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数字の神が支配する世界  作者: 葉月 優奈
三話:AIと対話を求める女
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マート庁のビルだ。人工島アールで、中心にある建物。

後ろには、巨大なセントラルタワーがそびえ立つ。


俺の番号は、既にレッドナンバーに書き換わっていた。

俺だけじゃない、マートは全ての人間をレッドナンバーにしていた。

そんなレッドナンバーの状態で、この職場に帰還するとは思わなかった。


このビルで行なった俺の仕事は、レッドナンバーの消滅だ。

それが、レッドナンバーになって俺がマート庁に来るとは皮肉だ。

俺はそれでも、裏口からラボに潜入した。


監視カメラでは、マートは俺たちを見ているだろう。

だけど、ドローンや防衛システムの攻撃を俺たちは受けない。

迂回したこともあり、俺たちは少し時間がかかった。

それでも、俺はラボにようやく辿り着いた。


「待っていたよ、少年」

白衣の廻沢が、俺をいつも通り出迎えた。

一緒にいるのは、気弱な堀合。

いつも通りの開発部の二人組に、もう一人の人間がいた。

この世界では珍しい老人の白衣男……打越教授も揃っていた。


「開発は、成功したのか?」

「打越教授の応援もあった」

「アップデートの再データも構築が終わった」

「二人とも感謝する」

マートに会う、それだけでも大変なことだ。

だけど、俺の失敗を挽回する為に多くの人間が動いていた。

廻沢も、打越教授も、他のラボの人間も。


「それは、世界の命運を君に託していいのかい?」

「託すしか無いだろ。というより、俺に託させてくれ。

セントラルタワーの壁を壊さないと、マートに会うことが出来ない。

マートの好きを、俺はようやく説明できるところまで来た」

「おおつまりは、恋ちゃんを犠牲にしない選択を選んだのね」

「当たり前だ!マートの暴走求めて、アップデートを今度こそ完成させる」

俺は鼻息荒く、言い放った。

だけど、廻沢が首をかしげた。


「でも、ダメならばそのまま恋の事を……」

「絶対に失敗しない。失敗させない。

これは俺の問題でもあるんだ、俺のけじめの問題でも……」

「言うねぇ」

「俺は蓮の好きに対する解を、まだ出していない。

今度こそ、俺はマート……蓮にもしっかり言う!」

「あなたは、本当にそれでいいの?」

そんな俺の後ろから、恋が心配そうな顔を見せた。


「大丈夫だ。俺は全ての決意を固めた。

過去の俺は自信が無かった、人を幸せにすると言うこと。

結婚をして、一人の女を妻にする責任を」

「結婚?」驚いた顔を見せた廻沢。

口にした俺は、少し照れていた。


「だけど、今の俺には覚悟が出来た。

愛する人を、幸せにする覚悟が俺にはある」

「言い切るねぇ、少年」

「少年じゃ無い、俺は……」

「じゃあ、修成」上目遣いで、なぜか恋が俺を見てきた。

そのまま、俺に対して聞いてきたことがあった。


「あなたは、今一番誰を愛しているの?」

恋の問いに、俺は数秒の間を開けた。

そして、俺は口を開いた。


「俺は、今一番愛しているのは……」

俺が出した名前を聞いて、廻沢と恋は思わず口を開けて驚いていた。



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