表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
数字の神が支配する世界  作者: 葉月 優奈
三話:AIと対話を求める女
PR
39/56

039

2122年夏、あの日は晴れていた。

その日のことを、俺は今でも覚えていた。

蓮と一緒に行った場所に、恋と一緒に来ていた。

その場所は、とある海岸。


「うわー、きれい」

「ああ、ここは俺が……かつて蓮に告白しようとした場所だ」

そこは海岸だ。白い砂浜、小さな海岸。

海岸には真っ白な教会が、立っていた。

海を背景に、大きな白い教会の中に入った。


「こんなに、ロマンチックな場所があるんだ。未来にも」

「ここは人工島アールで、一番海が綺麗に見える場所だ。

元は、どこかの国の避難用シェルター島だったらしい」

「この教会で、修成は告白したの?」

「出来なかった」

「どうしてよ?」不機嫌な顔で、恋は口を尖らせた。


「俺には、告白する勇気が無かった。

蓮の全てを受け止めて、蓮の全てを愛する勇気が無かった。

だって、そうだろ。人を一人愛することは、とてつもない責任を負わないといけない」

「重いわね、修成の恋は」

「そうだ、重いかもしれない。

だけど、俺はそれだけ蓮が好きだったのは間違いない」

教会の外から、俺は海を見ていた。


「蓮は、俺と結婚したがっていた。俺はそれが出来なかった」

「それを、あなたは後悔している。

それだけ、蓮の事が好きだったんでしょ。あたしには分かるから」

恋は、穏やかな顔を見せていた。

大きな白い教会から、晴れた空も見えた。


「修成にとって、結婚とは何なの?」

「一緒にいる覚悟を決める儀式……かな?」

「あたしも、そう思うけど……一番大事なことはお披露目よ」

「お披露目?」

「そう。親しい人に、自分が幸せである事をみんなに披露すること。

幸せになって、感謝を伝える場所が結婚じゃないかな?」

恋の言葉に、妙な説得力があった。

その考えは、俺には無かった眉唾物だ。


「そうか、感謝を伝える……か。恋の感性らしいな」

「でしょ!でもあんたは、蓮にもう一度告白できるんだから」

「そうだな。マートの中にいる蓮に、再び告白できるチャンスでもあるからな」

教会の鐘が鳴った中、俺は前向きになっていた。

それと同時に、俺は歩き出していた。


「行こう、蓮に会いに。

蓮が大好きだった、マートに向き合うために」

この瞬間俺の動かなかった時間が、動き出したような気がした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ