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『幸運度-999』助けを乞う指先〜自分の幸せ、全力で消費します〜  作者: しろ兎
コウイウコト、 駄洒落ヲ笑ッテハイケマセン。マダ彼ラノ名前ハ知リマセン。 不運ヲ減ラスタメニハ… 復讐ヲシテハイケマセン。
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10 // You must never let your guard down.

観測者

[喧嘩というか。訓練というか…遊んでません?]

滝の洞窟から少し離れた場所で、男女が向かい合って何か話している。


ジョウは両手を顔の前に構えて、じりじりとアカネへ近づく。


ジョウ

「ほら。好きにかかってこいよ」


アカネ

「…好きにって」

「痛いの…嫌なんだけど……」


ジョウ

「……は?」


構えていた拳が、すっと下がる。


ジョウ

「隊長命令だ!戦え!」


もう一度構えた。


ジョウ

「痛くはしない…は保証はできない」


ジョウは指先で挑発した。


ジョウ

「ほら。来いよ」


アカネ

「なんかっ…その顔腹立つ!」


アカネは駆け出し、腕を振り上げる。

ジョウは駆けてくるアカネの姿を見て、反射的に身構えた。


ジョウ

「顔は関係ないだろ!?」


ジョウは振り上げられた腕を見つめる。

半歩、横へずれ振り下ろされる軌道から逃れた。


アカネへ反撃しかけて、拳がぴたっと止まった。


ジョウ

「……レディの顔は反則だな…」


ジョウは距離を取り直して、また構え直した。

不敵に笑む。


ジョウ

「で?もう一回来るか?」


アカネ

「駄目だ…お腹が減って…力が……」


(本気で腹減った…)


腕を下ろし、両手でお腹を擦る。


(終わらないとお魚食べれない!)


アカネ

「ええぃ!知らんからな!!」


ガッと勢いに任せて、ジョウの胸ぐらを掴んだ。


ジョウ

「……腹が減ってるのは僕もだ!」


アカネに胸ぐらを掴まれて、ジョウの上体がわずかに前へ引かれる。


ジョウは掴まれた襟元を見た。

ゆっくりアカネの顔を覗き込んだ。


ジョウ

「喧嘩開始から数分で、攻撃手段が胸ぐらになったんだが?」


掴んでいる手首へそっと片手を添える。

振りほどきはしない。


ジョウ

「ん?で?」


「まさか何も考えずに掴んだとか言わないよな?」


アカネ

「蹴ればいいんだけだ」


思いっきり膝を持ち上げた。


「おりゃ!!」


――ゴッ!

股間へ直撃。


ジョウ

「…………っ!!?」


膝が入った瞬間、全身が固まる。


ジョウ

「おっ………まっ……」


胸ぐらを掴まれたまま、ずるずると膝から崩れ落ちる。


ジョウ

「そこは……普通の格闘技でも……狙っちゃ駄目なところだろ……!」


両膝をついて完全停止。

じわっと顔を上げる。


ジョウ

「アカネ。お前……僕を仕留めに来てないか?」


アカネ

「本気でかかってこいって…」


アカネはジョウを見下ろしつつ、きょとんしている。


アカネ

「追い打ちしていい?」


スゥ

【KITE6それは不運を増加させます。】


ラン

【不運+3上昇】


ジョウは黙って地面からアカネを見上げる。


ジョウ

「アカネの中の“本気”って、ルール無用すぎないか……?」


ゆっくり片手を上げる。


ジョウ

「って…待て!追い打ちの許可を倒れてる本人に取るな……」


ジョウはゆっくり後退する。


ジョウ

「あと、その顔で聞くな。怖いんだよ」


震える脚で立ち上がり、アカネへ構えた。


ジョウ

「……よし。方針変更だ」


不敵に口角を上げた。


ジョウ

「次から僕も反撃する。後悔するなよ?」


アカネは背筋がゾクゾクッとした。

間合いを取りながら身構える。


スゥ&ラン

【【警告!警告!】】


ラン

【敵陣確認。】


スゥ

【包囲されています。】


敵の赤いレーザーポインターが部位へ狙いを定める。

そのレーザーの数は十を超えていた。


アカネは首を振る。


(これ…絶体絶命ってやつだろ)

(スゥ……5体でもいい倒してくれないか?)


スゥ

【不運の相殺ってことでしょうか?】


(出来るなら殺ってよ)


スゥ

【了解。】


ラン

【了解しました。】


(え……)


息を呑んだ。


次の瞬間――敵が唸り声を上げた。

一人、また一人と倒れる音が聞こえてきた。


【幸運-10消費。】


(えっ!…待って)

(私のは?……スゥ?)


スゥ

【銃を無力化に成功。幸運-5消費。】

【反撃なら今です。】


アカネとジョウはピストルを構えた。


ジョウ

「今こそ膝の禁接技(近接技)の出番だろ!」


アカネ

「スゥ、ラン。敵の位置特定して」


ラン

【承知しました。】


スゥ

【了解。】


ラン

【特定完了。】


スゥ

【座標開示します。】


天然石が光り輝く。

目の前にUIが表示された。


ジョウ

「弾に限りがある。できれば節約したい」


アカネ

「そうね。玉にも限りあるな…うん」


ジョウ

「……おまえ…」


アカネはふふんっと鼻で笑いながら敵へ向かって駆け出した。


――カツッ カツッ…

敵の銃がジャムった。


アカネ

「ひーとーりっ目!!」

股間へ勢いよく膝打ち。


「ああぁ!!」


敵はずるずると膝から崩れ落ちる。

追い打ちに――頭部へ発砲。


――パンッ ドサッ


スゥ

【頭部貫通。心肺停止確認。】


アカネは次のターゲットへ駆け出す。


――バァァン!!

背後から別の銃声が聞こえた。


スゥ

【KITE3左胸貫通。即死。】


(え……)


???

「そこの小娘を捕まえなさい」

「今晩のデザートにしなさい」


アカネ

「うそ…だと言って…」


リの奥さん

「嘘?何のことかしら?」


アカネへ歩み寄ってくる。

敵へ抵抗すること無くアカネは両手両足を縛られた。


アカネは怒りが最高潮へ達した。


アカネ

「スゥ!!殺れえ!!」


スゥ

【承知しました。】


夜空がターコイズ色へ一瞬染まる。

青白い光りが無数の小さな隕石となって落下してきた。


アカネ

「消えろ!!!」


――パァァン!!


【敵 頭部貫通。心肺停止確認。壊滅成功。】

【KITE6 脳死確認。心肺継続中。】

【生命維持継続困難とみなす。よって、自爆(・・)を実行します。】


【カウントダウン開始――10秒前】


凛莉(リンイ)?」


リは息絶えた妻へ駆け寄る。


スゥ

【5秒前】


(ああ)凛莉(リンイ)!!!」


幼女

媽媽(ママ)!!!」


幼女は泣きながら母親の胸に抱きつく。


スゥ

【3、2、1、――0】


這個世界已經腐敗透頂了

《この世界は腐りきっている》

観測者

[最後まで、読んで頂き、ありがとうございます。]

[私って…サイコパスですかね?]

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