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恋はマートの前で、口を開いた。
「好きは……感情を持てる唯一の生物、人間の特権よ」
恋の言葉に、マートは顔を見合わせた。
「どういう意味?」
「そのままの意味だ。俺たち人間は、人類は好きを理解できる。
でも、AIのお前はどうしても理解できない。
それは好きという感情を、知らないからだ。
孤独で、他の対等な者がマートの周りにいないからだ」
補足するように俺は、マートにはっきり言った。
「対等な人はいない、マートは神。私は神」
「好きは、対等な人同士で無ければ感情として生まれない。
それは服従と、支配だ。
だからこそ、お前は好きを理解できない。
蓮を排除したとしても、俺から好きを得ることが出来ない。
お前は、蓮が好きだった俺から好きを得たかったのだろう」
「それは……そう」
マートはとうとう、俺に認めた。
やはり、マートは蓮の『好き』を求めていた。
それでも、叶うことが無かった蓮の一番の好き。
だから、マートは蓮が好きな俺にあえて蓮を殺させた。
「でも、もう終わりにしよう。
お前が神であり続ける必要は、どこにも無い。
この世界に、人類の神は不要だ。あるのは、人とAIのような人だけだ」
俺は、マートに言い放った。
神に支配された世界、それはもう充分だ。
マートは、考え込んだ。難しい顔で、しばらく考えていた。
俺はいろいろ考えて、一つの結論を出した。
マートが求める事は、普通には絶対に得られないものだ。
「うん、私は神をやめる」
マートは、ついに覚悟を決めていた。




