1 // This sort of thing
観測者
[叫んでいいっすか?…違うな、溶けていいっすか?]
[本編入りまーす。]
Chapter 1
玄関前で立ち尽くす。
生温い風が髪を撫でた。
「アカネどうした?」
夫が近づいてくる。私は咄嗟に赤札を背に隠した。
夫
「ん?どうした…顔色悪いぞ」
「何があった…」
「…!」
アカネの腕を掴み引き寄せた。
「赤札!!」
「嘘だ…」
夫は玄関に貼られた赤札を剥がす。
破り捨て靴で踏みつけた。
アカネの腕を掴み、家へ入った。
木枯らしに乗り赤い塵が宙へ舞った。
夫
「行くな!!」
ダイニングテーブルの前で妻の肩を掴む。
アカネ
「それは…」
(それは……召集に背くってこと?)
夫
「アカネ!!」
夫に強く抱き寄せられた。
アカネも涙を流しながら抱き返す。
アカネ
「ソウタ…」
ソウタ(夫)
「行くな…お願いだ…」
夫の瞳から涙が落ちる。
アカネ
「ソウタ、愛してる…」
夫の頬へ指先を添える。
それに応えるように、夫は妻の指先へ手を重ね――強く握る。
アカネ
「私たちは政府に逆らえない」
ソウタ
「……」
夫は息を殺して涙を流す。
ソウタ
「なら……」
アカネ
「ん?」
妻は小さく首を傾げる。
アカネは心の底で嫌な予感しかしなかった。
ソウタ
「俺は…お前を……」
「アカネを」
優しかったその手は私の首へ移動する。
「俺と一緒に…」
首がゆっくり絞まる。
アカネ
「ソウ…タ…」
「……やめてっ」
私は夫の手首を掴んだ。
アカネ
「生きて…」
ソウタ
「嫌だ…お前が居ない世界なんて…」
「死んだほうがマシだ!!」
締め付けが強くなる。
苦しい。もがく。
アカネ
「まだ…っ…じっ…時間ある」
「傍に……いて…」
涙で濡れた頬は小さく微笑んだ。
夫は妻のその微笑みに手を離した。
リビングの床で二人は一夜を明かした。
ソウタ
「来るな…奴ら……」
アカネ
「そうだね…」
夫は立ち上がった。
キッチンへ向かって歩いて行った。
アカネは体を起こし視線で追った。
アカネ
「レモンティーが飲みたいな」
いつもの返答が返ってこない。
――ピンポーン
朝早くチャイムが鳴る。
アカネは立ち上がり玄関へ向かった。
玄関のチェーンへ手を掛けた。
その瞬間、夫に強く抱きつかれた。
ソウタ
「アカネ…」
何かが引き抜かれた。
今度は確実に何かが体を貫く。
ソウタ
「…アカネ」
――熱い…
痛い…――
ソウタ
「一緒に逝こう」
――ピンポーン ドンッ ドンドンドンッ
バァーン!!
――玄関ドアが開く。
ドア先には武装集団。
アカネは赤く染まった手を前へ差し出した。
夫の刃先が妻の首を――血しぶきが壁一面に広がった。
パァァーンッ――
銃声。
――火薬の匂い。
アカネの意識は途絶えた。
――Come back
風の音。
息ができる。そっと――瞳を開く。
そこは玄関前。
玄関には赤札が貼られている。
“召集令状
モリノ アカネ
右召集ス
九月六日午前七時
○○地区軍司令部ニ出頭スベシ
本令ニ背キ、又ハ召集ヲ忌避シタル者ハ、国家ニ対スル反逆行為ト見做シ、之ヲ処断ス。
○○地区軍司令部 印”
(……。)
???
「アカネどうした?」
アカネは声の方へ振り向く。
夫が近づいてくる。
(――撃たれたはずでは?)
ソウタ
「ん?どうした…顔色悪いぞ」
「何があった…」
夫は赤札を見て目を見開く。
ソウタ
「…!」
「赤札!!」
「嘘だ…」
夫は玄関に貼られた赤札を剥がす。
破り捨て靴で踏みつけた。
アカネの腕を掴み、家へ入った。
木枯らしに乗り赤い塵が宙へ舞った。
(――同じだ。)
ソウタ
「行くな!!」
ダイニングテーブルの前で妻の肩を掴む。
アカネ
「……それは」
(わかっているが……。)
ソウタ
「アカネ!!」
夫に強く抱き寄せられた。
アカネも涙を流しながら抱き返す。
アカネ
「ソウタ…」
ソウタ
「行くな…お願いだ…」
夫の瞳から涙が落ちる。
アカネ
「ソウタ、愛してる…」
夫の頬へ指先を添える。
それに応えるように、夫は妻の指先へ手を重ね――強く握る。
アカネ
「逃げようか」
ソウタ
「……」
夫は息を殺して涙を流す。
ソウタ
「どうせ死ぬ」
「なら……」
アカネ
「ん?」
妻は小さく首を傾げる。
(――ああ……。)
ソウタ
「俺は…お前を……」
「アカネを」
優しかったその手は私の首へ移動する。
「俺と一緒に…」
首がゆっくり絞まる。
アカネ
「ソウ…タ…」
「……やめてっ」
私は夫の手首を掴んだ。
「今から逃げよう」
「限界まで逃げよう…一緒に。ね?」
二人は玄関を飛び出した。
繋いだ手は離さずに――駆け出す。
スッ…トン――ドサッ!
(え…。)
後ろを振り返る。
軍服を着た兵士が銃を向けていた。
兵士
「モリノ・アカネ、出頭せよ」
地面一面、赤く染まる。
アカネ
「ソウタ!!!」
「ソウタ…」
「嫌…いやぁぁぁ!!!」
「ああああ!!」
アカネは兵士へ向かって駆け出す。
包丁を振り下ろす。
トッ――トトッ
血しぶきと共に地面へ倒れた。
――Don’t do that again.
風の音。
息ができる。そっと――瞳を開く。
そこは玄関前。
玄関には赤札が貼られている。
(え……。)
(またここ?…ってことは、ソウタが来る。)
ソウタが近づいてきた。
アカネは咄嗟に赤札を背に隠す。
ソウタ
「ん?どうした…顔色悪いぞ」
「何があった…」
「…!」
アカネの腕を掴み引き寄せた。
「赤札!!」
「嘘だ…」
ソウタは玄関に貼られた赤札を剥がす。
破り捨て靴で踏みつけた。
(――同じだ…。)
アカネの腕を掴み、家へ入った。
木枯らしに乗り赤い塵が宙へ舞った。
夫は玄関の鍵とチェーンを掛ける。
アカネはそっと――それを解除した。
靴を脱いでリビングへ向かう。
ソウタはダイニングテーブルの前で妻の肩を掴む。
ソウタ
「行くな!!」
アカネ
「……」
(まったく同じだ。――ループしてる。)
ソウタ
「アカネ!!」
夫に強く抱き寄せられた。
涙を流しながら抱き返す。
アカネ
「ソウタ…」
ソウタ
「行くな…お願いだ…」
夫の瞳から涙が落ちる。
アカネ
「ソウタ、愛してる…」
夫の頬へ指先を添える。
それに応えるように、夫は妻の指先へ手を重ね――強く握る。
アカネ
「私たちは政府に逆らえない」
ソウタ
「……」
夫は息を殺して涙を流す。
ソウタ
「なら……」
アカネ
「……」
優しい瞳で首を傾げる。
ソウタ
「俺は…お前を……」
「アカネを」
優しかったその手は私の首へ移動する。
「俺と一緒に…」
首がゆっくり絞まる。
アカネ
「ソウ…タ…」
「……やめてっ」
私は夫の手首を掴んだ。
アカネ
「生きて…」
ソウタ
「嫌だ…お前が居ない世界なんて…」
「死んだほうがマシだ!!」
締めつけが強くなる。
苦しい。もがく。
アカネ
「まだ…っ…じっ…時間ある」
「傍に……いて…」
涙で濡れた頬は小さく微笑んだ。
夫は妻のその微笑みに手を離した。
リビングの床で二人は一夜を明かした。
ソウタ
「来るな…奴ら……」
アカネ
「そうね…」
夫は立ち上がった。
キッチンへ向かって歩いて行った。
アカネは体を起こし視線で追った。
アカネは玄関へ向かった。
――ピンポーン
自宅のチャイムが鳴った。
アカネ
「はーい」
躊躇無く玄関を開けた。
パァァーンッ――
銃声。
――火薬の匂い。
息が詰まった。
背後で何かが倒れる音。
アカネは背面へ突き飛ばされていた。
背に濡れる、生暖かい――赤い液。
微かに聞こえる。
――ソウタの声。
ソウタ
「護れなくて…ごめん……ね」
視界に映る――軍服の男。
アカネへ屈む。
「――悪く思うな」
アカネ
「ふざけんな…」
赤く染まった服で起き上がる。
ソウタの手から果物ナイフを拾う。
軍服の男へ果物ナイフを突き刺した。
「そうか――」
パァァーンッ――
頭部貫通。
――Don’t resist
風の音。
息ができる。そっと――瞳を開く。
そこは玄関前。
玄関には赤札が貼られている。
(ソウタが来る。)
近づいてきた。
赤札を隠さなかった。
ソウタ
「ん?どうした…顔色悪いぞ」
「何があった…」
「…!」
アカネは抵抗することなくソウタに抱き寄せられる。
「赤札!!」
「嘘だ…」
ソウタは玄関に貼られた赤札を剥がす。
破り捨て靴で踏みつけた。
(――ああ…。)
アカネの腕を掴み、家へ入った。
木枯らしに乗り赤い塵が宙へ舞った。
夫は玄関の鍵とチェーンを掛ける。
アカネはそっと――それを解除した。
靴を脱いでリビングへ向かう。
ソウタはダイニングテーブルの前で妻の肩を掴む。
ソウタ
「行くな!!」
アカネ
「……」
(――次は『アカネ!!』ね。)
ソウタ
「アカネ!!」
夫に強く抱き寄せられた。
無情に抱き返す。
アカネ
「ソウタ…」
ソウタ
「行くな…お願いだ…」
夫の瞳から涙が落ちる。
アカネ
「ソウタ、愛してる…」
夫の頬へ指先を添える。
それに応えるように、夫は妻の指先へ手を重ね――強く握る。
アカネ
「私たちは政府に逆らえない」
ソウタ
「……」
夫は息を殺して涙を流す。
ソウタ
「なら……」
アカネ
「……」
優しい瞳で首を傾げる。
ソウタ
「俺は…お前を……」
「アカネを」
優しかったその手は私の首へ移動する。
「俺と一緒に…」
首がゆっくり絞まる。
アカネ
「ソウ…タ…」
「……」
私は夫の手首を掴んだ。
アカネ
「生きててほしい…」
ソウタ
「嫌だ…お前が居ない世界なんて…」
「死んだほうがマシだ!!」
締めつけが強くなる。
苦しい。もがく。
アカネ
「まだ…っ…じっ…時間ある」
「傍に……いて…ね?」
涙で濡れた頬は小さく微笑んだ。
夫は妻のその微笑みに手を離した。
リビングの床で二人は一夜を明かした。
ソウタ
「来るな…奴ら……」
アカネ
「そうね…」
夫は立ち上がった。
キッチンへ向かって歩いて行った。
アカネは体を起こし視線で追った。
アカネは玄関へ向かった。
――ピンポーン
自宅のチャイムが鳴った。
アカネ
「はーい」
躊躇無く玄関を開けた。
パァァーンッ――
銃声。
――火薬の匂い。
息が詰まった。
背後で何かが倒れる音。
アカネは背面へ突き飛ばされていた。
背に濡れる、生暖かい――赤い液。
微かに聞こえる。
――ソウタの声。
ソウタ
「護れなくて…ごめん……ね」
視界に映る――軍服の男。
アカネへ屈む。
「――悪く思うな」
意識が――遠ざかる。
アカネ
「だ…れ……」
言葉が途切れる。
――A Rotten World
――ブオォォォ… ザラザラザラ…
ガッタン――
振動で目が覚める。
(車?…ここは……)
???
「起きたか」
アカネ
「誰…?」
暗い。
(夜?)
どこを走っているのか――振動が激しい。
体が持っていかれそうだ。
???
「モリノ アカネ」
主婦は、目を見開く。
男が手に持つ書類には――自分の名前が刻まれていた。
???
「本日付で…我軍に入隊。おめでとう」
――パンッ パンッ パンッ
雑に拍手された。
アカネは唖然とし言葉を失った。
輸送車は土煙を上げながら荒地を走る。
運転手
「隊長!そろそろ目的地へ到着します。出撃の準備を!」
隊長
「了解」
視線を向けられた。
「来てもらう」
隊長の口角が上がる。
――ガラガラガラッ キッ!
輸送車が停止した。
隊長は荷台から飛び降りた。
隊長
「降りろ」
手を差し伸べてくる。
アカネ
「嫌だ!」
激しく首を振った。
隊長
「いいから来い!」
手を伸ばしアカネの腕を掴んだ。
アカネ
「嫌だ!!嫌ぁぁ!!」
悲鳴を上げる。
隊長
「うっ…うるさい!」
隊長の手を払った。
アカネは荷台の奥へ逃げ込む。
身を縮め怯えた。
隊長は首を横へ振ってため息を吐いた。
荷台へ乗り込んだ。
アカネへ近づく。
アカネ
「来ないで!」
「助けて…助けてぇぇ!!」
隊長
「何もしない。落ち着け」
また、ため息。
アカネの前に屈み込んだ。
胸ポケットから書類を取り出す。
隊長
「えっと…?」
『汝は、これより我が ムーンストーンと契約す』
『その名、モリノ アカネ』
『胸に刻まれし |トルコ石《チーン リューィ スゥ パオ スー》 目覚めよ』
――ンッッキィィーイン!
荷台の床に禍々しく魔法陣が浮き上がり風が轟く。
胸元が青白く輝いている。
アカネは息を呑んだ。
光りを隠そうと手で押さえ込む。
アカネは大きく首を振った。
アカネ
「嫌ぁ!!」
白く輝く鎖で繋がれた。
――チャリン…
隊長
「歩け」
鎖を引かれた。
アカネ
「あっ…体が勝手に……」
意図せず立ち上がり、足が前へ歩みだす。
二人は荷台から降りた。
隊長
「さて…最初の任務を命ずる」
アカネ
「……」
隊長
「捕虜を救出してこい」
アカネ
「は?」
隊長
「一人で」
アカネ
「今なんて…」
隊長
「一回しか言わない」
「猶予がない。さっさと行けKITE6」
アカネ
「無防備で行けと!?」
隊長
「KITE2」
KITE2
「はっ!」
「装備と武器です」
隊長
「ほれっ!」
地面に投げ捨てた。
アカネは隊長を睨みつける。
隊長
「さっさとしろ」
アカネは舌打ちした。
アカネ
「鎖邪魔なんだが!」
隊長
「気にする必要ない。いいから着替えろ」
(――胸糞悪い。)
隊長の態度が気に入らなかった。
(捕虜。自分も捕虜では?)
――そう思った。
仕方なく服の上に防護服を着る。
武器は、AKだろうか…ずっしりしている。
短剣とピストルを携帯した。
隊長
「よし」
「この先に小屋がある」
「そこに捕虜が捕まっている」
アカネ
「何人」
隊長
「一人だ…」
アカネの肩を掴む。
隊長
「いいか?音、たてるなよ?」
「隠密。猿でも出来る。なぁ?」
アカネはカチンと来た。
怒りで呼吸が浅く、体が硬直する。
(――やってやる。)
武器を構えて駆け出した。
隊長
「隠れる気ないなあいつ…」
――Ability
アカネは小屋へ走って行く。
闇夜に光り輝く鎖に繋がれたまま。
【危険地帯。危険地帯。今すぐ伏せよ。】
頭の中でシステム音声が流れた。
アカネは音を立てずに止まる。
指示の通りに地面へ伏せた。
AKを構えスコープで小屋を覗き見た。
アカネは息を呑む。
敵らしき人物が銃を構えて見回りをしていたのだ。
脳内無線
[KITE6 KITE6 こちらKITE1 何か見つかったか?OVER]
(…頭の中が、マジうるさい。
こっちは身動き取れないんだが?
てか、どうやって会話すればいいのさ…)
【相手に向かって考えてみてください。きっと届きますよ。】
(……それよりも、このシステム音声どこから鳴ってるわけ?)
【あなたの|トルコ石《チーン リューィ スゥ パオ スー》からですよ。】
脳内無線
[KITE6 KITE6 こちらKITE1 応答せよ]
アカネは隊長へ向けて言葉を考えてみた。
KITE6
『煩い。黙れ。以上』
(これでいい?)
【届きました。成功です。おめでとうございます。】
(ねぇ…キミは誰?)
【私は|トルコ石《チーン リューィ スゥ パオ スー》。「スゥ」と呼んで下さい。】
(ねぇ、スゥ。敵が…)
脳内無線
[KITE6 テメェ…いい度胸してんな…あぁ?]
背後に気配。
音を立てずに振り向く。
鎖と繋がる――隊長の姿。
見なかったことにした。
――敵陣へ視線を向ける。
(なぁ、スゥ。)
スゥ
【何でしょうか?】
(こいつ消してくんね?)
スゥ
【こいつとは、どの方でしょうか?】
(私のこと睨みつけてる男のことだよ。)
スゥ
【隊長のことですね。大変申し訳ございません。この方は敵ではないので不可能です。】
(そうか、残念だ。
……って、今なんて言った?)
スゥ
【復唱します。隊長のことですね。大変申し訳ございません。この方は敵ではないので不可能です。】
(敵なら可能なの?)
スゥ
【はい、可能です。ただし条件があります。】
(条件とは?)
スゥ
【あなたの幸運度が下がります。】
(・・・・・。)
(はい?幸運度?
べ…別に…構わないけど…捕虜が助かるならやってよ。)
スゥ
【本当によろしいのですか?】
(はい…。)
スゥ
【再確認します。本当にそれでよろしいのですか?】
(早く殺ってよ。)
スゥ
【承知しました。】
KITE6はKITE1に肩を掴まれた。
次の瞬間――
上空が一瞬、ターコイズ色に光った。
――シュッ!(風切る)
――トンッ!(何かを貫く)
ドサッ―― (倒れる音)
計4回
「ギャァァァ」
小屋から叫び声。
スゥ
【頭部貫通、心肺停止確認。敵全滅完了しました。】
アカネはスゥの衝撃な言葉にショックのあまり気を失った。
――Welcome
微かに聞こえる男性の笑い声。
アカネ
「うっ…うぅ…」
そっと瞳が開く。
スゥ
【目が覚めましたか?KITE6】
体を起こす。
(ん?なんかスースーする…)
ゆっくり体を見た。
(・・・・・。)
正面へ視線を戻す。
(・・・・・。)
アカネ
「ギヤァァァ!!!」
隣の部屋にも響く叫び声。
――バンッ!!
扉が勢い良く開く。
KITE3
「どうした!!何があった!?」
アカネ
「来るなあぁぁぁ!!!」
アカネは毛布で体を隠す。
アカネ
「来たら殺すっ!」
呼吸は荒く、目が血迷っている。
隊長
「ん?どうした?」
隊長はアカネを見て微笑む。
隊長
「おやおや、女神のお目覚めだぁ」
不敵に笑む。
アカネ
「スゥ、コイツらの誰だ!」
スゥ
【KITE1 隊長です。】
(だろうと思った!!)
アカネ
「テメェ!!」
毛布を体へ巻き付け隊長へ歩み寄った。
アカネ
「変態野郎!!」
KITE3
「隊長…バレてますよ」
アカネを宥めるように隊長の間に入る。
KITE3
「だから言ったのに……」
「アカネさん…落ち着いて…」
アカネ
「これの何処が落ち着けと!?」
「レイプだろが!!」
金切り声で怒鳴る。
KITE2
「隊長…流石にやりすぎです」
隊長の後ろに立つ副隊長。
隊長
「ごめんね〜」
――プッツン
アカネは感情を失くす様に床を見つめた。
アカネ
「スゥ…殺せ…」
スゥ
【申し訳ございません。それはできません。】
アカネ
「なら…懲らしめろ…」
スゥ
【幸運度下がりますがよろしいですか?】
アカネ
「何でもいい…ヤれ」
スゥ
【承知しました。】
――何も起きない。
(……で?)
スゥ
【実行しましたよ。】
(何したの…?)
スゥ
【食中毒。】
アカネ
「ぶっ!!…ハハハッ」
突然、笑い吹き出した。
アカネ
「知らん!知らん!私は知らんよ!」
「なあ!?隊長――ここで吐くなよ」
不敵に笑む。
隊長
「何の話だ…ぁ…ぁ……うっ!」
隊長が突然苦しみだす。
アカネ
「早くトイレへ連れ込め」
「こいつ吐くぞ」
KITE2
「え?」
隊長
「うぷっ!」
KITE3
「マジかよ!」
二人係で隊長を介助しながら外へ出て行った。
外で激しく嘔吐する音が聞こえてきた。
アカネ
「食中毒だぞー」
小さく呟いてあげた。
アカネ
「聞こえないかぁ」
「スゥ、ナイス!すっきりした〜」
スゥ
【本当に良かったのですか?幸運度、下がっていきますよ?】
アカネ
「別に…」
真顔で言った。
アカネにとって、幸運はそこまで重要ではない様子だった。
アカネ
「銃で撃っておきながら、最終的にレイプで歓迎か…ざけんな!!」
「ざまーみろ!!」
大きな声で叫んだ。
そこへ女性隊員が現れる。
KITE5
「酷い人かもしれませんが…言い過ぎですよ」
「因みに…私も……隊長にされました…」
アカネ
「ぁ……」
アカネは言葉を失った。
KITE5は静かに扉を閉めた。
二人きりになる。
KITE5
「あの……アカネさんは何を犠牲にするのですか?」
アカネ
「え……」
「…こ…幸運」
KITE5
「これ…」
薬を手渡された。
KITE5
「彼…避妊しないので」
アカネ
「あのクソ死ね」
目を見開き、感情なく呟く。
アカネ
「まぁ…今糞してるがな!ガハハハッ…」
瞳から涙が溢れ出てきた。
アカネ
「ここ…どこだよ…」
床に座り込む。
KITE5
「薬飲んで下さい」
水筒を渡された。
アカネは水筒を受け取り薬を飲んだ。
アカネ
「クソッ!…」
KITE5の腕の中で泣いた。
胸の宝石に涙が触れ美しく煌めいた。
スゥ
【自分の身は自分で護って下さい。私はサポートしかできません。】
ああ…わかってる。
悔しんだ…。
すべてが――憎いんだ。
男も…弱い私も…。
この世の中も…。
――反吐が出るほど腐ってる。
観測者
[今回難易度高すぎ。]
[最後まで、読んで頂き、ありがとうございます。]




