82.愛の結晶
「慰謝料でも取るつもりか?」
「違う」
「もう終わった関係のオンナの事、聞いてどうする?」
「ただ、確認したい事がある」
「気持ち悪いぞ、オマエ」
「話を聞いてくれ」
「不倫はいつ頃からしてたんだ」
「ちょうど20年ぐらい前かな・・・あれは、良いオンナだったぞ」
「母さんとは結婚してたのか」
「そうだな。だいたいお前が産まれる前だな」
「そ、その、不倫相手は結婚してたのか?」
「してたね」
「不倫相手と、お前の間に、子どもがいる、よな?」
「どうして分かる?」
「俺を、ナメるな」
「おぉ〜ッ、名探偵だねぇ」
「次の質問だ」
「かかってこいよ、名探偵」
「お前の不倫相手は・・・」
「ん?」
「絵空市、魔女ヶ崎に住んでいたな」
「おおーっ!すげェな!息子よ!」
「お前の不倫相手の子どもは、女だな」
「どこまで調べたんだよオマエ、すげーな」
「質問に答えろ。女なのか?」
「確か、オンナだったよ」
「確か?」
「あーっ、悪ィね。ヤリ逃げしたから、覚えてないのよ、詳しく。でも女だったのは間違いなかったと思うよ。あっちも既婚者で、一族の掟を破ったとかなんとかで、その後夫婦で引っ越したらしいな。笑えるよなァ。田舎って恐ろしいわ〜」
「俺も、その、不倫相手の子どもも・・・余りにも・・・可哀想じゃないか・・・」
「何言ってんだよ。堕ろさない女がアホ過ぎるだろ。不倫しといて、妊娠して、結婚相手がいるのに子ども育てて、そいつも頭おかしいだろ」
「じゃあ、俺は何なんだよ」
「あ?知るかよ」
「答えろよッ!」
「まぁまぁ、感情的になるなって!まぁー、あれだ、お前はパパとママの愛の結晶だ!そういう事だ!納得したか?帰っていいぞ!」
「許さないからな」
「だったら、さっさと出て行けよ」
「俺も、バカじゃない、お前を殺すなんて事、出来ないし、しない。何かをできるわけじゃない、お前は、0点。0点のクソ男だ!お前の遺伝子?愛の結晶?最悪だ!それだけは言っておく!」
「あっそ。負け犬の遠吠えね。言いたい事言えて満足か? じゃあな」




