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数字の神が支配する世界  作者: 葉月 優奈
二話:神を作りし若人
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18/56

018

(LEN‘S EYES)

あたしは、恥ずかしそうにしゃがんでいた。

修成の姉に対し、あたしは叫んでしまう。

しかも、最悪のタイミングで修成はいなくなるし。


あたしは、元気なくその場のカーペットの上にしゃがんでいた。

大きなゆりかごに座る女は、あたしを見上げていた。


「あははっ、面白いことを言うわね。あなたも」

「そ、そうなか?」

豪快に笑う大人の女性に、あたしは顔を上げて見ていた。


「でも、あんたのその感性は間違っていないわ。

大人になったら、考えたり抗ったりすることをやめてしまうから。

そうか、そうか……やっぱり世界は狂っているか。

過去からやってきたあなたにとって、今のこの世界がそう見えるのね」

「うん、狂っています。

人がいきなりドローンで消されたり……好きな人と結婚できなかったり。

それを、AIが選んでいるとか……おかしいです」

「ねえ、恋ちゃん」

「なんですか?」

「百年前の過去に、好きな人がいたの?」

修成の姉は、あたしの話に身を乗り出して聞いてきた。


「あの時代では、いなかったな~。

だから百年眠る事を、迷うこと無く選べたと思う。

好きな人や、大事に思う人がいれば……そんな選択は簡単には出来ない」

「まあ、そうね」

「お姉さんは、好きな人がいるの?」

「私?いるわよ。ブラックナンバーで、修成の同僚の『柚木 将也』君。

ほら、デパートにいたあのドローンを操っていた人よ」

いきなり、固有名詞を出してきた姉。

姉は口元に笑みを浮かべて、堂々と言っていた。


「あのドローンの中に、人がいるんですか?」

「うん、ドローンを操っているのはブラックナンバーの『粛正官』。

ユズ君の他に、弟の修成もそうよ」

「あの修成が?」あたしは、すぐさま修成の顔を思い浮かべた。


「そう、修成。彼も多くのレッドナンバーを殺しているの。

レッドナンバーは、精神異常や犯罪予備軍、人類の進歩にとって危険な存在」

「あの人殺しを……修成がやっていたんだ」

昼間のデパートで見た、人が消える光景。

あたしを人質にした背の高い男は、ドローンの光線を受けて消えて無くなった。


「修成ねぇ……」

「え、どうしました?」

「あなた、修成とは仲がいいのね」

いきなり姉が、あたしの名前呼びを指摘した。

指摘されたあたしは、思わず冷静に考えて少し顔が赤くなった。


「いや、他に呼び方知らないし。修成は……修成だし」

「恋ちゃんは、修成の事が好きだったりする?」

「い、いえ。嫌い……です。

階段を無理矢理登らせて……後はぶっきらぼうで、すぐどっか行くし」

「修成は、昔好きな人がいたの」

「うん。あたしと同じ名前の『レン』」

「あれは、去年のクリスマスイブの日だったわね。

彼女の蓮は、いきなりレッドナンバーになった。

そこでブラックナンバーの修成が……蓮を殺したのよ」

「殺した?どうして修成が?」

「それが、ブラックナンバーの仕事だからよ」

顔に影ができた姉は、はっきり言い放っていた。

だけど、あたしは右手をグッと強く握っていた。


「おかしいですよ、二人は愛していたんでしょ。修成は?」

「愛していたわ。だから、修成はとても苦しんだ。

今でも蓮の亡霊を振り払おうと、必死に生き続けているの」

「そうだったんですか……」

初めて聞いた、修成の過去の顔。知らない修成の歴史。

ずっと隣にいた修成の事を知ったあたしは、一つだけ空いているソファーの席を見ていた。


「恋ちゃん、修成の事をよろしくね。彼の心は今、空っぽだから」

「はい、分かりました」

姉は、空になったジョッキを見てあたしに優しく言ってきた。

そんな中だった、家のドアが突然開いた。


「戻ってきたわね、修成」

ドアから廊下を抜けて、修成がリビングに再び姿を見せていた。




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