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蓮の家は、寮では無い。一軒家だ。
マートのマンションでは無く、彼女は元々一軒家に住んでいた。
彼女の保護者だった両親は、十年前に亡くなっていた。
鍵谷家は、俺たち碑文谷家を保護してくれた人たちだからよく覚えていた。
「ここが、蓮さんの家だね」
「ああ、鍵谷家。俺や姉貴の身元引受人だった人だ。
幼い頃から、俺は蓮と知り合っていた。
あの時期は、大戦が終わって多くの人間に家族がいないことは珍しくなかったから」
家の中を歩く。ロボットが動くけど人の気配はない。
一階のリビングを歩きながら、俺は懐かしいリビングを見ていた。
「特に俺は、両親の顔も名前も全く知らない。唯一残されたのは、この変わった苗字だけだ。
生まれだって、両親の死後で……残された生殖器から生まれたのが俺だ。
育ての親は、鍵谷の両親で……親代わりの存在だ」
「家族関係が、複雑なのね」
「一緒に蓮とは育ったし、血が繋がっていないことも知っている。
一緒に育ったことで、蓮のことは誰よりも理解していた。
だけど、マートのモデルをしている話は初めて聞いた」
「女はね、いろんな顔を持っているの。
表の顔に、裏の顔。それらを使いこなすのが、いい女の条件」
「蓮は、確かにこの上ないいい女だ」
恋に言われなくても、俺は蓮の全てを知っていた。
そして、俺は周囲を見回した。
「蓮の好きは、分かったの?」
「なにか、後はきっかけがあれば……」
「ねえ、この棚が動くわよ」
恋は、棚を動かしていた。
棚を動かした足元には、下へ下る梯子が見えていた。
その梯子を下ると、俺は蓮の夢が見えていた。




