魔人。
あたしとデルタは空を飛んで森に向かった。
誘拐犯から聞き出した仲間の居場所。森の南東部、カワズ池が目印らしい。そこにある丸太小屋に潜んでいるという話で。
子供たちはみな商店街の大店、大黒屋の入り口前にまで運び、攫われた子のうちの大黒屋さんの娘さんに手紙を託しておいた。捕まえた犯人達が潜んでいた場所の地図も添えて。
まあこれで自警団とやらが動いてくれるだろう。
あとはあたしが奴らの仲間を捕らえれば解決、かな。
「ほんと? もう悪いのいない?」
へ?
「どういう事? デルタ」
「悪いのって、一つ見つけるとその裏にいっぱいいたりするの。石をどけるとうようよって」
「はうあうそれってへんな虫みたい?」
「そそ。悪いの。うようよ」
うっきゅう。
この子はのほほんとしてるけどもしかしたら賢いのかな。
まあ魔王、だもんね。
魔力と知識は先代から引き継いでいるはずだしね?
でもほんと、さっき捕まえた奴らなんてたぶん下っ端だろう。
それくらいはあたしにだってわかる。
だけど、そこからあいつらの親玉を探し出して捕まえるのは本来警護署のお仕事だし。
あいつら、警護署のお役人さんに、
『はなぐすりを嗅がせてある』って言ってた。
あたしそれって単純に賄賂か何かだと思ってたんだけどもしそれだけじゃなかったら?
警護署のお偉いさんに影響力のある悪人とかが居たら、今回のことくらいなら揉み消されちゃうかもだし。
それは、嫌、だな。
ほんと、嫌。
子供を誘拐するような奴ら、許せないし。
「ねえデルタ。悪い奴らは僕達で全部捕まえよっか?」
「もきゅ! ボク、ガンバル、よ!」
こちらに顔を向け小首を傾げそう答えるデルタ。
あは。
うん。頼りにしてるよ。相棒。
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人数は五人。
丸太小屋はそこまで広くない。全員一箇所に集まっている?
中に……。一人だけ、ちょっと用心しなきゃなのがいる、かな。
魔力がとてつもなく大きい。まああたしたちほどじゃないけどね?
ぷかぷか浮かぶデルタの身体から黒い霧が舞い上がった。
あたしが胸に抱けるサイズだったデルタ、あっという間に巨大なクマのサイズに変身する。
はう。身長も人の三倍はある。たぶんこのまま腕を振り下ろしたらこんな丸太小屋あっという間に潰れちゃうよ。
でも。
「いいよ! いっけー」
あたしはそう号令する。
悪いけど、まずこの小屋は潰しちゃう。
その方が手間が省けるし。
デルタの腕が高く振り上げられ、ブン! と、おろされた。
どんがらがっしゃん、と丸太が崩れて。
中から魔人? な男の人が飛び出してきた。残りは下敷きになってるけどまだ息があるかな。
「何者だ!」
両手に剣を持った男。
今のデルタの攻撃でほぼ無傷だったその魔人が真っ黒な瞳をこちらに向けた。




