// 最後ノ砦
観測者
[あ。]
――ガラガラガラッ キッ!
輸送車が停止した。
KITE1
「おい」
KITE6はKITE1に揺さぶられ目を覚ました。
アカネ
「……え!ジョウ!!」
荷台の中で勢いよく立ち上がった。
振動で車体が揺れる。
アカネ
「うおっと!」
その体を支えるように誰かに抱き寄せられた。
(あ……)
アカネはそっと彼の体を抱き返した。
ジョウ
「アカネ……」
アカネ
「アレは…回避不能……」
ジョウ
「あの場所が罠だったんだろうな」
荷台の外から咳払いが聞こえてきた。
KITE1
「お楽しみのところ悪いが…」
「さっさと離れろ」
ジョウ
「…いいえ」
「KITE1……今すぐここを離れます」
「これよりKITE隊は本基地へ撤収します」
KITE1
「何を言っている!!」
「勝手な真似を!!」
アカネ
「スゥ…敵がこの基地を狙ってること覚えているんだろ?」
スゥ
【はい。覚えています。】
アカネ
「その敵五体殺れ」
スゥ
【了解。殲滅まで――5秒。】
アカネ
「隊長。このループここで終わらせる!」
ジョウ
「そもそもが間違っていた」
アカネ
「一旦リセットするべき」
ジョウ
「全員撤収命令を下す。新隊長の命令です!」
KITE1
「まさか…KITE3。先を…見てきたのか!?」
二人は抱き合ったままKITE1へ頷いた。
KITE1
「荷物を積む…手伝え」
KITE1は基地の中へと駆け出した。
ラン
【敵 心肺停止確認。成功です。】
ジョウ
「急ごう!」
アカネ
「うん!」
二人は荷台から飛び降りる。
足早に仲間の元へ駆け出す――拳銃を片手に。
ジョウ
「抵抗するものはここに置いていく」
アカネ
「荷物を荷台に積め」
ジョウ
「本基地に帰還する」
KITE5
「何があったんです?」
ジョウ
「説明してる暇はない」
アカネ
「急げ!!天秤が動く前に!!」
KITE2
「ガソリン満タンにしておきます」
そう言いKITE2は輸送車へ駆けて行った。
KITE4
「わかった…わかったから銃下ろしてくれないか?」
アカネは銃を下ろそうとした。
ジョウ
「アカネ駄目だ。構えたままにしろ」
一瞬、アカネはジョウへ視線を向けた。
ジョウの真剣な表情に息を呑んだ。意を決し、仲間へ銃を構え直した。
アカネ
「生き延びよう」
KITE隊、誰一人も逆らうものはいなかった。
KITE1
「待たせた」
別室から大量の荷物を抱えて出てきた。
ジョウ
「荷物は最低限にしてください」
KITE1
「何だと貴様!!」
ジョウ
「逆らうのですか?」
KITE1
「うるせーな!調子乗るなよテメェ!!」
KITE1の口元が僅かに上がった。
(いま…隊長笑った?)
ムーンストーン
【抵抗しているフリですよ。】
KITE1
「ユェ!貴様は黙ってろ!!」
アカネ
「あら可愛い。ユェって呼んでるんだぁ。」
KITE1
「相変わらず!貴様は憎たらしい野郎だな!!」
ジョウ
「無駄口叩いてないで動く!」
KITE1は外へ出て行った。
残りの隊員も無事に乗り込んだらしい。
――ブロロロォォ… ザザッ!
アカネ
「え?」
ジョウ
「ん!?」
二人は外へ飛び出す。
KITE1
「あばよ!!」
KITE4
「じゃあな!お幸せに〜!!」
二人へ手を振る隊員たち。
ジョウ
「待てえっ!!」
ジョウとアカネは輸送車を全力速で後を追った。
アカネは途中で膝から崩れ落ちる。
二人は呆然とし言葉を失った。
――What on earth is going on?
アカネ
「何なのもぉぉ!!」
アカネは怒りを露わにし叫んだ。
地面へ横たわった。
そんな姿を横目にジョウはため息をついた。
スゥ
【彼らはあなた達の帰りを待っていたのです。】
アカネ
「は?」
ラン
【彼らは、やっと解放されたのです。】
アカネはジョウへ視線を向けた。
二人の視線が重なる。
アカネ
「言ってる意味がわからない」
ジョウ
「僕に言われても…」
アカネ
「ランに言ったの」
ジョウは胸元の誕生石へ触れた。
ジョウ
「ラン。アカネにも、わかるように説明してくれないか?」
ラン
【彼らは、もうKITE隊員ではありません。】
【彼らは、あなた達がここへ戻ってくるのを延々と待っていました。】
アカネ
「待って!延々と…って?」
ラン
【何度も――生き戻りを繰り返したのです。】
アカネ
「それって…魂が戻ってくるのを延々と待っていた…と?」
スゥ
【そういう事になりますね。】
アカネ
「天秤は…」
スゥ
【KITE3・KITE6あなた達だけです。】
アカネは言葉を失った。
黙っていたKITE3が口を開いた。
ジョウ
「これから僕たちはどうすればいい」
ラン
【この荒野で生き延びて下さい。】
スゥ
【天秤の均衡を保ちながら。】
ラン
【生き戻りを――】
スゥ
【――模索しながら】
ラン&スゥ
【【この世界に全力で――抗って下さい。】】
二人は言葉を完全に失った。
ジョウは地面から立ち上がり来た道を歩きだした。
アカネはその場に座り込んだまま動かない。
ジョウは数歩進んでから、ゆっくりとアカネへ振り返る。
ジョウ
「アカネ…」
その掠れた声にアカネは視線を向ける。
二人の瞳が揺れる。
砂で汚れた手は優しくアカネへ差し出しだされた。
アカネは地面から立ち上がる。
拳銃を腰に仕舞い、手に付いた砂を払った。
ジョウへ小さく微笑んだ。
アカネ
「帰ろうか…」
ジョウ
「うん」
差し出された手をそっと受け取る。
二人は指先絡め強く握り返した。
スゥ
【KITE3 幸運度520 KITE6 幸運度860 】
ラン
【KITE隊 幸運度マイナス判定 不運度0 】
――Our story begins here
観測者
[最後まで、読んで頂き、ありがとうございます。]
[Season1完です。]




