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96.歯医者さん
エソラレンタカーに到着したのは
遥さんをお迎えする1時間前だった。
しかし便利な世の中だ。
事前にネットで予約し、免許の情報を入れるだけで
素早く出発が出来るようだ。
受付のお兄さんと借りる車の状態確認をしていると、声をかけられる。
「なに?デートでもすんの?」
振り向くと夏美さんがいた。
「なぁっ!夏美さん!?」
「やっほー」
「な!なんでここに!?」
「あれー?前も言わなかったっけ、レンタカーノハイシャノバイトしてるって」
・・・言ってたような。
レンタカーノハイシャノバイト。
「レンタカーの歯医者さんなんですね」
「うん。配車ね」
「なるほど、深い」
「もしかして・・・遥さんとデート!?」
「なぁっ!?なぜ!」
「図星だ〜カァワイィー!」
「もう!行きますから!」
既にエンジンがかかっている車に乗り
俺はその場を去ろうとアクセルを踏む。
ブオオオオオオオオオン!!!!
ニュートラルのままだったので
車は進まずに轟音だけが鳴った。
窓の向こうで爆笑している夏美さん。
こういう時こそ、落ち着け、俺。
オートマで発進する時は、ギアをニュートラルからドライブに変えればいい。
それだけだ。
よし、ドライブ!アクセル踏みまーす!
ガガガッ!
サイドブレーキを下ろしていなかった。
またもや爆笑する夏美さん。




