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数字の神が支配する世界  作者: 葉月 優奈
三話:AIと対話を求める女
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夜、疲れた俺は家に戻っていた。

出迎えたのは綺麗になった俺の部屋と、『打越 恋』がエプロン姿で出迎えてくれた。

彼女の掃除によって綺麗になったリビングのソファーに、俺は疲れた顔で座っていた。

そのまま、俺はスマホを見ながら話をしていた。


「ねえ、パパの仕事はどうだったの?」

「ああ、失敗した。マートの記憶を消す……それが打越教授の考えだった」

「そう。パパは、本気で一度AIを完全に廃棄する気ね」

恋は、対面のソファーに座っていた。


「感染症の薬は、効いているのか?」

「うん、体の調子がとってもいいモノ。元気が有り余っているわ」

恋はかわいく、腕を振り回していた。

そんな恋に、俺はスマホを見ていた。


「マートの暴走が、続いている。今もこうして、ニュースになっているな」

「街の中に、ドローンが出回っている。マートの暴走が原因で」

「ああ、だけど俺は何も出来なかった。

蓮のこともあるし、AIは蓮の一部でもあるから。

そういえば、お前もマートのモデルだったんだな。打越 恋」

「昔、あたしを使って一つの実験を行なった。

あたしの感情を抜き取り、AIを作る実験」

「やはり、知っていたのか?」

「最初は知らなかったけど、ようやく思い出したの。

パパと会って……眠って夢を見て」

恋もまた、打越教授に利用されたのだろう。

マートの一部として恋は存在し、彼女は長い間眠らされた。

ならば、この時代に起きた恋には何か意味でもあるのだろうか。

マートとつながりのある恋は、マートの求める『好き』の意味を知っているのだろうか。


「なあ、恋」

「何?」

「恋に取って、好きはどんな意味だ?」

「え?」恋は俺の言葉を聞いて、じっと俺を見ていた。

そして、視線を逸らして照れた顔を見せていた。


「あたしには、好きな人はいなかったから」

「なるほど。マートのこの感情は、恋のモノじゃ無いのか」

「なんか、凄い不満だけど」

恋は、拗ねた顔を見せた。

それでも、俺はスマホを見ながら難しい顔を見せていた。


「7人のモデルは、他にどんな人がいるんだ?」

「あたしは、あたししか知らないけど……あんたの恋人もそうなんでしょ」

「まあ、そうだな」

「だったら、あなたは彼女の願いを叶えてあげないとね」

恋はなぜか、かわいらしく俺にウィンクをして見せた。

その仕草は、俺の彼女の蓮に似ていない仕草だった。



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