037
ドローンの猛攻に耐えながらも、アール大学に近づくにつれてドローンの攻撃が弱まった。
アール大学に辿り着く頃には、既にドローンの追撃は無くなっていた。
研究室に入り、俺は一人の人間と面会をしていた。
出迎えたのは、白衣の老人。打越教授とテーブルを囲む。
「なるほど、君は再びマートに会いたいと」
「ええ、俺はマートにもう一度会いたい」
「前回のアップデートを、失敗した君が?」
「アップデートの内容を、もっと精査しないといけない。
マートの記憶を消さずに、暴走を止められないのか?」
「無理……と言いたいところだがわしも見直してみた。
アップデートのデータをもう一度見直すことで、マートの記憶を消さずに正すことは出来るかもしれない」
「本当か?」俺の言葉に、打越教授は頷いた。
「わしは、間違えていたのじゃよ。
AIの感情は不要というのは、正しくはない。
AIも、長いこと生き続ければ人に近づいていくのは自然的なこと。
だから、記憶を消さずに暴走を止めるプログラムを書き直した。
アップデートのデータは、あと一日かかるが……君にもう一度アップデートを頼めるか?」
「やってやる」
俺は手を差し出した。打越博士と、固い握手をしていた。
「では明日……君にはマート庁のアメミットに向かってもらおう」
「その前に、やるべき事がある」
「何かね?」
「恋以外……残り6人のマートのモデリング人間の情報の開示をしてほしい。
無論、それは蓮の分もだ」
俺が打越教授に言うと、すぐそばの女性の助手が動き出した。
同時に近くにあるタブレットを、俺に見せてきた。
「ありがとう」俺はタブレットを見ながら、情報を確認した。
(グリーンナンバーの男に……デパート経営者……後は元大陸の政治家)
情報を一つ一つ確認する。男女比は3:4だ。
どんな人物がいるのかを見ながら、打越教授が話してきた。
「君には、とにかく期待しているぞ。
おそらく君だけが、世界の神マートに会える唯一の人間だから。
でも、どうしてそこまでやる気になったのじゃ?」
打越教授が、不思議そうな顔で聞いていた。
それを聞きながら、俺はタブレットで情報を確認し終えた。
顔を上げて、打越教授をじっと見ていた。
「俺の彼女、鍵谷 蓮が愛情を注いだAIだからな」
俺は、はっきりと言い放っていた。




