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破壊神。

 あたしがデルタの異変に気がついたのは朝食後の朝の鍛錬中だった。


 胸につけていたデルタのブローチから苦しそうな意識が飛んできて。


「どうしたのです? 気が散っていますよ?」


 剣をあたしの頭の上で寸止めしそう言うエオリア。あたしも持っていた模造剣を今更のようにぎゅっと握り直して。


「ごめんなさいエオリア。僕ちょっと急用ができた」


 そう言うと。心の奥にぎゅっと手を伸ばしデルタの片割れが存在する空間を掴む。


「ぼっちゃま!」


 ああごめん。目の前で消えたあたしイリスを驚愕の瞳で見つめるエオリアの表情が、焼き付くように目の奥に残って。


 言い訳は、帰ってからすればいいや。うん。

 帰ることが出来たなら。




 空間が歪み転移した先は灼熱の空間だった。普通の人なら耐えられないほどの気温。空気が熱い。

 ふつうの状態であれば人が生きていられそうには無いそんな。肺が焼けしまいそうになるくらいな熱さだ。

 正直鍛錬の最中で肉体強度をあげていなければ危なかった。

 さすがのあたしも身体が死んじゃっても生きていられる自信は無いし。まあね? この身体で死んじゃったことがある訳じゃないからそこのところは不明だけども。


 壁に貼り付いたデルタ。床にはいつくばっているハルノブ、と。

 ああ。目の前にいるのは破壊神シヴァ、か。


 あれは確かこの世界における中ボスとして考えていたキャラだ。古代インドの神をモチーフにした破壊神。本来であれば天上界にいた神であり、イリスの父と対立して地上に降りてくることになったことで地上世界に進出していた悪魔族と手を結び……、なんて風に考えていたっけか。

 それがなんでこんな序盤で現れるのかわけわからないけど。それも人攫い事件の黒幕でなんてね?


「ふふ。面白そうなのがいるねぇ。でもこんな序盤で会えるなんて思わなかったよ。念のためにデルタには二つに分かれて貰っててよかったかな」


 とりあえずそうカッコつけて。真打登場って場面? だしね?


 もきゅうと声を放ったデルタ。その身体は黒い霧に還りそして普段のかわいらしいぬいぐるみの姿に戻る。


「ごめんなさいイリス。負けちゃった」


 ふわんとあたしの腕の中におさまったそのかわいい熊ぬい。あたしは笑みをこぼし撫でてあげながら、

「うん。いいよ。あとは任せて」

 と、そう慰めた。


「おやおや。お前は何だ? どうやってここに来た? この部屋は侵入防止の結界を張り巡らせていた筈だがな。まさかそれをすべて突破してきたとでもいうのではあるまいな」


 突然の乱入者に驚くそのシヴァに。


「ああ。此処に直接跳んできたからね」


 と、あたしはこともなげに言った。





 ザザッとシヴァの肩から複数の見えざる手が降ってくる。


 あたしはその手をバリアウォールで一つ一つ確実に防いでいく。


「は! この手が見えるのか!」


 滑るように避けながら時には手に持った模造刀で見えざる手の攻撃を叩き落とすそのあたしに、シヴァが感嘆の声をあげた。


「まあね。あたしもそれくらいはできるしね」


 取り繕う余裕はないけどさ。っていうかセリフが素になっちゃったかも。


「でも何で? あなたみたいな天上界の神がこんなところで人攫いの片棒を担いでるの?」


「おや? お前、私のことがわかるのかい?」


「まあね。その額の眼を見ればわかるよ。破壊神さん」




 あたしのそのセリフを聞き破壊神の動きが止まった。

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