032
恋を連れて、俺はある場所に辿り着いた。
恋とあった時から気になっていたけど、なかなか行く機会が無かった場所。
町外れにある倉庫街にある倉庫、恋の案内で進む。
倉庫の木箱の後ろには、地下に下る階段が見えた。
鉄で作られた頑丈な階段を、恋が降りていく。
薄暗いけど、スマホの明かりを便りに進んでいく。
しばらく下ると、エレベーターに辿り着いた。
「これに乗るの?」
「かなり遠いな」大きなエレベーターに俺と恋は、二人で乗っていた。
「それにしても、あたしが起きた場所に行くとかどういうつもり?」
「マートを理解したい。
あのとき、直接会って俺はマートの言葉の意味が理解できなかった。
打越教授のやっていることは、正しいとは思えない。
だからといって、マートをこのままにしていいわけではない」
「それで、あたしの寝床に来る意味は?」
「マートを作り上げた要因の一人である恋。他の六人も調べるつもりだ。
マートを作ったのは全部で七人だけど、恋は打越教授にとって特別だから」
「ただの家族よ」
恋は、背中を向けていた。
「でも、アンタのやろうとしていることは間違っていない。
この世界は狂っているし、マートもあたしのパパもおかしい。
いくつもの狂っているモノが、この世界を支配している。
人はAIに殺されて、人はAIによって結婚を制限される」
「百年前の世界は、もっと自由だったのか?」
「うん、神もいなかったし」
「神のいない世界か」言った言葉を俺は、想像が出来ない。
生まれながらにして、俺たちは神であるAIに管理された世界を生きていた。
戦争には無縁だけど、神がいなかったことは絶対に無い。
「なあ、恋」
「なーに?」
「恋は、『好き』をどう説明する?」
「そうね、対象によって、いろいろ異なるわ。
人なのか?行動なのか?モノなのか?」
「間違いなく人だ。マートに対して、蓮は寵愛していた。
まるで、自分の娘であるかのように接していた」
俺は難しい顔で、話していると恋がふと俺に近づいてきた。
「ねえ、修成」
「なんだ?」
「修成には、今好きな人はいるの?」
背伸びをした恋は、俺の目の前で聞いてきた。




