020
アール大学は、人工島アールの中で一番大きな大学。
そして、現在に存在する唯一の総合大学でもあった。
大学構内はとても広く、ロボットがあちこち動き回っていた。
草刈りをするロボットに、調理用のロボット。
俺は守衛室の警備ロボットに、堀合から言われたIDを記入。
そのまま、大学の中に入っていった。
綺麗に整う街路樹を抜けて、校舎の中に入りながらスマホを片手に恋と歩く。
校舎内に入り、廊下を歩いて行く。
開放的な廊下に、窓から明かりが差し込む。
「ロボット、ばっかりだね」
「そうか、百年前だと珍しいのか?」
「珍しい……かな。
あたしは大学を、あまり行ったことがないから」
白いブレザーの恋と、黒のジャケットの俺が大学の構内を歩いて行く。
すれ違うロボットと、大学の人間。確かにロボットの数は多い。
「パパは、どんな研究をしていたの?」
「マートの研究」
「マートって、神?」
「そう、この世界の神だ」
「どうして、AIが神をしているの?」
「AIは間違えない、忖度も差別もしない。それがAIで、神マートだ」
「でも、本当にそんなAIが存在するの?」
恋が聞いてくると、少し奥に一人の人間が姿を見せた。
「するよ。AIは、学習する。情報の分別と、過去の情報から学習する能力を持つ。
AIが100%間違えないという根拠は、そこにある。
そのくせ、感情が無いのだからAIマートこそ理想の神……と言うことになる。
そんなマートを作った人物の一人が、アメリカの大学の研究チーム……つまり打越教授のいる研究室だ」
グルグル眼鏡で、白衣に黒ズボンの男が廊下で俺たちを待ち伏せしていた。
そのまま、俺たちの方にゆっくり歩きながら話してきた。
廻沢の所にいる気弱な助手の男は、驚くほど流暢に話してきた。
「ああ、堀合。打越教授は……」
「打越教授じゃない、彼は神を産んだアトム神なのだ!」
そして、暑苦しく叫んでいた。




