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魔人武士。

「小娘、に、クマ?」


 ちょと驚いた顔でこちらを見る魔人は、体つきは華奢な癖に背がひょろっと高くって。


 髪は長い髪を縛って後ろに流してる。


 そして。


 ゆったりとした着流しの着物のようなそんな服。両手に細身の刀を構えて。


 鬼のようなツノが一本額に伸びている、そんなシャープな顔はギロンとした目であたしたちを睨め付けた。




 空に浮かぶ月は丸く煌々と辺りを照らし、あたし達の姿もはっきり見えているはず。


「何をしに来た? というのは愚問か」


 ジリっと足元をこちらに向け攻撃の構えを取るその魔人。


 イメージとしては武士? そんな感じのその男、次の一瞬問答無用でこちらに切りつけてきた。


「デルタ!」


 デルタは右手の爪をヤイバのように伸ばし、その魔人の剣筋に対応する。


 うん。心配する必要はない、かな?


 あたしの事は眼中に無い? そんな感じでデルタと切り結ぶその魔人武士。


 パワーのデルタ対スピードと技の魔人。


 はうあう。


 負けはしないだろうけどちょっとこれは……。



 決着がなかなかつかないまま何合か切り結んだ両者。あたりにはデルタの黒い毛が舞ってるから、何回か斬られたんだよね? 痛がらないけど。


「ニ対一は卑怯だ、とか、そんな事は言わないでね?」


 あたしは我慢が出来なくなって。魔力を思いっきり高めてみる。


 右手をその魔人武士に向けて叫ぶ!


「ファイヤバースト!!」


 無数の真っ赤なファイヤボールが放たれ魔人を襲う。


「避けて! デルタ!」


 まあ大丈夫だろうと見込んだけど一応そうデルタには注意して。


「はううひどいー」


 炎が到達する寸前にぱあんと黒い霧になったデルタはそのままあたしの胸元まで戻って。


 魔人はあたしの炎をギリギリで避けようとし空に飛んだのだけれど、それが仇になった。


 自動追尾式なあたしのファイヤボールは全弾角度を変えその魔人に命中。


 ぎゃぁという声を残し。


 魔人は黒炭に変わって地上に落下した。




 近づいて観察してみると流石にこの魔人、まだ息があるよ。


「しぶといね」


「まあそう言わないの。ちょうどよかったよ」


 この魔人にはまだ聞きたいことがあるしね?


 あたしは瀕死の魔人にちょっとだけ回復魔法をかけてあげ、そのかわり彼のレイスに直接アクセスする。


 そして。


 そのレイスの中に支配の魔法を埋め込んだ。


 まあ永続魔法では無いからずっと効果が続くわけでは無いけど、充分かな。


 支配の魔法は彼のレイスを直接縛り付ける魔法。


 洗脳、に、近い?


 まあ流石にこうして瀕死の状態だからこそ簡単にできるってものだけど、ふつうは心の壁に反発されるから難しいんだけどね。


 倉庫の男達はろくな情報を持っていなかった。けど。


 この魔人ならもうちょっと詳しく聞き出せそうだ。

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