013
なぜ、この二人が一緒なのか分からない。
髪が長いツインテールで黒い。顔も狐目に高い鼻の美人。
キリッとした顔の姉『愛善』は、オシャレなピンクのブラウスを着ていた。
姉の勝負服で、昨日のメッセージではデートの話もしていた。
(おそらくデートの相手は、手配中の名倉だ)
でも手配書の事を、一般人の姉貴は知らない。
グリーンナンバーもマート庁だけど、ブラックナンバーとの情報は共有されていない。
とにかく、俺はすぐさま上司の救援を要請した。
姉貴に連絡を送りたいけど、まだ様子を見ておこう。
そばには詐欺師の名倉がいて、何をしてくるか分からない。
特にレッドナンバーは、精神異常者も多い。近くにいる姉貴が、危険だ。
「で、あたしも一緒でいいの?」
「ああ、姉は騙されている」
認めたくはないが、これは事実だ。
ブラックナンバーの犯人が、姉貴と一緒にデートしていた。
後ろから尾行しながら、二人のデートを観察していた。
「証拠はあるんでしょ、ならば踏み込んでも?」
「それは危険すぎるし、応援も呼んだ」
「そう。だけど二人は、仲がかなり良さそうだけど。あれでも、言うとおりに詐欺師なの?」
「わからんが、ここまで堂々としている詐欺師を見つけたのは初めてだ。
なぜ、これほどまでにカメラがあるデパート内で堂々としているのだろうか」
俺がこのデパートに来るのに恋と歩くだけでも、監視カメラに細心の注意を払ってきたというのに。
あるいは、名倉の他に協力者がいるのかもしれない。
「でも、どうするの?」
「外に出たら動く。デパートには、たくさん客もいるからな」
「そうだね」周囲には客がいた。平日とはいえ、無関係の一般人を巻き込むわけにはいかない。
「それと、恋。本当に聞こえるのか、あいつから?」
「おそらくは……」姉貴の彼氏から、聞こえる僅かな音。
恋は俺に聞こえない僅かな音が、聞こえるようだ。
「その音が、何か鍵を握っているかもしれない」
俺のスマホには、『マートン』のアプリを起動していた。
番号だけを見ると、あの人物の番号は白い正常のナンバー。
「恋、一ついいか?」
「うん」
「二人が外に出たら、合流する。その後は、さっき説明したとおりだ」
「うん」恋は頷いた。
険しい顔で俺は、前を見ていた。
前の姉と黒いジャンパーの男……名倉のカップルが動き出した。
向かっている先には、デパートの出口が見えた。
「よし、動いた。行くぞ」俺と恋は、走り出した。
そのまま、早歩きで姉達のカップルに近づいた。
「あれ、姉貴……」
俺は突然に出会ったかのように、前を歩く姉に声をかけていた。
俺の声に背中から反応した姉は、俺の声に振り向いた。
その声は、幸せそうなロングツインテールの姉の顔が見えていた。




