74.母さんが決める事だろ
翌日。
母の車に乗せられて、運転免許センターへ向かう。
今日はミツルさんはいない。
それでもなんとなく後部座席に乗る。
「試験、頑張ってね」
母が適当に言う。
「ま、余裕だよ」
そこで微妙な空気が流れるので
痺れを切らした俺はついに
それを口にしてしまった。
「結婚すんの?」
少しの間。
「うん。そのつもり」
「なんだよ、早く言えよ」
「本当は昨日、言おうと思ったけど、アンタがムスッとしてるから、ミツルさん言い出せなかったんだってさ」
「男らしくねーな」
「あの人、優しいから、気ぃ使ったのよ」
「あっそう。」
「結婚していい?」
「母さんが決める事だろ」
「ふーん、冷静だね」
「大人ですから」
「いやまだ未成年ですから」
そんな母親のツッコミ冴え渡る中
車は免許センターに到着する。
結婚に関しては、色々言いたい事があった。
それでも俺は、母親の問題だな、とそれを放棄した。
午前中に試験が行われ、午後に合格発表で免許発行という流れである。
全くもってダルいイベントだ。
筆記試験を解いて、写真撮ったりして・・・
車を降りて、試験会場に向かう。
それにしても眩しいな。
やはり夏の午前中は日照りが半端じゃない。
それにしてもおかしい。
建物の中に入っても眩しいのだ。
・・・はっ!!!
この眩しさは!
「え〜っ!うそー!」
俺を見るや否や、10点ガール愛生さんが飛び跳ねてきた。
やはり、この眩しさだ!
「なんだか、お久しぶりですね」
「まさかこんな所で再会するなんてー!」
「ああ・・・そっか、愛生さんは茂木と同じ高校ですよね。みんな地元だ」
「今日の試験、頑張ろうね!」
そんな流れで受付の為の行列に並ぶ。
なんと幸せな時間だ。
それに今日の愛生さんは10点をオーバーした可愛さだ。運転免許の写真の為にお洒落したのだろう。
母親の結婚の憂鬱が吹き飛ぶ。




