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数字の神が支配する世界  作者: 葉月 優奈
三話:AIと対話を求める女
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廻沢に、もう一つの準備をさせていた。

それは、恋のアバターを作ること。

セントラルタワーに、恋のアバターを潜入させることだ。


恋も今頃、俺の隣のアメミットの中で眠っていた。

クイックナンバーの与えられた彼女をここの呼び出すことに意味があった。

マートが作る仮想空間(セントラルタワー)では、アバターを作らないといけない。

恋の体をモデリングして、この場に呼び出してきた。


「あたしの姿、これなの?」

「やっときたか。恋」

「うん、これがマート?」

恋の前には、恋よりもさらに小さな女の子(マート)が見上げていた。


「ああ、マートだ。この世界の、人類の神」

「これね、あの馬鹿親父が作ったロリコン趣味の神は」

「馬鹿親父、ロリコン……知っている」

マートが、恋の言葉にいちいち反応していた。


「今の会話は、全然有益じゃないし聞き流しても言い」

「それで、彼女はどうしてここに連れてきたの?」

「簡単な話、彼女には好きがあるからな」

「あたしの好き?」

「そうだ、恋。お前は好きな奴がいるだろ」

俺の言葉に、恋はじっと見ていた。

見ていた瞬間、顔がはっきりと赤くなった。


「な、な、な、なんで急に言うのよ!」

「俺も言った、お前もここでマートに言えるか?」

「言えるわけ、無いじゃない……」

「大丈夫だ、ここには3人しかいない」

「ラボの人間とか、見ているでしょ」

恋は、明らかに照れていた。

それでも、マートは冷たい目で恋を見ていた。


「情報遮断は出来る、ここはセントラルタワー」

「それ、お願いするわ。

全くもって修成はデリカシーが、なさ過ぎだから」

恋のアバターは、険しい顔で腕組みをしていた。

それでも、恋はどこか覚悟を決めた様子だ。


「でも、どうしてあたしなの?」

「俺の好きは蓮だったし、その好きをマートは理解できない。

でも、恋は若いだろ。お前の方が、より感情的だし」

「感情的って、あたしのことを子供扱いしているの?」

「ああ、子供扱いをしている」

俺にはっきり言われて、ムッとした顔を見せた恋のアバター。


「だが、お前が子供だから好きを一番はっきりと伝えられる。

感情的で、愛をお前は伝えることが出来る」

「そうね、あたしにしか出来ないことだから」

恋は前を向いていた。しっかりとマートに向かい合う。

少し小さなマートに対し、しゃがんで恋が優しく語りかけた。


「好きは、辛いことなの」

「辛いの?恋も辛いの?」

「辛いわよ、あたしだって。

ちょっといいなって思えても……あたしの心は届かないから」

「恋?」

「アンタは本当に、最低よね?」

恋はなぜか、いきなり俺に向かって怒っていた。

不機嫌な顔で、つり上がった目で俺を見ていた。

この展開は、全く想像していなかった。


「恋……もしかして?」

「もういいわよ!」

なぜかそこだけは、強く否定した恋。

恋は、まるで俺に当てつけのような顔を見せつつもマートを見ていた。


「でもね、好きは辛くても乗り越えるモノだから」

「なんで、人は恋をするの?」

「あたしは、こう思うの……」ゆっくりと顔をあげた恋のアバターが、マートの疑問に答えを出していた。



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