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数字の神が支配する世界  作者: 葉月 優奈
三話:AIと対話を求める女
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長い間、夢を見ていたのかもしれない。

ようやくアメミットのカプセルを出た俺は、疲れた顔になっていた。

全身汗だらけで、疲れが色濃く見えた。


カプセルのそばには、恋も一緒に出てきていた。

アメミット用の銀色スーツを着ていて、顔が赤かった。

俺の顔を見るなり、背中を向けた。


「アンタに、あんなことをされるとは思わなかった」

「マートにどうしても、好きを教えたかった。

それには、どうしても同性であるお前の協力が必要だったから」

「マートは7人のモデルでしょ。男も入っているし」

「でも、見た目は少女だし。一番色が濃いのは、なんと言ってもお前だ。打越 恋」

その言葉を、言ってきた人物がいた。

茶色のスーツを着た、少ししわのある顔の男。

老けた顔で、それでも打越博士は姿を見せていた。


「博士は、マートになぜ好きを教えなかったのですか?」

「このAIは、未完成なのが一番大事な形だ。

完成してしまっては、反省をしない。

反省をさせるために、あえて人間のような未完成なAIにした。

それがマートであり、七人のモデル……八人目の蓮も含めた存在だ」

「未完成のAIか」

モニターを見ながら、打越博士は操作を続けた。


「そう、完璧なAIは、神になり得ない。

なぜならば、完璧な神は神話の中でも存在しない。

神だって、過ちも失敗も繰り返す。だから、マートもそれぐらいでいいのだよ」

「それよりも、アップデートは出来るのか?」

「ああ、君たちのおかげで、無事に出来る事になった。感謝するよ」

打越博士が言うも、俺の隣にいる恋は口を閉じていた。


「マートは、この後どうなるの?」

「アップデートして、再起動をかけて……全て新しいシステムに変わる」

「その前に、頼みがある」

「なんだ?」

「マートを一日だけどうしても、セントラルタワーから出せないか?」

俺の言葉に、打越博士は首をかしげた。


「マートはAIだ。外の世界に出ることは、どうしても出来ない」

「だが、彼女の意志も自我も、確かに育っている。

アップデートする前にマートに見せたいんだ。蓮が言っていた『好き』の正体を。

どうにか、見せることは出来ないか?」

「それは難しい……」

「あたしからもお願い」

俺の隣で、恋が頭を下げていた。

娘が下げた頭を見て。博士は首を捻っていた。



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