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数字の神が支配する世界  作者: 葉月 優奈
三話:AIと対話を求める女
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――2123年6月――

この日は、俺の新しい晴れの日だった。

俺は、なかなか前に踏み出せなかった。

誰かを好きになることは無く、蓮をひたすら追いかけていた。

蓮を殺したあの日から。


海の見える教会の中に、俺はいた。

だけど、この日は一年前のあの日と同じだ。

マートに見せた、マートの好きを確認する日。

真っ白なタキシードを着た俺は、教会のドアの前にいた。


(この結末を、俺は想像できなかったな)

この教会に来たマートは、あの後アップデートを行なった。

新たなマートになったけど、この世界を見守ってくれていた。

最近はカーナビやスマホのアプリなんかでも、幼い姿のマートをよく見かけるようになった。

より身近な俺たちの神は、人類を見守ってくれていた。


(蓮、お前の娘……マートはこの世界で神を元気になっているぞ)

空は快晴……とまではいかない曇り空。

海の潮風が強く吹きつけた、海もしける教会の前。

扉の前で、俺は大きく息を吐いていた。


(だから、何も心配しなくてもいい。

それとごめんな。俺はお前との愛を、貫くことが出来なくて)

俺は、蓮の想いに応えることが出来なかった。

それでも、俺は蓮に教わったことは数多くある。

だから、これからも蓮に教わったことを胸に……俺は生きていく。

神マートが、見守ってくれるこの世界で。


教会の扉を、俺はゆっくりと開いた。

開くと教会の中は、多くの人が待ち構えていた。


そこにいたのは、俺の仲間、同僚。

廻沢や、柚木、俺の姉貴も俺の顔を見て祝福してくれた。

扉の中には、ウェディングドレスを着ている一人の人間が待っていた。

その人間に、俺は声をかけていた。


「さあ、行こうか」

俺は恋に一礼して、ウェディングドレスの手袋の手を握っていた。


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