055
恋はいつから俺の事が好きだったのか、分からない。
だけどいつの間にか、彼女から俺に対する好意を感じられた。
それは、再び俺に対して考えさせるモノだった。
最後の教会で、彼女は再び俺に対する愛情を見せてきた。
マートは、そんな恋の事をじっと見ていた。
「好きなのか?」
「悪い?あたしだって、恋がしたいのよ」
恋ははっきりと、AIのマートに言い放った。
蓮の必死の言葉で、俺は戸惑った顔を見せていた。
「なんで、そうなるんだ?俺は……その」
「今はまだあたしは幼いし……修成も迷っていると思う。
でも、あたしの気持ちはどうしても止められないの。
蓮の代わりには、なれないけれどあたしの事を少しは見て欲しい」
「何を言っているんだ?」
恋の言葉に、俺は少し照れていた。
照れた俺は、それでも恋をじっと見ていた。
お互いの顔が、とても赤い。
見ているだけで、互いが恥ずかしくなってしまう。
恋の事は、初めはそう思わなかった。
年齢も違うし、生まれた世界も違う。
だけど、恋はそれでも俺の事を好きでいた。
その好きを、俺はマートを救う為に利用していた。
それが、ひいては恋を救う為にも繋がると損得勘定で動いていた。
それこそ、人類を救うためでもあるのだから。
「こんな酷い俺を、お前は好きになるのか?」
「好きなものは、好きなんだから!」
「でも、俺はお前の事を……」
「分かっている、蓮の事が好きなんだよね。まだ……」
恋はそれでも、俺に恋をしていた。
だからこそ、俺もちゃんと彼女の恋に応えたい。
そして、今度こそ迷わない。
蓮の時のように、辛い後悔はしたくない。
「あの……取り込み中のところで、申し訳ないけど」
「ああ、マート。すまない。勝手に盛り上がってしまって」
「お前達人間は、実に興味深いな」
マートが一瞬、笑った顔を見せた。
それは女の子らしい笑顔を、モニター越しに見せていた。
「まあ、それだけ恋は大変だと言うことだ」
「よく分かった。最後にとてもいいモノを、お前達は見せてくれた。
これが、修羅場というモノだな」
「違うっ!」俺と恋の声が、最後にハモっていた。




