表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
数字の神が支配する世界  作者: 葉月 優奈
三話:AIと対話を求める女
PR
33/56

033

エレベーターの中には、静かな空間で二人きり。

少し広いエレベーターの中に、俺と恋の二人しかいない。

背を伸ばした恋は、俺の顔をじっと見ていた。

小柄でブレザー姿の恋は、どこか大人びて見えていた。


「好きな人はいない」

「そう、じゃあ……今はフリーなのね」

「まあ、フリーだけど。新しく恋を、するつもりはない」

俺の言葉に、恋はどこか寂しそうな顔を見せた。


「今でも、蓮のことを思っているの?」

「そうだな。俺とアイツは、三十年以上の知り合いだからな」

「それはズルいね。あたしが、全然入り込む余地がないじゃん」

なぜか恋の目には、涙が浮かび上がった。

泣き出しそうな顔で、俺にそれでも顔を背けない恋。


「恋、どうした?」

「なんでもないわよ!ちょっといいと、思ったのに。

あたしはようやく、本気(マジ)になれる男をみつけたと思ったのに」

「なんか、ごめん」

「そこで、謝んなくていい。あたしが、惨めになるだけだし」

涙を腕で拭って、はにかんだ笑顔を見せた恋。


「すまない、今……俺は人を好きになることに迷っているんだ。

いや、あのときからずっと。蓮が死んでより、迷いはさらに深くなった気がする」

「迷路に、迷い混んじゃったのね。修成は」

「ああ、俺の迷路はあのまま……蓮に告白できなかったあの日から」

「大丈夫、少しずつ理解していけば問題ないよ。

修成が出来なかったことや、修成の後悔もあたしが受け止めてあげるから」

「なんで、そこまでしてくれるんだ?こんな俺に?」

「そりゃあ……あたしは、あんたに助けられたから」

まもなくして、エレベーターが一番下の階層に辿り着いた。

そして、恋は既に前を向いていた。


「いいわよ、あたしの全てをあなたに教えてあげる」

エレベーターのドアを開けると、地下には研究所が見えていた。


だが、俺たちはまだ気づいていなかった。

このエレベーターにもう一つ……何者かが乗っていたことに。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ