054
翌日、俺は新車のカーゴに乗っていた。
これは、マートが用意してくれたカーゴだ。
すっかり改心したマートは、カーナビに映っていた。
町並みも喧噪はすっかり収まっていて、ドローンの暴走も無い。
穏やかないつも通りの町並みが、広がっていた。
「どこに向かっている?」
カーナビに映る、幼い女の子のマート。
俺は運転をしながら、マートと会話をしていた。
隣には、恋も一緒だ。
恋は、これから起ることを知っていてかずっと顔が赤い。
必死に誤魔化そうとしても、それはどうしても顔に出ていた。
「蓮が好きだった場所だ、お前にも見せてやる」
町中を走り、やがて辿り着いた場所が合った。
「ここだ」
「ここって……」
「そう、海が見える教会だ」
カーゴを止めたら、真っ白な建物が見えた。
海のそばに立つ真っ白な教会は、周りにマッチしていた。
「マートよ、少しカーゴから出てみるか」
カーナビのモニターを取り外して、俺は外に出た。
白く綺麗な教会の中に、そのまま俺と恋は入っていく。
外には潮の香り、波の音が聞こえてきた。
真っ白な壁とレンガの床、赤い絨毯はヴァージンロードだ。
そのまま、俺はカーナビのモニターを持って教会の中を歩く。
「セントラルの景色の正体は、これだ。
蓮は俺が好きで……それでも俺は覚悟が決められない意気地なしで……
そんな俺は、これから式を挙げようと思う」
「誰と?」
「お前とだよ、マート」
俺は、迷うこと無く言っていた。
それと同時に、恋は着替えて姿を見せていた。
それは女のシスターの格好で、聖母の像の前に立っていた。
「今から、俺とお前の式を執り行う。結婚式だ」
俺は、モニターのマートに言い放った。
同時に、聖母像の前にいるシスター恋から声が聞こえた。
カーナビのモニターを持って、俺はシスターの前に厳かに歩く。
「汝、碑文谷 修成よ。あなたは、マートを愛することを誓いますか?」
「はい」
「ではマート、あなたも続いて。
汝マートよ、あなたはやめるときも修成を愛することを誓いますか?」
「……うむ」マートは、いつも通り抑揚の無い声をしていた。
だけど、顔ははっきりと違う。
照れた様子で、困った顔を見せていた。
「では、愛の誓いを……キスを……キス……」
なぜか、恋は照れが止まらない。
「恋?」
「ダメよ、あたしだって修成のことが……好きだから」
最後は、恋が俺に告白をしてきた。
その顔は、完全に真っ赤で俺をじっと見ていた。
上目遣いの恋は、口を閉じて俺をはっきりと見ていた。
「あの女も、お前が好きなのか?」そこに、マートの一言。
恋は、逃げられなくなって背中を向けた。
「いいでしょ、あたしは好きなんだから」
最後は、強くはっきりと言い放っていた。




