66.あの子のウソ
「それじゃあ」
アパートの駐輪場前。未だに寒い。
気が付けば14時。真琴が急に帰ると言い出した。
家まで送ろうって言いかけたけど、
こういう優しさは不要なのかもしれない。
「困ってる事あったらさ、私が相談乗るよ」
「ありがとう」
「この雪は、続くのかな?」
「わからない」
「ホント、キスしちゃったら、どうなるんだろうね?」
「わかんねーよ」
「ま、その」
ー私の事、消去法で選んでもオッケーだよ
そう言い残して、真琴は帰っていった。
なにがオッケーなのかは分からない。
それでも今日、真琴に話ができて良かった。
罪の意識はほんの少しだけ、軽くなった気がする。
それでも間違いなく、俺が引き金で、亡くなった人がいる。それは紛れも無い事実だった。
自分の部屋に入ろうとした時、隣の玄関の扉が開く。夏美さんだ。
「チラっと見てたよ」
夏美さんがニヤニヤしながら喋りかけてきた。
「なにをですか?」
「彼女?」
「ちっ、違いますよ!」
「へぇ〜。彼女でもない女の子を、部屋に入れちゃうんだね〜」
顔の赤くなる俺。
「いやっ、その、水道が!水道が止まったって、言うから、その」
「ふ〜ん。それってさぁ、あの子のウソだったりしてね〜」
「そんな事無いです!」
「ふ〜ん、まぁ、頑張りな!」
そう言って、夏美さんは玄関の扉を閉めた。
って、あの人!
俺をからかう為にわざわざ玄関を開けて来たのかよ!
まったく・・・
女って分からん。色々。




