4 // To reduce your bad luck…
観測者
[また来てくれたんだね。ありがとう。]
スゥ
【不運度が高ければKITE6の死は避けられません。】
(死が避けられない?)
スゥ
【はい。それがあなたの運命です。】
――パァァン
(え……)
胸を撃たれた。
(誰に?)
拳銃を握る――KITE5。
――パンッ パンッ
もう二発撃ち込まれる。
アカネは後退するように倒れた。
KITE5は静かにアカネを覗き込む。
KITE5
「あなたが悪いんです」
「あの人は私のものなのに――」
意識が遠のく。
複数の銃声の音だけが――耳に残った。
――Were you lovers?
――ブオォォォ… ザラザラザラ…
ガッタン――
振動で目が覚める。
(輸送車か………)
隊長
「起きたか」
アカネ
「はい…」
(クソ隊長…)
暗い。
(また夜…か…)
どこを走っているのか――振動が激しい。
体が持っていかれそうだ。
隊長
「モリノ アカネ」
アカネは、目を見開く。
隊長が手に持つ書類には――自分の名前が刻まれていた。
隊長
「本日付で…我軍に入隊。おめでとう」
――パンッ パンッ パンッ
雑に拍手された。
まったく嬉しくなかった。
輸送車は土煙を上げながら荒地を走る。
KITE2
「隊長!そろそろ目的地へ到着します。出撃の準備を!」
隊長
「了解」
視線を向けられた。
「来てもらう」
隊長の口角が上がる。
――ガラガラガラッ キッ!
輸送車が停止した。
隊長は荷台から飛び降りた。
隊長
「降りろ」
手を差し伸べてくる。
抵抗無くその手を受け取る。
(スゥ…)
スゥ
【何でしょうか?】
(居たか…)
――ジャリッ…
隊長はアカネへ振り向く。
隊長
「さて…最初の任務を命ずる」
アカネ
「……はい」
隊長
「捕虜を救出してこい」
アカネ
「で?」
隊長
「一人で行ってこい」
アカネ
「装備は…」
隊長
「KITE2」
KITE2
「はっ!」
「装備と武器です」
隊長
「ほれっ!」
地面に投げ捨てた。
アカネは隊長を睨みつける。
隊長
「さっさとしろ」
無感情で装備を取った。
アカネ
「隊長…」
隊長
「あ?何だ」
アカネ
「…何でもないです」
服の上に防護服を着る。
武器は、AKだろうか…ずっしりしている。
短剣とピストルを携帯した。
隊長
「よし」
「この先に小屋がある」
「そこに捕虜が捕まっている」
アカネ
「何人」
隊長
「一人だ…」
アカネの肩を掴む。
隊長
「いいか?音、たてるなよ?」
「隠密。猿でも出来る。なぁ?」
二度目だろうがカチンと来た。
怒りで呼吸が浅く、体が硬直する。
(――腹立つ!!)
武器を構えて駆け出す。
隊長
「隠れる気ないなあいつ…」
アカネは小屋へ走って行く。
スゥ
【危険地帯。危険地帯。今すぐ伏せよ。】
アカネは音を立てずに止まる。
指示の通りに地面へ伏せた。
AKを構えスコープで小屋を覗き見る。
アカネは息を呑んだ。
敵らしき人物が銃を構えて見回りをしていた。
脳内無線
[KITE6 KITE6 こちらKITE1 何か見つかったか?OVER]
(ういぃ…やっぱ、うるっさ)
脳内無線
[KITE6 KITE6 こちらKITE1 応答せよ]
アカネは隊長へ向けて言葉を考える。
KITE6
『煩い。黙れ。生きろ。以上』
スゥ
【生きろが意味わかりませんでした。】
(ねぇ…)
スゥ
【はい。何でしょう。】
脳内無線
[KITE6 テメェ…いい度胸してんな…あぁ?]
背後に気配。
音を立てずに振り向く。
鎖と繋がる――隊長の姿。
見なかったことにした。
――敵陣へ視線を向ける。
KITE6
『こっち見んな』
チラッと隊長へ視線を送った。
脳内通信
[貴様も見てるだろうが。任務に集中しろ。]
KITE6
『悪かったな…』
KITE6はKITE1に肩を掴まれた。
(スゥ。敵を殲滅して。幸運無視さっさと殺って)
スゥ
【了解。】
次の瞬間――
上空が一瞬、ターコイズ色に光った。
――シュッ!(風切る)
――トンッ!(何かを貫く)
ドサッ―― (倒れる音)
計4回
「ギャァァァ」
小屋の中から叫び声。
スゥ
【頭部貫通、心肺停止確認。敵全滅完了しました。】
アカネ
「終わったが…」
隊長
「ほう…。少しは出来る…か」
隊長に肩を強く叩かれた。
隊長
「さすが新人っ!」
アカネ
「いってーな!」
隊長
「いつまで寝てる。さっさと立て!」
アカネは大きく息をついた。
――立ち上がる。
どこか冷たい夜風が髪を撫でた。
隊長
「捕虜を保護した。撤退する」
隊長は捕虜を連れて輸送車の荷台へ乗り込む。
KITE2
「了解」
KITE2は運転席へ駆け込む。
隊長
「何ぼーとしてるさっさと乗れ」
「置いてくぞ」
アカネも荷台へ乗り込む。
隊長
「お前――理に気付いたか?」
アカネ
「この世界の…ですか?」
隊長
「ああ…」
アカネ
「――腐ってます」
隊長
「ああ…腐りきってる」
初めて隊長とまともな会話ができた気がした。
しばらく車に揺られた。
――ガラガラガラッ キッ!
隊長
「おい」
うたた寝していたアカネは隊長に揺さぶられ目を覚ました。
アカネ
「すみません…」
隊長
「無理もない」
「ベッドで休めここは冷える」
アカネ
「結構です!」
目を擦り荷台から飛び降りた。
アカネ
「ここは?」
隊長
「我が基地へようこそ新人」
アカネは辺りを見渡す。
広いわけでもなく民家のような場所だった。
(ちっさ)
アカネは隊長の後を付いて行く。
突然、扉が開く。
KITE4
「お疲れ様、KITE1」
「KITE3入って」
KITE5
「本当に新人さんだ!」
KITE2
「新規さまいらっしゃーい!」
隊員に歓迎された。
暗くて気づかなかったが、捕虜とはKITE3のことだった様だ。
隊長
「少しは休め」
隊長に部屋の方へと背を押された。
隊長
「お前も」
KITE3と一緒に部屋へ入れられた。
KITE3
「……すみません」
アカネ
「なぜ謝るの?」
KITE3
「何度も助けていただいて」
KITE3は俯く。
KITE3
「助けてあげられず…」
アカネは目を見開く。唾を呑んだ。
アカネ
「取り敢えず…座ろうよ」
二人は向かい合わせでベッドへ腰掛けた。
アカネ
「私は…もう知ってると思うけど」
「モリノ アカネ。よろしくね」
KITE3へ手を差し出した。
KITE3
「僕は…周 凱。曹長だ。よろしく」
握手を交わした。
部屋の扉が開く。
隊長
「何だ。まだ起きてたのか」
アカネとジョウは無言で隊長を見つめる。
隊長
「おやおや?」
「仲良ししちゃった?」
(腹立つ!)
アカネ
「煩い。黙れ」
ジョウ
「やめとけ…」
ジョウに止められた。
アカネ
「…ごめんなさい」
隊長
「モリノ アカネ来てもらおうか」
アカネ
「……」
アカネは動かなかった。
そこ代わりにジョウへ視線を向けた。
アカネ
「仲良しなので」
ジョウ
「え?」
アカネはジョウへ少しだけ視線を鋭くした。
(伝われ…絶対ろくでもないことだし)
ジョウの方から手を触れてきた。
ジョウ
「あげませんよ?」
ジョウは隊長へ不敵に笑む。
隊長
「ちっ!」
舌打ちして隊長は去って行った。
アカネ
「ありがとう。助かった」
ジョウ
「どういたしまして」
スゥ
【幸運が上がり、不運が下がっています。】
【現在の幸運度80・不運度20】
アカネ
「え?…それってどういうこと?」
ジョウ
「理が発動したってことだよ」
アカネは息を呑んだ。
観測者
[最後まで、読んで頂き、ありがとうございます。]




