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80/140

80.車で3時間


金がないから、それだけの理由ではなかった。


何か、気持ちを吹き飛ばしたかった。


俺は実父、クソ男のいる住所に向かって、原付を飛ばしていた。


車で3時間。

公共交通機関で約2時間。

高速道路を使わず、そして低速な原付では8時間と予測が出た。


スマートフォンのナビを頼りに、俺は原付で国道をひたすらに走っていた。


エソラ興信事務所を出て、自宅で必要なものをリュックに入れて、そこからずっと走っている。今日に限っては、天気が良くて、我が相棒ズーマーも好調な走りを見せていた。


ただただ、国道を走る。


チェーン店の高い看板が、進行方向と並行にスクロールし、青空を横切る。信号が道路標識が、視界を横切り、速度を演出する。


とにかく、走り続けた。


気が付けば、クソ男のいる街の近くまで来ていて、その頃には20時を過ぎていた。

たまには良いかもしれない。

俺はネットカフェで一夜を過ごす事にした。


翌日も、走る。


疲れがあったのか、11時に起きて、そこから走り出す。

色々考える。




会ったらまず、なんて喋ろう。




ー貴方の息子です!


そう、名乗るべきなのだろうか?


それとも、他人のフリをすべきなのだろうか?


母さんを苦しませた事、詫びさせるべきなのだろうか?


俺はあのクソ男を殴れるのだろうか?


本当に父親なのだろうか?


母さんが新しい男と結婚しようとしている事、

伝えるべきなのだろうか?


俺を見て、何を思うのだろうか?


今、何をしているのだろうか?


何を、思っているのだろうか?



低速で駆け抜けて、遂に到着する。



このボロアパートか。

クソ男に似合う、クソアパートだな。




原付を止め、スマホで時計を確認する。

15時。




俺はついに、玄関のチャイムを押す。







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