015
展開は、思わしくはない。
浜中は、恋の背後に回っていた。
手にはナイフを持っていて、恋の事を人質に取っていた。
しかも、ワープしたかのように浜中は姿を見せてた。
(なんだ、この違和感は?)
俺は呆気にとられているし、後ろの姉も驚いていた。
「お前、やっぱり名倉 昭か?」
「隠さなくてもいいだろうな、そうだよ。
俺が名倉だ。しかしこの女、なんで分かった?」
「ピアスよ、そのピアス、不思議な音がするの」
叫ぶ恋に、浜中……もとい名倉は睨んだ。
「黙れ」名倉は、恋の首を右腕で閉めた。
「うううっ……」
「まあカラクリが分かったところで、今の状況は俺が有利なのは間違いない。
ついでに言ってやろう。そうだ、この音は俺のピアスだ。
俺のピアスは完璧だし、俺はこの女を殺すことも躊躇わない」
「何が目的だ?」
「取引をしよう。お前が俺に、クイックナンバーの使用許可をだす。
そうすれば、俺は一年間同じノーマルナンバーで生活をすることが出来るからな!」
「なんで、そんなことにこだわる?」
「お前達ブラックナンバーは、クイックナンバーの交付が可能だ。
俺は単純に、犯罪者をやめるだけだ」
「お前のその行動や性格が、レッドナンバーになることを知らないのか?」
「知るか!てか、神が決めた番号で縛られる世界は、おかしいだろう。
番号が赤くなれば、粛正されなければならない。
あまりにもクソ過ぎるルールで、人の差別に繋がる。
しかも、番号の色を決めているのはAIだぞ。この世界は狂っている!」
名倉の声は、俺の心をえぐってきた。
名倉の言葉は、蓮という大事な存在を失った俺に刺さっていた。
「狂っているかもしれない、間違っているかもしれない。
だけど、お前がやっていることは間違っている。
彼女を……恋を解放しろ!」
「近づくな、近づいたら殺す」
「近づきはしない」ズボンのポケットに手を伸ばす。
名倉も又、右耳のピアスに指を近づけた。
だが一瞬早く、俺は手に拳銃を持って撃った。
名倉が反応する一瞬前に、俺は名倉の右耳を狙っていた。
「うぎゃああっ!」
名倉のピアスが、銃弾に弾かれて飛んでいく。
右耳朶の穴が空いて、ピアスが飛んでいった。
「次は左耳朶を狙うぞ」
「くっ、お前……この女を殺す」
ナイフを恋に近づけようとしたが、そのまま名倉の右手がボロボロと解けていく。
「お前、なぜ……」
「赤い番号だ」俺はスマホを見せた。
『マートン』のアプリが、起動されていた俺のスマホ。
名倉 昭は、レッドナンバーと『284839405681』が表示されていた。
そして名倉の上には、一機のドローンが姿を見せていた。
緑とピンク縞のドローン、相棒のドローンが名倉に向けて口を向けていた。
「やだ、俺は死にたくない!」
ドローンを見るなり、後ずさりをする名倉。
右手もナイフも、一気に消えていて恋から下がって離れた名倉。
だけど、ドローンは口を向けていた。
そしてADLの黒い光線の二発目が放たれたとき……逃げる名倉の体に命中していた。
俺は名倉が、粒のようにバラバラになって消えていくのを呆然とみていた。
隣の姉も、首を横に振った。
「姉貴?」
「やっぱりお姉ちゃんは、見る目が無いわね」
そのまま、うつむいた顔で背中を向けていた。
目には、一粒の涙を浮かべながら。




