表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
数字の神が支配する世界  作者: 葉月 優奈
二話:神を作りし若人
PR
24/56

024

マート庁専用アプリ『マートン』。

ナビゲーター役は幼い女の子の『マートン』が、マスコットのアプリ。

マート庁のメッセージチャットから、ブラックナンバーの仕事に役立つサーチ機能まで多岐にわたっていた。


その中に、コミュニティツールが存在していた。

自分にそっくりのアバターを作り、疑似体験が出来るアプリだ。

まあ、俺はそんなモノを作ったことはないけど。


「マートのアップデート?」

「ああ、マートのアップデートにはマートンも必要だ。

ブラックナンバーの君はマートンのアプリを、スマホに入れてあるだろう」

「確かにスマホに、入っている」俺は肯定した。


「だが、アップデートはアール大学の仕事なのか?」

「通常のAIならば、アール大学でも出来る。

だが、マートはセントラルタワーにある神のAIだ。

セントラルタワーに行くには、マート庁の助けを借りるんじゃよ。

あそこには、廻沢という開発部主任がいるじゃろ」

「ええ、いますよ」

白衣を着た廻沢の顔を、俺は思い浮かべた。

廻沢は、ロクなお願いしかしていない印象だ。まあ、研究熱心で高い知能を持つのは認めるけど。


「セントラルタワーに辿り着くには、アメミットが必要。

そして、マートのアップデートにはマートンのアプリが必要。

つまりブラックナンバーのお主が、一番適任というわけだ」

「もしかして、アメミットでセントラルタワーに潜入するのか?」

「その通りじゃ」

「はあ、分かっているのか?セントラルタワーには……」

「マートを守る防衛システムが、張り巡らされている。

人間が近づけば、防衛システムに殺されてしまう。

関知されたら、ADLが容赦なく襲ってくるからな。なによりそれが、一番難しい」

「ドローンで向かっても、かなりキツいぞ。おそらく」

「セントラルタワーに、潜入したことは?」

「ないよ。やろうとしたら、その瞬間レッドナンバーだ」

「だが、レッドナンバーにならない方法がある。

潜入時には、番号を消すことが出来るのじゃよ」

そう言いながら据わったままで打越教授が、助手の女を呼びつけた。

白衣の女が、俺の前にある小さなディスクを取り出した。


「これは?」

「アップデート用の、ディスク。

旧時代の媒体だが、この中には一時的に番号の紐付けを解消するフェイクデータが入っている」

「まるで、番号詐欺師みたいだな」

「番号の検索は、モニター越しの視覚もあるが、人間の反応する僅かな音で感知もする。

ドローンに関しては、ドローンでは無く人の発する僅かな声で識別する。

そこでこのディスクを挿入すれば……君の番号を感知されずに作業ができるのじゃ」

「まだ、俺はやると決めたわけじゃない」

俺はディスクを受け取りながらも、教授の申し出に賛成はしていない。


「だけど、君はこう思わないかい?

もしも大事な人間が、マートの誤作動で……殺されてしまったら」

「!」俺は、打越教授の言葉にハットした。

もしかして、打越教授は俺の過去を知っているのだろうか。

繭を潜ませて、俺は手を握っていた。


「マートがこのままアップデートされなかったら、間違えない神も間違えてしまう。

そうなれば、アールでは様々な被害が起ってしまう。

君は罪無きレッドナンバーを、何人も消し去らなければ……」

「やめろ!」叫んで遮った俺。

打越教授は、口元をニヤリとさせていた。


「どうします?」

「やるしかないだろ」俺は迷わず言い放った。

それを聞いて、打越教授は怪しく笑っていた。


「ほう、では……早速マートンでアプリを起動して……アバターを見せてもらえぬか?」

「アバター?」首をかしげる俺。

「ドローンで辿り着いたら、アバターで会話をするからアバターを用意するのじゃ」

「そういえば、作っていないな」

「なんと」打越教授は、なぜか驚いていた。

すぐさま、助手の女が無表情で打越教授の持っているタブレットを取り上げていた。

そして、操作をして俺にタブレットを見せつけてきた。


「これ、教授のアバターです」

タブレット画面には、一人のかわいらしいアニメーションの女の子が姿を見せていた。

ショートボブで、肌を露出されたビキニを着た2Dデフォルメされたアバターだ。


「おい、わしの……」

「アバターを作るのか」

「まあ、そうじゃな。このアバターは渡さぬぞ。

娘よりも大事なこのアバターには、かなり金を使ったからな」

打越教授に俺はタブレットを返して、なぜか老人がタブレットを抱きしめていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ