81.どうして
「どうして」
それが男の開口一番のセリフだった。
その意味は分からない。
どうして、ここに来たのか?
どうして、俺の場所が分かったのか?
どういう意味のどうして?なのかは分からない。
それでも、このクソ男が、俺を、息子だと認識した事に、不覚にも俺は身震いしていた。
「お、俺が誰なのか、分かるのかよ」
「分かるよ。子どもだ。オレの遺伝子」
「そうだよ」
「大きくなったなァ〜、まぁ、上がれよ」
引き寄せられるように
俺はクソ男の部屋に入る。
しばしの沈黙。
「何歳になったンだ?」
「18」
「働いてんのか?」
「大学生」
「そんな金あったの?」
「無いよ、借りてる」
「奨学金か」
「・・・」
「悪ィな。金はねえよ」
「そんな、話を、しに来たんじゃない」
「じゃあ、なにしに来たんだ?」
「確認したい事がある」
「なんだよ」
「ま、まず、どうしてアンタは、母さんの前から消えたんだ?」
「聞いてないのか?」
「聞いてない」
「聞きたいのか?」
「その為に来たんだ」
「生活が破綻したんだよ」
「どうしてだよ」
「オンナを作った」
「不倫かよ、情けねえ」
「お前だって、好きな女の子は何人もいるだろう?そういうモンだってよ、男っつーのは」
「ふざけるなよ」
「ふざけてねーよ」
「ただの不倫じゃねーか・・・母さんがどんだけ苦労してきたか、分かってんのかよ」
「知らねーな」
「なんなんだよ!お前!本当に大人かよ!」
「悪ィな。大人だ。お前は俺の精子から産まれた。あー、残念」
「うぜえ」
「なんだ、わざわざ離婚の理由を聞きに来たのか?」
「違う。俺が聞きたいのは、お前の不倫相手についてだ」




