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『幸運度-999』助けを乞う指先〜自分の幸せ、全力で消費します〜  作者: しろ兎
コウイウコト、 駄洒落ヲ笑ッテハイケマセン。マダ彼ラノ名前ハ知リマセン。 不運ヲ減ラスタメニハ… 復讐ヲシテハイケマセン。
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6 // Suppress your emotions

観測者

[おかえりなさい。]

[第2章へようこそ。]

Chapter 2


隊長

「……っ!」


隊長と視線が重なる。

そよ風が二人の髪を撫でた。


荷台を覗き込む人物がひとり。


KITE3(ジョウ)

「おかえり――」


KITE3はアカネへ小さく微笑んだ。


隊長

「そのセリフは俺のだ!」

「おかえり。よく戻った。新人…」


「今のお前なら大丈夫だろ」


そう言い荷台から飛び降りて去って行った。


KITE3はその後ろ姿を視線で追った。

ふと、アカネを見る。

――優しい手を彼女へ差し出す。


アカネはそっと手を取り、荷台から降りた。


アカネ

「ありがとう。ジョウ」


KITE3

「うん」


KITE2

「お前らさっさと来ーい!」


KITE3

「わりぃ」


アカネへ視線を向けた。


KITE3

「行こう」


アカネは頷いた。


(さてと…スゥ?)


スゥ

【はい。何でしょうか?】


(この基地を狙ってる、敵五体)


KITE3の後を追うように基地の中へ入った。


スゥ

【殲滅ですね。】


(隠密に頼むよ。あと天秤を――慎重にね)


皆の温かい視線がアカネへ集まる。


スゥ

【了解。】


アカネ

「――進もう」


隊長

「――明日へ」


KITE5(ナオ)

「未来へ――」


スゥ

【頭部貫通。敵心肺停止確認。任務完了しました。】


ムーンストーン《ユェ ツァーン スー》

【KITE部隊、幸運度-999・不運度0。成功です。】


隊長はアカネの背を軽く(はた)いた。

アカネは床に座り込んだ。


アカネ

「はぁ…」


「ものすんごく疲れた…」


KITE2

「無理もねーよ」


小さく息をついた。


KITE4

「でも、楽しかったって言ったら…天罰食らう?」


ニカッと微笑む。


KITE5

「自己紹介しませんか?」


アカネへ屈む。


アカネ

「知らないままでもいいけど?」


不敵に笑む。


隊長

「情が移っちまう…やめとけ」


隊長を見つめるKITE5を盗み見するアカネ。


アカネ

「女同士仲良くなるの駄目なのか?」


隊長

「それは……。断る理由がない」


「殺し合うなよ」


余計な一言を置いて別室へ入って行った。


アカネ

「喉乾いた〜」


KITE5

「コーヒー飲めますか?」


アカネ

「数値揺らがない?」

「水でいいよ」


KITE5

「……ごめんなさい」


「歓迎モードに入ってました…反省します」


しょんぼりとした。


アカネ

「気持ちだけでも十分だよ。ナオ」


小さく微笑む。


(誰に…)


水が入った鉄製のコップをアカネは受け取った。

イッキ飲みする。


アカネ

「常温でも…うまい」

「飲めればいい!」


頷いた。


(ひとりで納得…ね…)


スゥ

【感情を捨てたのですか。適応が早いですね。】


(死にたくないのでね)

(……いや…死なせたくないのでね)


(誰ひとりも)


隊長

「全員居るな」


隊長が別室から出てきた。


隊長

「通達だ。一◯三◯にて出撃命令だ」

「遅れるなよ」


KITE隊

「「「「「――了解」」」」」


隊長

「KITE6。付いて来い」


アカネ

「はい」


返事したものの、アカネは悩んだ。


(大丈夫かな?)


スゥ

【天秤のことですか?】


隊長

「早く来い」


出口付近で隊長に手招きされた。


(ん?違う?)


アカネは眉をひそめた。


スゥ

【今は気にしなくて大丈夫ですよ。】


KITE5

「急いた方がいいですよ」


KITE5はアカネへ顔を近づける。


KITE5

「彼せっかちなので」


小さく呟いた。


隊長

「聞こえないとでも?」


アカネ

「地獄耳!」


アカネは出口へ駆け出した。


隊長

「時間は有限か?」


アカネ

「いいえ」


アカネは隊長の後ろを付いて歩く。

二人は建物の裏に踏み入れた。


射撃訓練場。

他の隊員も訓練していた。


隊長

「普段はサプレッサーを使って訓練している」

「隠密行動時に使うがな」


「撃ったか感覚が鈍い」


「逆に訓練しがいがある」


「ほれっ」


隊長はアカネへピストルを投げた。


(距離考えろ!)


アカネ

「ちょぇ!?」

「あっ!わあ!危な!」


地面へダイブ。

危うく落としかねたが、無事に受け取れた。

アカネは大きくため息ついた。


隣から鼻で笑われた。


(誰だよ)


立ち上がりながら視線を向けた。

――KITE3だった。


(うぅ…気まず)


隊長

「さっさと構えろ」


アカネ

「はいはい…」


隊長

「“はい”は一回!」


(めんどくせー)


アカネ

「はい!」


銃を構えた。


隊長

「脇を閉める」


隊長は体をそっと触れてきた。


アカネ

「触れんな!」


隊長

「ああ!?」


隊長の血管が浮き出る。


アカネ

「やんのか!?」


負けじと反抗するアカネ。

隊長はため息をついた。


隊長

「脇を閉めて銃を前へ…」


淡々と説明する。


隊長

「狙いを定めて撃ってみろ」

「撃てなきゃ死ぬぞ…」


アカネ

「わかってる」


的へ撃ち込む。


――ストンッ


隊長

「どこ狙ってる…」


アカネ

「当たっただけマシかとっ!」


――ストンッ


隊長は黙って見守った。


隊長

「KITE3」


「こいつを頼んだ」


KITE3

「了解」


「どちらへ」


隊長

「小便」


(うえ…手洗えよ?)


隊長は立ち去った。


KITE3

「撃ってみて」


――ストンッ


的の中央へ当たる。


KITE3

「こう…肩を…」


アカネ

「触れんなっ!!」

「触れんな…頼む…」


アカネの指先が震える。

銃が小刻みに揺れていた。


KITE3

「すまん…」


視線を逸らした。


アカネ

「優しくしないでとは言わない」


「だから…」


KITE3

「なら…僕が見本で撃つから真似してみて」


(見る…)


KITE3を見つめる。

息を呑んだ。


――ストンッ


二人の視線が重なった。

瞳が揺れる。


スゥ

【KITE6…。KITE6!!】


(しまった!)


銃を構え直し撃ち込んだ。

――的を外した。


(畜生!!)


肩を強張らせ連続で撃ち込んだ。


――ス


また外す。


――トンットトンッ


隊長

「馬鹿野郎!」


アカネは隊長に頭を(はた)かれた。


アカネ

「いってーな!!」


隊長

「何を教えている!KITE3!!」


KITE3

「いいえ………すみませんでした!!」


KITE3は隊長へ頭を下げた。

慌ててアカネも隊長へ頭を下げる。


隊長

「そろそろ出撃準備しとけ」


隊長はKITE3の肩を叩いた。

アカネへ振り返り睨みつけた。


隊長

「KITE6。貴様…わかってるよ、な?」


アカネ

「わかってますよ」


アカネは顔をひきつらせた。


ムーンストーン《ユェ ツァーン スー》

【一◯三◯。彼らにとって地獄か。または天国か…。】


トルコ石《チーン リューィ スゥ パオ スー》

【我らは見守ることしかできない。】

観測者

[最後まで、読んで頂き、ありがとうございます。]

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