」


アカネは目を見開く。唾を呑んだ。


アカネ

「助かったよ…でも致命傷だった」


二人は向かい合わせでベッドへ腰掛けた。


アカネ

「ねえ…あなたは同じ時間軸を繰り返してるの?――ジョウ」


ジョウは息が詰まった。


ジョウ

「…っ…僕の名を…」


部屋の扉が開く。


隊長

「何だ。まだ起きてたのか」


アカネとジョウは無言で隊長を見つめる。


隊長

「おやおや?」

「仲良ししちゃった?」


(聞いとくべきか…)

(それとも…行くべきか)


アカネ

「余計なお世話だ」


ジョウ

「やめとけ…」


ジョウに止められた。


アカネ

「…ねぇ隊長」


隊長

「っ…!!」


アカネの頬に雫が流れる。


アカネ

「どうしたら、どうしたら――この地獄から抜け出せるんですか?」


「教えてください」


隊長は拳を握り締めた。


隊長

「来い……」


アカネへ背を向けた。


隊長

「付いて来い!」


ジョウ

「行くな!」


隊長

「貴様はまだわからないのか!!」


隊長はKITE3へ怒鳴った。


アカネ

「ごめんね…」


涙を拭い立ち上がった。

隊長の後ろに立つ。

アカネはKITE3へ振り向く。


アカネ

「ジョウ(ことわり)には逆らえないのよ」


(あの惨劇を避けるために…)

(あの痛みをまた味わうくらいなら…)


(――やってやる)


隊長の部屋へ案内された。

扉が閉まる。


隊長

「座れ」


アカネ

「お前は狂ってる」


冷たく言い放った。


隊長

「好きでやってるわけじゃない…」

「立ったままでいいのか?」


アカネ

「ねぇ…覚えているのでしょう?」


隊長

「……」


隊長はアカネに背を向けた。

ため息をつく。


アカネ

「死に方無様だったな」

「肉片も残らなかっただろうに」


隊長

「やめろ…」


アカネ

「教えてくださいよ」


隊長

「っ……」

「なぜ…貴様は堂々としていられる!」


隊長はアカネの胸ぐらを掴んだ。


アカネ

「お前も大概だと思うが?」


隊長

「天秤だ…」

「我々の不運が天秤に掛けられている」


「少しでも傾けば――誰かが死ぬ」


胸ぐらから手を離した。


隊長

「ひとり残らず…だ」

「連鎖する…」


アカネ

「ふっ…まるでゲームだな」


隊長

「調整が必要だ…ここで脱ぐか死ぬか選べ」


アカネ

「私が入隊したことで天秤が揺れてる…と」


隊長

「そうだ。時間がない」


アカネ

「スゥ。聞いてたか?」


スゥ

【何をですか?】


アカネ

「この会話全てだよ」


スゥ

【はい。記憶しております。】


アカネ

「スゥ。今から言う命令に従え」


「…いま遠隔でここを狙ってるものがいるようだ」

「さて…何人?」


スゥ

【5人。】


アカネ

「ならその5人に狙いを定めろ」


スゥ

【了解。照準を固定。】


アカネ

「その敵の基地は特定可能か?」


スゥ

【可能です。】


アカネ

「いますぐ見つけろ」

「見つけ次第――撃ち込め」


隊長

「貴様…一体……」


アカネ

「使えばいいのだろ?――幸運(・・)を」


「そうすれば天秤は傾いたままだ(・・・・・・・・・)。違うか?」


隊長

「そうだが…」


スゥ

【特定。殲滅します。】


地響きと共に地面が揺れた。


【幸運-56消費。現在、幸運度0・不運100。失敗です。】


血の気が引いた。


アカネ

「――なぜっ!!」


隊長

「馬鹿か!消費するものがなければ――ただの無能」

「勝手な真似を…」


隊長の瞳から雫が落ちる。


――パン!


平手打ちされ反動で倒れ込む。


隊長

「そうじゃないんだ…」

「使えばいい問題じゃ…ないんだ」


「馬鹿野郎!!」


胸ぐらを再び掴まれる。


アカネ

「これから…何が起きるの?」


隊長

「連帯責任だ。立て!」


アカネは立ち上がった。


(処罰か…)

(何だろう……)


隊長は部屋の扉を開け隊員へ告げた。


隊長

「KITE隊員に告ぐ。我々は任務に失敗した」


「――来世で逢おう」


「さて…宴としよう!!」


(意味がわからない)


スゥ

【死のカウントダウンは始まっています。――最後の晩餐です。】


(それはどういう…)


隊長はワインをテーブルに並べた。


隊長

「貴重品だ。たっぷり味わえ」


隊員は嬉しそうに笑っている。

だが、KITE3は笑っていなかった。


スゥ

【能力なしは、この部隊で生き延びれません。】

【能力なしは、この部隊の足手まといになります。】


【――生き戻り】


KITE2

「生き戻り――」


KITE5

「――生き戻り」


隊長

「生き戻り――」


KITE4

「また逢おう」


「「「カンパーイ!!」」」


イッキ飲みする隊員。

アカネは立ち尽くしたまま愕然とした。


スゥ

【KITE1・KITE2・4・5心肺停止。】


(毒だったわけか…)


アカネ

「あああああ!!!」


泣き叫ぶ。


KITE3は駆け寄ってきた。


ジョウ

「アカネ…」


アカネ

「何で!!」


ジョウ

「落ち着いて…」


KITE3に抱き寄せられる。


ジョウ

「大丈夫。僕が居る」


アカネは首を横に振った。


アカネ

「違う!」


ジョウ

「大丈夫。痛くしないから」


優しく髪を撫でられる。

そっと口づけされた。


錠剤だろうか苦い何かが押し込まれた。


アカネ

「んっ…」


押さえ付けられる。

吐き出すにも塞がれている。


――苦い。

体が痺れる――。


アカネ

「ん゙っ!」


――息ができない。


スゥ

【KITE3心肺停止。――残り15秒】


天井へ手を伸ばした。



――I can’t quite keep up…



――ガラガラガラッ キッ!


隊長

「おい」


アカネは隊長に揺さぶられ目を覚ました。


アカネ

「……ただいま」

観測者

[最後まで、読んで頂き、ありがとうございます。]

[第一章完]

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