65.エリアメール
それから、長い間、無言のまま
真琴に抱きしめられて、あまりにも長いから
もういいじゃん、って気持ちもあったけど
それでも俺から真琴を振り払う事が出来なくて
たぶん、真琴もタイミングを失っていて
考えてみれば好きじゃない者同士なわけで
この謎のシチュエーションは何なのだろうとか
そういう事を考えはじめた頃
キッカケを作ってくれるように2人のスマホが同時に鳴った。
絵空市エリアメールが届いた。
内容は想定外の積雪に対しての知らせだった。
こんなものはどうでも良かった。
しかしこのお陰で謎のシチュエーションから俺は解放された。
「でもどうして、アンタなの?」真琴が尋ねる。
「分からないな」
「お母さんが魔女とか?」
「そんなわけないだろ。ただの人間だよ」
「ふ〜ん。たまたまなのかな?」
「たまたま選ばれるのか?俺?」
「ねっ、ところでさ、アンタが魔女かもって思っている人はどんな人なの?」
真琴は吹っ切れたのだろうか。そんな事を聞いてきた。魔女かもって思う人、それは俺の頭の中に浮かぶ女性で、中には好意を抱いている人間もいる。
「う〜ん、出会った順で言えば・・・」
「愛生さん」
同じ学部学科、真琴もご存知の10点ガール愛生さん。
接点で言えば、合宿免許だ。それ以外、心の距離が近付いたというような事はあまりない。
「ユキちゃん」
バイト先の女の子で、昼はロリコンビニ店員、夜はキャバ嬢。腹黒。この子とは、同伴出勤だとか、ストーカー退治だとか、泣かせたりとか、何かとイベントが多い気がする。
「夏美さん」
隣の部屋の先輩。これといって何をしていた訳じゃないけど、会う回数も多くて、心の距離って意味なら順調に近づいている気もしてきた。
「遥さん」
麻雀サークルの先輩。花見したり、食事したり、映画観に行ったりした。いつもおっぱいに心奪われている。遥さんが俺をどう思っているのか、それが謎だ。
「薔薇色の大学生活だね」
「魔女とか考えなけりゃな」
「誰が一番好きなの?」
そう聞かれると、困る。




