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62.開店時間


せっかくなので、寒いけれど外に出てみる。

玄関を開ける。ガチャ。広がる銀世界。

扉を閉める。ガチャリ。


そして、ガチャ。


隣の部屋の夏美さんが現れた。


「夢じゃないよね?」と夏美さん。

「そうみたいです」と俺。


真夏に突如降った雪に、誰もが混乱している。俺は少しだけ覚悟していたこの異変に対応しつつあった。


「ゴミ捨てられるかなー?」

夏美さんは手にゴミ袋を持っている。薄着だ。


「あっ、俺、原付の雪払ったりするんで、ついでにゴミ捨ててきましょうか?」

気が利くぞ!俺!


「ナイスゥ〜」と夏美さん。

流行ってるのか、これ。

「その、ナイスゥ〜って流行ってるんですか?」

「え!?知らないの?エビアスの口癖だよ!」

誰だよ!エビアスって!

ゴミ袋を受け取った時、ちょっとだけ手が触れてドキっとする。



アパートの駐車場は予想通りの雪が積もっていて、我が愛車のズーマーも凍てついていた。

雪を払い、隣のゴミ置き場にゴミを置く。


・・・もしや、このゴミ袋の中には・・・いや、やめとこう俺。


そのまま何となく歩いてみる。

流石にこの非日常に平常でいられる者は少なく、

皆が様子を見る為に外へ繰り出していた。


サク、サク、と雪を踏む音が楽しい。

その反面、ひやりと冷たく、辛い。

とりあえず朝ごはんでも買おうと俺は少し足を伸ばしてスーパーへ向かう。


明らかに開店していないようだが、

ガラス張りの店舗に近づいて張り紙を見る。



【本日雪の影響により開店時間を遅らせています】



スマホの時計が10時を示しており、営業は12時からだった。



と、突然、脇腹を小突かれる。


ガラスが反射して、見慣れた顔が映った。




「やっぱり」

「痛ぇな」




真琴だった。

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