014
デパートの外は、とても晴れていた。
植え込みが見えて、綺麗に区画された植物。
道も通りやすく、開放的な出口で俺は姉に声をかけた。
姉は振り返り、俺を見て少し照れた顔になっていた。
「姉貴、奇遇だね」
「あら、修成。そちらの子が、昨日連れ込んだ女の子ね」
「連れ込んだ?」姉に言われて、恋は少し照れていた。
「はい、打越 恋といいます」
猫を被ったように、しおらしい恋の挨拶。
なんだかこれだと、逆に怪しまれそうだ。
「へえ、恋ちゃんっていうんだ。あなたも」
「はい、修成から聞きました。元カノの話」
(こいつ……)と思いながらも、平静を保つ俺。
にこやかな顔で、俺も対応していた。
「姉貴、そちらの方は?」
「ああ、浜中さん。会社の実業家で、大陸にある資源の開発事業をしているの」
「浜中です、よろしく」
浜中という男は、名刺を取り出してきた。
だけど、これが偽物である事を俺は既に分かっていた。
俺がまだブラックナンバーである事を知らないのか、堂々と『浜中』と言う男は振る舞う。
(顔の認証は、一致している)
スマホで画面確認して、俺は犯罪者『名倉 昭』と断定できた。
顔のパーツ全てが99.7%一致しているのが確認した。
「碑文谷 修成です。姉の愛善がお世話になっています」
「ほう、修成……君か」
一瞬、妙な間があった浜中という男。
俺はその隙を、見逃さない。
「何かあったのですか?碑文谷って名字は珍しいから……」
「そうだね、珍しいよね」だけど、俺の顔をじっと見ている浜中という人物。
そんな浜中は、口元に笑みを浮かべていた。
「言っておくが、俺の番号は正常だ」
「何の話だ?」
「お前、ブラックナンバーじゃないか?」
いきなり浜中が、俺に直接言ってきた。
浜中はそれと同時に、恋が指をさした。
「あれよ、あれから音が出ているわ」
恋は浜中の耳元にあるピアスを、指さしていた。
それを見た瞬間、浜中が動く。浜中が、左手でピアスを鳴らす。
狙いは俺……ではなく俺の隣にいた恋と一気に間合いを詰めた。
そのまま、浜中は恋の首元にナイフを突きつけてきた。
「なあ、ブラックナンバーよ。取引をしないか?」
浜中は、不敵な笑みを浮かべていた。




